A2
研修二日目。今日は何をするのかな?
わくわくしながらドアを開ける。
しかし、そこには一体の亡骸が転がっただけだった。
「こんな……馬鹿な!」亡骸を揺さぶってみる。冷たい。何よりも冷たかった。
「だってだって!二日目だよ!何でっ…何で二日目で人が死んでるの!」
そこへ現れたのは千賀さんだった。
「見ちゃったか。現実を。」
よく見ると、服はボロボロで顔から血を流していた。
「ごめんね……これがこの仕事なの。納得出来ないよね。でも……やるしかないの。」
そっと亡骸に触れた。まるで分かりきったかのように。
「緒実ちゃん……良く頑張ったよ。その文この子が一生懸命生きるからね。」
そう語りかける。優しい声だ。なぜこの人は人が亡くなったのに冷静でいられるのだろう
。分からない……
俺には全く分からない…
「他の人達は今、戦闘してるから……あれ?どうしたの?」
気づいたら、立ち上がっていた。
「行きますよ。その戦闘!」
「無茶よ!勝てるわけ無いわ!貴方はまだスライムしか倒してないのよ!」
止める千賀さんの手を振り払った。そして、あの次元の狭間へと歩いて行くのだった。
「ジャスティスメーカー…」
鎧と武器を装着し、ここが何処か見る。
空は曇り、周りには木も岩も見当たらない。
「あ!あれだ!」
その先で数人が倒れてるのを発見した。
それを見ると、胸が締め付けられると同時に
助けなければという正義感が身を包んだ。
俺は走った。とにかく走った。
目の前に現れたのは自分の数百倍はある恐竜の様な生物だった。
「無理だ……君では!あれは悪…」
一人の男性は倒れた。勝てる気等全く無いのだが、それは証が無い自分だったらの話だろう。
不思議だ。
「 あああああ!!!」
叫び声を上げると突撃していく。誰の為でもない自分の為に。
だが、
「我、強者。……汝には負けぬ!」
閃光の如くの攻撃は俺を直撃した!数百メートルは吹き飛ばされたらしく、何本か骨が折れたらしい。
「あ~痛てぇ……ムカついたなぁ。よし!」
また向かって行く、その走り烈火の如し。
「うらぁああああああああああああ!!!」
飛び上がって槍を振り下ろした。槍は腕を貫き、胴体までも突き刺さる。が!
「小癪な……」
その声に俺は反応出来ず、巨大な爪が俺を貫いた。
意識が遠くなる……無様な死だ。ははは……
目が覚めると、見たこともない真っ白な空間にいた。
此処は何処?
「やあ。目覚めたんだ。」
見たことも無い人……誰?
「ここの空間からは早く脱出した方が良い。だからお帰り。」
その声を聞くと、なんだか眠くなってきた。
──────
「此処は…?」
起きたら、俺は床に寝ていた。
「あっ!目覚めた!」
周りの人が驚いている。あれ?俺は貫かれたのに、塞がってる?
体の傷は塞がっていた。
「バカッ!」
頬を平手打ちされた。
「なんで勝てないのに向かって行ったのよ!」
何でと言われても分からなかった。
向かって行きたかったらなのだが死んでもそれだけは言えない。
「ですよね……大馬鹿者ですよ。」
あれ?何で悲しいのだろう。それどころか俺は泣いているじゃないか……
「でも……ありがとね。」
そう言った千賀さんの顔は優しかった。