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ソーシャルな神様、始めました  作者: 九重市 九十九
プロローグ:チュートリアル
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天使のチュートリアル その2

 書き溜めが残っている間は、暫く一日1~2回更新でやっていこうと思います。

 更新時間は色々と試しているので不定期ですが、もしかしたら定時更新になるかもしれません。


 これは投稿時間帯の話なので、書き溜めが尽きても毎日定時に投稿するという宣言ではないのであしからず……。


『我らが神よ。出撃準備が整いました。』



 特殊部隊出身のクロードが準備の完了を告げる。

 目の前に映る光景には、五人の英雄とその周囲を囲むように配置された資材の山が見えた。


 彼らが戦闘するのに必要な資材は食料と鋼材。

 木箱に詰められた食料は、穀物、肉、野菜とバランス良く用意され、その量はおよそ一立方メートルの箱が英雄一人につき大体十五~三十箱。

 鋼材は、鉄や鉛などが雑多に積み上げられ、英雄一人につき普通自動車並の量かその半分ぐらいを消費する。


 これが、一回戦闘モードになるのに必要な資材の量らしい。

 戦闘可能時間は三時間。

 たった三時間の戦闘のために、これだけの物資が必要なのだ。



「宜しい。では、手順に則って戦闘を開始しろ。」



 俺は偉そうに指示を出す。

 手順に則ってとか言ってるが、その手順は全て天使が指示したものだ。

 サラリーマンの俺が、戦争の指示なんか出せるわけがない。


 にしても、英雄相手にならもうちょっと柔らかい言葉で話しても良いのかも知れないんだけどなぁ。

 軍人連中が相手だと思うと、どうしても口調を崩し難いんだよなぁ。

 相手が堅い口調で畏まってくるからどうにもね。


 まぁ、そこはおいおい慣れていけばいいだろう。

 今はまだ隣にハゲ天使も居るし、いちいち忠告されたくないのでこの口調で通した方がいいだろうし。



『はっ。総員、戦闘態勢に入れ!』



 全員階級が同じなので、暫定で一番年上のクロードが隊長として指揮を取る。


 クロードの指示とほぼ同時に、山のようにあった資材が光の粒となって消えていく。

 光の粒は英雄たちに取り込まれ、英雄たちが光り輝きだした。


 そして英雄たちの周りに多数の兵士達が出現する。

 唯一兵士を具現化しないクロードだけは変化がないが、天使の解説によると彼の場合は身体能力が大幅に向上しているらしい。


 英雄達はこうやって、資材を取り込むことで一騎当千の英雄として戦えるのだとか。

 資材が無くても普通の人と比べると相当強いらしいのだが、大量の邪神の手先を相手にするなら資材が必須らしい。



『目標、邪神勢力の先鋒。総員作戦通りに行動せよ!』



 暫定隊長のクロードそう言うと、並んでいた兵士達が英雄に連れられて結界へと向かっていく。

 邪神達の領域と人間達の領域の間には邪神の手先の侵入を拒む結界が張られていたのだが、英雄たちが近づくとその結界が消えてなくなった。


 俺のような初心者神様のために、神様ネットワークが最初だけ自動で結界を張ってくれているのだそうだ。

 大陸を人間の領域も含めて合計四つに分割する形で結界が張られていて、今解除された結界はもっとも邪神勢力が弱い地域に繋がる結界らしい。


 この結界は攻略の進展によって順次結界が解除されていくらしく、それまでの間は邪神勢力から全方位攻撃を受けないで済むらしい。

 流石に英雄五人で広大な前線を抱えるなんて無理だし、この結界システムは本当にありがたい。


 ただこれって、どう考えてもゲームで言うところのステージ攻略が終わると次のステージが解放されるって感じのアレだよな。

 いや、有り難いことではあるので文句はないのだが。



「こうやって、英雄たちを用いて邪神の手先共を駆逐するのが貴方様の仕事となります。ご理解頂けましたかな?」



 ハゲ天使がこちらを見ながらそう言った。

 まぁ、大体理解は出来た。

 ゲームと同じで、プレイヤーである神様はただ眺めているだけで良いらしい。


 しかし、だ。


 豪華な部屋で、椅子に座って居る俺。

 その目の前に浮かぶ、前線の様子を映すディスプレイ。

 神様である俺は、部屋に居ながらにして戦場の様子を確認しながら指示を出したりすることが出来る。


 英雄達が必死に頑張ってるのに、自分は悠々と椅子に座ってるとか。

 なんかすごく申し訳ない気分になるな、これ。



「これだと、ただ眺めてるだけになりそうなのだが……。」


「このシステムは、戦闘に不向きな神でも簡単に邪神に対抗出来るようにするものでして……戦闘が得意な神々は邪神の支配世界へ乗り込むことになっておりますが、記憶を失くされた貴方様がどのような神であられたのか分からない以上、こちらのシステムへの加入とさせて頂きました。お望みとあるならば、貴方様も前線へと出向いて」


「いやいい。……英雄を育てるのも大事な仕事だろうからな。俺はこちらで頑張るとしよう。」


「左様で御座いますか。」



 ふざけんなオッサン。

 喧嘩すらしたことのない俺が本職相手に戦えるかハゲ。

 というか俺が言いたいことはそれじゃねぇよいい歳して天使コス。



「……それにしても、だ。」


「なんでございましょうか?」


「資材運搬と英雄の移動で、三日も掛かるとはな。」



 そう。

 俺がこの世界に来てから、既に三日も経っているのだ。


 ゲームだとボタン一つタップすれば簡単に出撃出来て、一回の出撃も五分と掛からなかった。

 だが現実だと、資材である兵站の輸送やら英雄たちの移動やらで、相当時間が掛かるらしい。



「神々からすると迂遠に思えるのは分かります。ですが、下界の法則は無視出来ませんゆえに。」



 恐縮するように天使がそう言った。

 そんなことが言いたいわけじゃないんだよなぁ。




 ―・―・―・―




 この三日間、俺は普通に生活していた。


 どうやらこの世界に来て最初に居た場所は、神殿に設けられた神様用の執務室だったらしい。

 神々のために事前に天使が指示をして、この世界の人々に建てさせておいたとか。

 これから俺は、この神殿内で暮らすことになりそうだ。


 その執務室の隣には、神様の生活スペースである私室が用意されていた。

 無駄に豪華で、水回りもちゃんと用意してある。

 トイレや風呂があるのは助かるし有り難いのだが、本物の神様ってトイレや風呂が必要だったのだろうか?


 まぁ、天蓋付きのキングサイズベッドとかあったし、部屋は防音みたいだし、入るには執務室を経由しないとなので、今後何かがあっても大丈夫そうな部屋だった。個人的には大満足だ。


 何かがあってもってなんなのかだって?

 言わせんなよ、恥ずかしい。


 ともあれ。

 三日もあれば十分落ち着けるし、天使からも実践しながら説明するよりも、先に色々と説明をしてもらえると思っていたのだが。

 あのハゲ天使のヤツ、ろくに説明もせずに一冊の本を渡してきやがった。


 ぱっと見で辞書程度の厚さがある、ただの本。

 だが、その中身は神様ネットワークのヘルプであり、見た目以上のページ数が不思議な力で用意されていて、世界管理やシステムについて必要のことなら殆ど全てがそこに載っているらしい。


 要するに、この本で勝手に学べということだ。


 しかも「貴方様でしたら私の口から語るより、この手引書を読んだ方が話が早いでしょう。」とか言いやがった。

 そんなこと言ったらチュートリアル天使のお前は必要なのか?


 そう言いたくなったが、実際に口に出すと本気で帰られそうな気がしたのでやめておいた。

 仕方ないのでこの三日間は、延々とヘルプ本を読みながら過ごした。


 因みに、もしかしたら自分で気付いてないだけで俺は神様の身体になっていて、風呂もトイレ必要ないのでは?

 と思ったのだが、普通に風呂もトイレも必要だった。


 あの爺さん神様は俺を神だと言ってたが、偶像はトイレに行かないんだぞ?

 よって俺は神ではない。証明完了。




 流石に三日も過ごしていると、これが夢ではないのだと理解出来てくる。

 となると俺は、おそらく異世界に転移か何かしてしまったのだろう。

 オズの魔法使いとか、昔からよくある物語のアレだ。


 何が切っ掛けで、どうして俺が転移したのか。

 それは分からない。


 だがきっと、何か理由があるはずだ。

 この世界に存在する、元居た世界でのソーシャルゲームである『神様の箱庭』。

 そして前の世界で最後に引いた『ファントム』という謎のキャラ。

 それらが関係しているのは、多分間違いないだろう。

 もしも元の世界に戻ろうと考えるなら、それらについて調べるのが一番だと思う。


 ……まぁ、そうは言っても最後に意識が薄れていったのとか考えると、もしかしたら元の世界で俺は死んでるのかも知れない。

 元の世界の友人や親のことを思うとやっぱり少し未練はあるのだが、これはもう元の世界に戻るのは諦めた方がいいのかも知れないな。


 なんかよく分からんが神様扱いされてて、何だかんだいい部屋で暮らしてるし。

 ガチャも引けるし、ひょっとすると英雄で可愛い子が出たら恋愛出来るかも知れないし。


 まぁ、なんだ。

 やっぱり色々と諦めて、新しい人生を楽しむ方向でいった方がいいのかもな。




 ―・―・―・―




「そろそろ決着がつきますぞ。」



 少し、この三日間のことを思い出して物思いに耽っていたら、気が付くともう戦闘が終わりそうだった。

 本当に何もしなかったのだが、流石は本職の軍人英雄達だ。

 何も指示をしなくとも、最初の戦闘ぐらいなら余裕で勝てるみたいだな。


 邪神の手先らしき異形の存在の亡骸が、そこら中に転がっている。

 動物の体のパーツを継ぎ接ぎしたような、気持ちの悪い死体が黒い靄に包まれていく。

 その靄が晴れた時、そこには白く光る石を残っていた。



「おや、邪神の手先が英雄の魂を残したようですな。邪神の手先を英雄が倒すと、時折英雄の魂や英雄の強化に使える力の結晶など、アイテムと呼ばれる物を落とすことがあります。」



 なるほど。

 ゲームで言う所のドロップ品か。

 自分の世界の英雄は、ガチャ以外でもこうやってドロップ品から手に入るってことか。



「戦闘地域近辺に居る邪神の手先を全て倒さねば、アイテムは出てきません。そして出てきた品を手元に欲しいと念じれば、こちらへと運ぶことが出来ます。」



 ドロップ品は輸送せずに、すぐ回収出来るのか。

 但し戦闘中に回収は不可と。

 細かい部分がまた微妙にゲームらしいのが、何とも言えない気分になる。


 それはいいとして。

 試しに手元に欲しいと念じてみると、机の上に英雄の魂が現れて映像に映っていた魂が消えた。

 なるほど、こうやって手元に持ってこれるわけか。



「あとは現地にて結界を張り、一旦戦闘は終了ですな。結界は神様ネットワークの画面から攻略と書かれた項目を選択して、『結界石』という項目を選べば結界を張れる石が手に入ります。それを戦場に送ろうと念じれば現地に送れますので、あとは現地の英雄がその石を使えば完了です。」



 神様ネットワークの画面を呼び出して、言われた通りに実行する。

 画面越しの戦場にて英雄が石を使い、石から出てきた結界が戦場を包み込むのが見えた。

 なんかゲームと違って手順が面倒くさいけど、ゲームが現実になったらこんな感じなのかね?



「こうして張られた結界は破壊される恐れがありますので防衛する必要があります。ですが強度が高いので簡単には壊されないでしょう。こうやって徐々に邪神の領域を攻略していくのが、貴方様の仕事となっております。この世界から邪神の手先を駆逐して、全ての地に結界を張る。それが貴方様の目的ですな。」



 要するに、邪神勢力を相手に陣取り合戦をしろということらしい。

 まぁ、俺がやることはスマホでポチポチ画面をタップするのと殆ど変わらない。

 簡単過ぎて、これでいいのか?と疑問が浮かぶが、まぁこれで良いのだろう。


 俺は楽だし、文句はない。



「こうして人類の生存圏を広げれば、人間達は資材を造る施設を建てるので、資材を得る速度も早くなります。それと、戦争の結果は神殿に送られて官僚達の手によって民へと発表されます。その結果、勝利に湧いた民達はいつも以上に信仰を我らに捧げ、より多くの信仰を集められるでしょう。」



 ゲームだと攻略完了と同時に信仰やドロップアイテムをゲット出来た仕組みが、現実だとこうなるのか。


 敗北したのも伝わるのか?と思ったが、その時には官僚が上手いこと誤魔化してくれるのだろう。

 いわゆる大本営発表というヤツだな。


 神様ネットワークの画面上部には、現在集まっている信仰が数値で表示されている。

 時間経過で増えたのか、最初に画面を見たときよりも大分増えている。

 ガチャを引くためにも頑張って信仰を集めないとだな。



「神々は人々に安寧を齎し、尖兵たる英雄を創造し、邪神の手先を駆逐して英雄を育てる。簡単に纏めればその三つの繰り返しを行っていくわけですな。」



 この信仰だと……うん。安いガチャなら回せそうだ。

 だが他のガチャを引くならやっぱりまだ全然足りてないな。

 女性英雄は俺の世界の英雄には居なさそうだし、ガンガンガチャを回さないと出ないだろうから、もっと貯めないとダメか。



「それでは、現地の英雄たちには引き続き防衛と攻略を進めてもらうとして、次の説明に移りましょうか。」


「え?ああ。まぁ、そうだな。」



 そういえばまだチュートリアルの最中だったか。

 三日も間が空いたからどうにも感覚が狂っていたが、そういえばまだまだ説明は続くんだったな。


 俺は一体、いつになったら自由にガチャを回せるのか……。




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