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ソーシャルな神様、始めました  作者: 九重市 九十九
プロローグ:チュートリアル
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天使のチュートリアル その3


「続いて、神様ネットワーク管理画面の機能説明に入ります。」



 最初にガチャ。都市管理は無し。次に攻略。

 と説明が続いてきたが、今度は神様ネットワーク画面の解説か。



「神様ネットワークでは貴方様と同じように世界を管理している神々が、チャットという文章での意思疎通手段にて会話することが出来ます。」



 ああ、ゲームでもあったチャットね。

 ゲームだと全体チャットでよく雑談が流れてたな。

 最新のガチャで出るキャラの情報とか、イベント攻略の編成どうするの?とか。

 俺も色々と情報を得るのによく利用していた。



「チャットの見方は分かりますね?」



 分かって当然。と言った風に聞いてくる。

 多分、手引書という名のヘルプ本を渡してきたので、既に予習済みだと思って聞いているのだろう。

 いやまぁ、やり方は分かるけども。


 無言で手際よく画面を操作し、全体チャットを画面に映す。

 そこには自分でも読める日本語で、多くの発言が行き交っていた。

 やっぱり、神様的なパワーで文字翻訳機能も付いてるんだろうか。



「こちらのチャットは基本的に匿名で行われます。自ら定めた仮の名を用いて発言することが可能ですが、神様同士で諍い合うこともしばしばありますので、最初は発言せずに眺めて情報を得るのに用いるものだと御思いください。」



 あれか。古い言葉でいう「半年ROMれ」ってヤツだな。

 半年は書き込みとかせずに読むだけにして、空気を学んでおくってヤツだ。

 そういう所までゲームっぽいんだな。


 いや、ゲームだからとかじゃなく一応理には適ってはいるか。

 となると他にもゲームと同じ部分は何らかの理由があって、このシステムの形になってるのかも知れないな。

 なら、匿名でハンドルネーム使うのにも何か理由があるのか?



「匿名での発言となるのは何故なんだ?」


「ええ。以前は神々が本来の名で発言をしていたのですが……どうしても、出身世界の派閥や権能の違いで相性もあり、仲の悪い神々がチャット上で言い争いに発展することが多々ありまして。現在では仮の名を用いるのが必須であり、互いの出自は語らないようにと定められているのです。」



 神様社会でも人間関係があるんだな。世知辛い。

 俺は人間だとバレると袋叩きに合いそうだし、匿名は有り難いシステムだな。



「チャットにも様々な種類が御座いますが、それは慣れてからの話ですので割愛させて頂きます。お手数ですが、必要となった時に手引書にてお調べください。」



 うん、まぁ。

 個人宛てのチャットやら、取引専用チャットやら、色々あったもんな。

 正直言って神様と会話なんて畏れ多くてやりたくないから、知らなくってもいいんだけども。

 パッと見た感じ一応理解出来る言葉で会話されてるから話に混じれなくもなさそうではあるが。


 というか、日本のチャットとあんまり変わりない感じだな、これ。

 流石にネットスラングはないけど、普通に元の世界のチャットや掲示板とそんなに変わらないように見える。

 これ、本当に神様がチャットしてるのか?


 ほら、異世界の神様同士の会話ってもっとこう、訳の分からない言葉とか、無駄に修飾された言葉が並んでるものかと思ってたんだが。



「思っていたより、言葉は普通に通じるのだな。」


「ここにおわす神々は、多種多様で御座いますからな。神様ネットワークが自動で言語変換を行っておりますので、他者にも通じる言葉にしっかりと変換されております。」



 ああ、やっぱりちゃんと翻訳されてるのか。

 ってことはこのチャットに流れてる言葉は元々は別の言語なんだろうか。

 俺が読める日本語にも対応してるって凄いな。

 というか、日本語に存在しない言葉とかどうしてんだ?


 ……まぁ、考えてもどうせ分からんからいいか。



「続いて、交換所の説明に移ります。」



 もうチャットの解説は終わりらしい。

 そりゃ、書き込み方法の説明を省くと言うことなんてもうないだろうしな。



「交換所では、神々が得た英雄の魂や強化アイテムなどを出品し、他の神々はそれを信仰と交換して得ることが出来ます。また、神様ネットワーク運営機関でも交換を行っておりますので、得られる信仰は少なくなりますがお急ぎの場合はそちらをご利用下さい。」



 要するに売買所か。

 交換所と呼んでるのは仮にも信仰を通貨のように呼ぶのを避けるためだろうか。

 実質通貨代わりなんだから、売買所でいいじゃん。

 そう思うけど、やっぱり駄目なのだろうな。


 説明を受けながら画面を見ていくと、ゲームだと競売システムしかなかったのに、こちらだと色んな方法で取引が出来るようだ。


 競売システムにオークションシステム。

 出品者が値段を決めて出品する普通の売却と、購入者が欲しいものと値段を提示する購入システム。

 変わり種で、神様ネットワークの運営が仲介を行う契約というものもあるらしい。

 仲介料として幾らか信仰を取られるが、色々と複雑な契約を交わせるのだとか。



「こちらでも英雄の魂を得られますが、強力な英雄はやはり大量の信仰を求められます。なので、特別必要な英雄が居ない限りはガチャにて英雄を手に入れた方が必要な信仰も少なくて済むようです。」



 一応英雄も売ってるらしいが、やっぱりガチャの方が安上がりらしい。

 やっぱガチャだよな、うん。

 ガチャだガチャ。



「自分の管理世界で得た低レアリティの英雄を、少ない信仰で交換しようという神々もいらっしゃるので、貴方様も初めはそういった方々から英雄をお求めになるのが宜しいかと思われます。また、余った英雄は出品して信仰を得るということも可能です。」



 まぁ、それもいいかも知れんが。

 それでもやっぱり、ガチャに比べると少し高くつくな。

 ピンポイントで必要な英雄が得られることを考えると、確実に女性英雄が欲しいなら交換所で買った方がいいんだろうな。


 でもやっぱり、俺はガチャだな。

 うん、ガチャだ。

 早くガチャで女性英雄が欲しい。



「交換所には、一部特別な交換システムも用意されておりまして。一定以上の信仰を民から得たり運営に認められる功績を挙げると、運営機関より信仰宝珠という品が送付されます。それと交換で、英雄を大きく強化出来る特別なアイテムを得ることが出来ます。」



 ん?ああ、うん。

 売買所だけじゃなくて、本来のソシャゲに良くある交換所もあるのね。

 信仰宝珠を貯めれば、特別な強化アイテムが手に入ると。

 まぁ、低レアキャラに強化アイテム使うのも微妙だし、当分はスルー安定か。



「他にも信仰と引き換えに、自身が持たない権能を一時的に得ることも出来ます。記憶を失くされて自身の権能を忘れられた貴方様でも、人々の治癒や民に豊穣を約束することが出来ますので、信仰を得る一助として使って頂ければ幸いです。」



 ケンノウ?何それ?

 ちょっと交換所を見てみる。

 すると、『権能貸与』という項目に、神々が使える奇跡の一覧が載っていた。

 ああ、神様が起こす奇跡とかを権能って言うのか?

 ケンノウタイヨって普通読めないだろ、これ。


 それはともかく。

 ここで力を借りれば、神様じゃない俺でも神の奇跡を起こせるってことなのか?


 いやいや、人間の俺が神様の奇跡を使えるってどうなのよ。

 神の奇跡ならぬサラリーマンの奇跡とか。

 嫌な字面だな、おい。

 まぁ、もうサラリー貰ってないからサラリーマンじゃないんだけども。


 今更元の世界に戻れても、最低三日は無断欠勤だろうしなぁ。

 即座にリストラはなくても、相当職場に居辛くなるだろうなぁ。



「交換所に関しましては以上となります。他のシステムは、神々同士の繋がりである神様同盟という物も御座いますが……そちらはまだ当分先の話になると思われますので、必要になれば手引書にてお調べ下さい。」



 っと、まだ説明の途中だった。

 と思ったら、まーた説明放棄か。


 なんかチュートリアルキャラのくせに説明がおざなりじゃないか?

 まぁ確かに同盟ってのはゲームでもあったし、それと同じなら今説明しても意味がないというのは理解出来るんだが。


 神様同盟というのはプレイヤー同士のチームみたいなもので、他のゲームのシステムで言うとギルドとかユニオンってヤツだ。

 同盟に所属してると、同じ同盟に加入している者同士で英雄を派遣し合ったり、同盟のメンバーが協力して、邪神に完全に支配された世界の一つを攻略する攻略戦に参加出来るのだ。

 ゲームだとそうなのだが、現実だとそれがどう変化してるのかは不明だ。


 まぁ天使の言うとおり、必要となった時に調べればいいか。

 ソシャゲの頃は同僚が作った同盟に加入してたけど、流石に神様の知り合いなんて居ないし。



「それでは最後に、戦争と並ぶほどに重要なことを説明させて頂きます。」



 おお。これで最後の説明か。

 長かったが、これでようやくチュートリアルも終わってガチャが回せるな。


 しかし、攻略と同じぐらい重要なことだと?

 ゲームだと都市管理がそうだったんだが、それは違うみたいだし。

 一体それはなんだ?



「重要なことだと?」


「はい。とても重要であり、何より優先すべきことです。それは、英雄による都市の巡回です。」



 巡回。

 確かに、ゲームでもそういったシステムがあった。

 邪神の手勢は世界中の何処にでも出現する。

 たとえ結界の内側にある、都市の中であったとしてもだ。


 一応沸くのは少数だし、沸いたばかりの奴らは弱いという設定なので、普段は都市の警備兵やらが裏で倒してくれてるらしい。

 だが、英雄を都市内や都市間の街道で巡回させることで、それらの敵を倒して経験値や信仰を稼げるというシステムがあった。


 まぁ、簡単に言えば出撃の戦闘以外で経験値や信仰を稼ぐシステムだ。


 最低三十分から、最大で十二時間巡回設定が出来て、英雄を巡回に出しておくと、その時間の長さに応じた経験と信仰を英雄が稼いでくれる。

 ゲームだと攻略を殆どやらない俺にとっては、都市管理と並ぶ貴重なガチャポイント稼ぎの手段だった。


 しかし、そこまで重要なシステムではなかった気がするのだが。

 何がそんなに重要なんだろうか?



「都市の内部や都市間の道にも邪神の手先は出現します。これらは出現したばかりでは弱く、人間でも対処出来ます。ですが潜伏を許して力を蓄えさせてしまうと、結界の内側から邪神の手先が攻め入ってくることがあるのです。」



 ああ、そうか。

 邪神側もゲームと違って色々やってくるのか。

 そして、潜伏して力を溜めて内側から攻めてくると。

 内側から攻められるとか恐いなおい。



「なるほど。それは早期に排除せねばならんな。」


「その通りで御座います。特に都市間の輸送が滞ると、戦線への物資輸送に支障が出たり、都市での神への信仰へ影響を及ぼしますので、英雄を巡回させて随時駆除せねばなりません。」



 そうか。確かに交通網を妨害されて、必要な物が届かなかったら俺なら怒る。


 というか下手したら物資不足で死人がでるなそれ。

 更には得られる信仰も減ってしまうのか。

 それは確かに重要な問題だ。



「分かった。常に派遣するとしよう。」


「それが賢明に御座います。出てきたばかりの邪神の手先は弱いので、巡回する英雄は資材を消費せずとも倒せます。資材消費を気にする必要はないでしょう。」



 ゲームでも巡回させる時に資材を消費しなかったけど、現実だとそこにも理由があるのか。

 つくづく、これは完全にゲームではないのだと思わされるな。



「では、これにて新たな神への世界管理の説明を終了致します。」



 そうか。短いようで長かったが、これで終わりか。



「それでは私はこれで失礼させて頂きます。」



 そう言って、天使は頭を下げたまま光の粒となって消えていった。

 あのオッサンハゲ天使も、居なくなると思うと寂しいものだ。




 うん、寂しくないな。ハゲだし。


 それじゃあ早速ガチャをしようか。

 ぶっちゃけこれまで男ばっかで、むさい状況に辟易してたんだよ。

 会社でも職場に女性は居なかったが、取引先でお茶を出してくれる子ぐらいは居た。

 でもここに来てからは、そういった女性すら一切見ていない。


 これは由々しき自体である。

 乙女向けソシャゲでもないのに男だらけのソシャゲとか嫌である。

 男子校みたいな黄土色の空気に馴染むつもりは更々ないのである。


 だから、一心不乱のガチャだ。

 何がなんでも女性英雄を手に入れるのだ!




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