あったんだ ささやかに
ウンコマン参上!
眠くなったという訳ではなく
準備し始めたと言った方がいい
周りが変わったのではない この眠たそうにしている
人間の事だ 眠たそうと言ったがもう声かけにも
少しぐらいつついても反応しないだろう
見れば立ってはいるが、倒れているのと変わらない様に
身体を投げ出して力が入っていない
眼は開いているのでまだ完全には落ちていないというだけ
ほっといてももう帰るのは間違いない
もっと早くちゃっちゃと済ませれば何事もなかっただろうに
…………
俺はこいつの付き添いでもない、隣で拷問されても
もしかしたらじっと見て何もしないかもしれない
多分自分の身を案じ差し出すようにするかもしれない
助けるとか守るなんてこれっぽっちも無い
俺がやることではない
今の興味は他に向いてしまっていた
そのくらいこいつとは離れた異界に感じる
魚や虫の方がまだ触れるだけましだ
首が切れて血が吹き出ても 何とも思わない、そんな事に
なりそうな気がする
自分とは同種ではない 同じ生き物ではない
もしかすると紙に書かれた絵の感覚に近いかも知れない
現実ではないのだから仕方ないのかも、
俺が現実と違うし そこに全く別の感覚がきてもそれらを一緒には 判断出来なかった
もうそれはどうしようもなく明らかに線引きがなされていた
奴と俺は合わないのだ!
想像だと思いなおした所で振り向く
恐らくはこっちから来るはずだからだ
どうせあのくそ野郎が変なもん捕まえて俺に嫌がらせでも
しようと考えているんだろうな
ほんと胸くそ悪い奴だ
あれこそが俗にいう、煮ても焼いても食えない奴、
ってやつに違いない
アタマの中悪事しかないに違いない
あれこそ人の範疇で語ってはいけないのだ
服が所々擦れる度にぶるぶるして まるでゼリーの様に
全身に広がる
鬱陶しい 動きの制限になっている
なんだろう 兎に角当たらない様になんて無理なので
そのまま動くしかない
何の問題もないのか?これって?すごく有っても
別段驚きはしない その内もげるとか言われても
いやだけど、納得は出来そうだ
そんなことがアタマの中にどんどん出てくる
今の所一番悪い方に選択されて行ってるみたいな感覚がある
それが俺には普通になってしまうのかもしれん
なんて人生に生まれてしまったのだろうか
人でないけどもうめんどうだ、生まれてもないが
もういい そのままでも俺には関係無い
いちいちあれは違うとか言わん
うるさい! 俺は今忙しいんだ!
今のところこの服を自分一人で脱がすことはできないから
そのままにしておくしかない
そしてこれが今一番世界に近いんだってのは
よくわかる
何故なら俺の元の人間は此処には居ない
それに俺とつながっているのは奴なんだ!
服はあの人間と一緒に戻るかも知れない
それなら、俺にも理由ができる
俺も理由が欲しい なら俺もあの人間を帰さないとまずい!
それを待っていた… ふわふわには飽きた もういい
正直今変な奴が来て俺を消してみせたとしても
俺には実感が湧かないだろう
痛みすら無しに湯けむりよりも暑くもなく
思い出の様に残ることもなく
いないやつがいなくなっただけ?
いや余分な所を直すに等しい
余程至福の至りではないか ぷるぷるしてなかったら
存在感が欲しいと …そうか、これでいい!
これがあれば少なくとも感覚がある!
そうかまだ俺は消えてはいないと云うことだ!
こんな簡単な事を感じられないとは………
やっぱ服はいる!
少し思うんだが、…前の記憶の世界と違う
全く違う! 全くあてにならない!
これじゃ記憶なんて無い方がいい
あるままに受け止めることができない
常に前はどうだったかって そんなの説明していたら
俺は今に 間違える! だって前はここじゃない
それの勘違いで踏み外す
なんでこんな風にしてくれたんだ!
それにあのアホ!知識も勇気もない機転も利かず
運もない!
とんだ奴の意識を貰ったもんだ!
もっとましなのだったらもうちょっと変わっていたかもな
しかしそれももう地に堕ちた
あの世界には帰りたくないね!
行くなら俺が選ばせて貰う!
別のもんになってやる
「ねぇ、 行かないの?」
後ろ向きに先っぽにつき差さっている首だけの
顔も付いてない もっというと顎がかろうじて残っている
脳はおろか肩も胸も髪もない 首のパーツだけのいわばただの肉片と言って相違ないそれが声を出してしゃべった
勿論そのひとを示す特徴は無く、かつて誰であったか
どんな体型をしていたかはその者の声で判断するしかない
「気持ち悪いぞ!黙っておれ、」
その血もなく、他の部位もないのに全く〞変わりなく〝
喉を震わせているそれをこう言った
「ちょっとレディにそれは酷いんじゃない?」
「それはすまんな!」
その者は捕まえた肉片を大きな鎌に突き刺して進んでいた
ウンコマンはウンコを残して去った




