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ソーシャルな神様、始めました  作者: 九重市 九十九
プロローグ:チュートリアル
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気が付くと、そこは神域でした。

 気がつくと、真っ白な空間に立っていた。

 俺は確か……そうだ、オフィスで急に気を失ったんだ。

 となると、これは夢なのか?

 それとも俺は既に死んでいて、ここは死後の世界なのか?


 分からない。

 出来れば夢であって欲しいが、どうにも感覚が妙にリアル過ぎる気がする。


 呼吸も出来るし、手足も動かせる。

 歩いけるし、屈伸も出来る。

 屈伸するとじわりと膝に心地よさも感じたので、さっきまで椅子に座ってて足の筋肉も凝ってたのだろう事を考えると、どうにも現実のような気がしてならない。



「おお、反応があったので来てみれば」



 突然、背後から声が聞こえ、振り返った。


 そこには、白く長い髭を蓄えた老人が立っていた。

 白いローブ……いや、なんだったか。貫頭衣か?

 とにかく随分と古めかしい服を着ていて、頭の上には光の輪が浮いている。


 なんか、どこかで見たことがあるビジュアルな気がする。

 あれはなんだっけ……漫画だったかな?

 ああ、そうだ。

 そういえば……って。



「神……様?」



 思わずそう呟いていた。



「そうじゃ、神じゃよ。お主と同じな。」



 神様がここに居るってことは、やっぱり俺は死んだのか。

 死後の世界では、人は呼吸も歩行も出来たらしい。

 もしも奇跡的に生き返れたなら、世に伝えたくなるような事実だ。


 ……って、ん?

 今なんて言った?



「いやはや。この神域に残っとるもんは、零落したもんも含めて全員連れ出したと思っとったんじゃがな。妙な反応があったからと来てみれば、まだ眠っとった神がおったとは。」



 眠ってただと?

 いや、その前に。

 俺が神だと?

 どういう事だ?



「ああ、心配せんでも良い。見たところ邪気はないようじゃし、昔は何をしとったかなんて聞かんよ。ここに眠っとった神はだいたい、起きとることに飽きたもんばっかりじゃったからな。自分が何者じゃったか覚えとらん者もおる。」


「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺は神なんかじゃないぞ?」



 若干声が震えながらも、何とか反論した。

 このまま勘違いされると、何か良くない事態に発展しそうな気がしたからだ。


 そもそも、俺がなんでここに居るのかも分からない。

 あまりにも非現実的な状況で、はっきり言って俺は混乱してる。

 長いこと寝たあとみたいに、頭もハッキリしなくて上手く考えられない。



「記憶が混濁しとるんじゃな。長いこと夢を見とると、偶にそうなるんじゃよ。安心してよいぞ。百年もすれば忘れてたことも思い出すじゃろう。」



 いやいや、記憶が混濁って。

 というか百年も経ったら、逆にボケて何もかも忘れそうなんだが。



「おお、そうじゃ。そんな話をしている場合じゃなかったのじゃ。」



 そう言って、ポンッと手を叩く。

 話を聞かない神様だ。もうちょっと俺に配慮はないのか?

 いやまぁ、神様がわざわざ人間に配慮なんてしないのかも知れないが。



「今ちょっと、大変なことになっとってのぅ。記憶がないお主には悪いんじゃが、神族総出で対処せねばならん問題が起きとるんじゃ。」



 そう言って、神様は神妙な顔つきで話し始めた。




 ―・―・―・―




 この世には、数多の世界が存在している。

 それらの世界一つ一つには、神々が創造した生命が暮らしていた。


 神々はそれを見守り、時には奇跡を起こして生命達を手助けをした。

 生命達は神を畏れ敬い、それが信仰という形として神々の力となった。

 そうして生命は成長し、文明を築き、徐々に進化していった。


 生命の文明が円熟し始めると、神々は眠りに就いた。

 もうすぐ生命の中から神の位に上がる者が出るだろうと思い、成長を促すために神々は手を出すことを止めたのだ。

 生命が自らの手で神の位に上がる。それは、神々の宿願でもあったのだから。


 やがて生命達から神々は忘れられ、信仰を失い、神々は新たな神が産まれるまで力を温存する為に眠っていた。




 ところがある日。外なる世界から邪神が侵略し始めた。


 全ての世界に対して同時に攻撃を仕掛けられ、多くの世界が邪神の手に落ちた。

 眠っていたがために対応が遅れた神々だったが、残った世界を邪神の魔の手から救うべく、力を合わせて立ち向かった。

 しかし、多くの世界を支配することで力を増した邪神は手強く、徐々にだが世界は侵食されていった。


 そこに、新たな光明が現れる。

 とある神が自らの全てを費やして、遠い時空の彼方から一つのシステムを持ってきたのだ。


 それが、『神様ネットワーク』である。


 その神様ネットワークによって、それぞれの世界にて語り継がれた生命を、英雄という形で呼び出した。

 そしてその英雄たちを、世界に蔓延る邪神の下僕と戦わせる。


 英雄達は邪神の下僕から力を得て強くなっていき、その力で更に下僕を打ち倒していく。

 その結果、多くの世界が英雄たちの活躍により、邪神の魔の手から抜け出す事に成功したのだ。


 そうして邪神の下僕との戦いで育った英雄たちは、今度は神々と共に、邪神に支配された世界で戦っていく。


 そして現在。

 神々は英雄と共に邪神と戦いながら、神様ネットワークにて英雄を生み出すことで、世界の平和を維持しながら邪神に支配された世界を解放しているのだ。




 ―・―・―・―




 大体そんな感じの話だった。


 と、言うかだ。

 この話で出てきた『神様ネットワーク』って、俺がやってたソシャゲの『神様の箱庭』に出てきたゲーム内のシステムじゃないか?


 神様が保護するとか、英雄を呼び出すとか、邪神と戦うとか。

 完全にあのソシャゲとそっくりなんだが。

 運営が訴えたら、多分金が取れるレベルで一緒なんだが。



「まぁ、お主は目覚めたばかりで、力も殆ど戻っておらんじゃろう。じゃが神様ネットワークでの英雄育成であれば、目覚めたばかりのお主でも邪神に対抗することが出来るのじゃ。」



 神様としては俺にそのソシャゲを現実でプレイさせて、邪神に対抗する戦力を増やして欲しいらしい。

 流石に夢より夢っぽい展開に頬をつねってみたが、痛かった。夢じゃないのか、これ。



「いや、しかしですね?俺は神じゃなくて人間なので……。」


「じゃから大丈夫じゃて。儂が見る限りお主には神の力が残っておるから神様ネットワークに参加出来るじゃろうし、仮に記憶が人間のものとなっておっても、どんな神でも簡単に世界が管理出来るようになっとるんじゃから。」



 俺の反論も軽く受け流される。ほんっとうに話を聞かない神様だ。


 もしもソシャゲと同じなら、プレイヤーである俺に危険はないと思うのだが、本当にこれがソシャゲと同じとは限らない。

 だから、訳の分からん危険なことはやりたくないので、やんわりと断りたい。

 だがどうにも、この神様はそれを許す気はないらしい。



「ちゃんと初めは天使が付いてやり方を説明するし、手引書も用意しておるからの?このままここで寝ておっても、次に起きたら邪神に喰われとるかも知れんのじゃぞ?」



 確かに、このままここに居ても埒が明かないのも確かだ。

 それに、天使とかちょっと見てみたい。

 一般的に天使は両性具有らしいが、異世界の天使だったら女性の天使も居るかもしれない。


 いや違う、惑わされるな。

 これが夢じゃないとしたら、俺はとんでもないことに巻き込まれそうになってるんだぞ!?



「人々の信仰も得られて力も蓄えられるし、お主にも損はないんじゃ。それにな、中々面白いんじゃぞ?ガチャとかいうクジがあって……」


「やります!」



 ……。

 ……ハッ。

 しまった。ガチャという単語に脊髄反射してしまった。



「おお!お主ならそう言ってくれると思っておったわい。」



 何がお主ならだ。初対面だろうが。


 にしても、どうしようか。

 いや、ここに居てもどうしようもないし、危険も少なそうなので話を断るつもりはないんだが。

 このままだと、なんか俺がガチャ狂いだと思われてそうでなんか嫌だ。


 違うんだ。

 ちょっとだけ、リアルにソシャゲのガチャがあったら、女の子集めてニヤニヤ出来るとか、ちょっと考えただけなんだ。


 って違う。アレだ、アレ。

 俺は俎上の鯉と同じだ。

 俺はこの神様と会った時点から、主導権を握られているのだ。

 拒否なんて、初めから出来るわけがなかったということだ。



「それじゃあ、気が変わらん内に送るぞい。既に受け入れ準備が出来とる世界があるんじゃ。」



 そう言って神様が、俺の肩に両手を置いた。

 徐々に気が遠くなり、意識が薄れていくのを感じる。


 ぼんやりとした頭で考える。

 ああ、もしもこれが夢だったのなら、今から起きるのだろう、と。




 でも、夢だったら少し残念だな。

 だって、もしもソシャゲをリアルに遊べる世界に行けるのなら。

 それ何てエロゲ?が、リアルになるかも知れないだろう?

 いや、あのゲームはR-18じゃなかったけども。


 ともかくだ。

 ガチャをしながら、ガチャで出した女性英雄たちと桃色バラ色キャッキャウフフ生活が出来るかも知れない。

 もしそうなら前世に未練は……ちょっとはあるが、それでも楽しそうだし悪くはないと思う。


 まぁ、流石にハーレムとかはギスギスしそうで嫌だが。

 でも美人に囲まれる生活が嫌いな男はそうは居ないだろう。

 少なくとも、俺は嬉しい。



「おお、そうじゃ。お主が行く世界は戦車や銃器が存在する世界で、呼び出せる英雄は軍人じゃな。」



 ……ちょっと待て。


 呼び出せる英雄に、制限があるの?

 というか、軍人ってお前……女軍人は居るのか!?

 そもそも軍人相手に神様するのか、俺!

 つーか最後の最後でなんてこと言い出すんだこのジジイ!!


 せめて、せめて女性が居るかだけ―――




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