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その拳、魔法より強し  作者: 一崎
その拳、魔法より強し
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説明会

連続更新中です。やっと七最天全員の名前が登場します!

 七最天祭に参加するメンバーが集まり、説明を受けている。参加者である俺も、当然説明を受けている。


 他の七最天は来ていない。不参加だからだ。ルベルト先輩は来るかもしれないと思っていたが、当日は普通に結界の守護につくらしい。


 まあ、先輩と戦ったら一瞬で負けるので、作戦的には都合がいい。


 さて、参加者だが、意外と多くない。というより、俺のクラスから人が出場しすぎである。


 三十人。それが今回の七最天祭の参加人数である。うち、俺のクラスからは四人だ。

 俺、グリム、イケメン野郎、会長である。


 他の一年は誰もいない。それはそうか。一年ではまだ虚無も魔力解放も習っていない。その上、魔道具も得たばかりだ。

 習う魔法も初級のみ。出場する方がおかしいのである。


「では、説明会を行うよ。司会進行は神医アイザックが行う。だから、生徒たちは安心して怪我をしてもいいんだ」


 説明会で怪我するかよ。アレイスト先生が司会だったらあり得るけれどな。


「まず、ルールだよ。一対一の戦いをして、勝てばもう一度戦える。それを何度か繰り返せば優勝だ」

「雑!」

「きみのツッコミもね、アイトくん。試合だけれど、殺す気で行っても問題ないよ。死なせないから」


 アイザック先生の治療魔法は相当なものだからな。腕が千切れても安心できる。滅茶苦茶痛いがな。


「まず、選手の子には一年Aクラスの担任の先生から防御魔法をかけて貰うよ。それによって、致命傷だけ防がれるから」


 あの龍の猛攻を防いだ魔法だろうか。あれはかなりの人数に使用していたから保たなかったが、二人程度ならば問題あるまい。


「ま、それでも死ぬ人はいるんだ。辞退するなら今だよ? 怪我はするし、最悪四肢を失うよ。治すけど」

「っち! アイザック先生よー? あんたの説明ツマンネ。今更さ、辞めるやつなんていないだろ?」


 今の乱暴な口調の人間は、俺ではなかった。後ろの方から声が聞こえた。


「くだらねー。俺様が勝つのは決まってるしよ。ま、七最天もいるみてえだが? 最弱らしいし?」

「生徒、きみ名前は?」

「知ってんだろ?」

「ご名答だ、アーガくん。話の邪魔だから、出て行ってくれない? もちろん、出場はキャンセルだ」

「わーかったよ。黙る」


 アーガと呼ばれた不良は黙った。しかし、態度が悪いな。ガムを噛んでいるし、机に足を乗せている。髪は染めているのだろう。赤と金色が混じっている。

 不良の癖に、髪型はリーゼントではない。


「説明を続けるよ。試合は意識を失うか棄権すれば敗北。それだけだ」


 本当に簡単なルールだな。魔法による完璧な治療と防御が可能にする杜撰さである。


「優勝者には、七最天に挑戦する権利が貰えるよ。で、今のうちに誰に挑戦するか決めておいてね。七最天は忙しいから、いきなり挑んでも出てこれない」


 それもそうだ。

 おそらく、予め誰に挑戦するか聞いて、決勝戦あたりで呼ぶのだろう。そうすれば無駄がなくなる。


「じゃあ、決めて貰おうか」


 アイザック先生が呑気な声で言う。それを待っていたかのように、その場の全員が動く。みんなが俺を指さしていた。

 人気者だな。


 と、全員かと思ったが、二人だけ違う奴らがいた。グリムと会長だ。遠慮でもしているのだろうか。気にすることはないというのにな。


「慌てないで。プリント回すから、それに挑戦相手を書いてね。あ、個人的助言だけれど、ゾロアくんとクロネさんは諦めた方が良い。殺されるから」


 ゾロアは昔に聞いたことがあるな。七最天の一人、全知ゾロア・アークロア。名前しか知らないが。


 もう一人は初めて聞く名だ。これで七最天で名前が不明なのはあと一人となる。


 配布されたプリントに自分の名前を書いて、挑戦相手の欄を見る。

 誰にしようか。

 俺を選ぶのも手だが、そうなると観客が落胆するだろう。七最天への挑戦がなければ、七最天祭は名前詐欺になる。

 いや、俺を倒せば交代になるなら、そうでもないのか。まあいい。


 アメリアは怖い。ルベルト先輩も勝負では容赦しないだろう。リリネットも襲いかかってくるだろう。

 他の最天はどうだ。

 ゾロア・アークロアは危険らしい。クロネという人もだ。

 だったら、残る一人か。


「おい、グリム。最天の名前を全部教えてくれ」

「え、知らないの? えっと」


 神罰しんばつアメリア・エクシス。

 創世そうせいルベルト・フラシュタイン。

 獣王じゅうおうリリネット・マーチベルク。

 全知ぜんちゾロア・アークロア。

 愛寵あいちょうイスズ・ヒトトセ。

 剣群けんぐんクロネ・ダリス。


 この六人こそが、かつての六最天。


「ありがとよ」


 俺はイスズ・ヒトトセという名前を書いておいた。能力も性格も不明だが、他よりはマシだろう。


 プリントを回収して、この日の会議は終了した。怪我人はいなかった。アイザック先生は残念がっていた。

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