2話 聖女と聖剣
久しぶりに書いているのでおかしい事があればご報告等ありましたらお願いします。
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「幼き少年こそ至高、この世の理にして正義です」
そう宣ったのはこの国の聖女様だ、あの魔王の後にこれか、俺は子供は嫌いなんだがな……。
そしてこの熱く語る聖女様が何が言いたいかといえば、俺のショタ化だ。
あの魔王の魔剣の対になるんだと思う全ての男性を穢を知らない無垢な少年に変える聖剣を持っていてそれを俺に押し付けようとしている。
勿論押し付けられれば俺は少年化することだろう、全く困った話だ。
「いやだからと言ってそんなもの渡されたら俺が剣を振るえなくなるんだが……」
小さな男の子があんな剣を持てるわけがないんだが、それを言ってしまえば聖女様の細腕で軽々と持ち上げているという事実からして何かしらの理由で言いくるめられそうだ。現に――――
「この聖剣は自分が認めた持ち主ならばその筋力に関わらず、まるで羽のように軽々と振るうことができますので大丈夫です」
何が羽のようになのか、そこまで軽かったら逆に扱いづらいだろう……もう勘弁してくれ。
「さぁ、この聖剣を受け取り真の勇者になってください!」
聖剣に妙な名前が付いていないだけまだマシだが、魔剣の時のように手にとって素早く投げ捨てるのはアウトだろう、失敗は活かす……しかし逃げ道がない。
そういえば魔剣は聖剣の力を相殺するって聞いた気がする、イチかバチか出してみるか。
「こいっ、魔剣!(以下略)」
言えるか!あんな不名誉な名前を……なんか別のあだ名か何か考えてやるか。
叫びながら天に掲げた右手に漆黒の刀身に紫というかちょっとピンク寄りの紫のラインが血管のように張り付いた禍々しい魔剣が現れる。
そしてひと振り、たったそれだけの動作でいいこの聖女を幼女に変えるのはな。
幼女になってもまだ聖剣持っていられるところを見ると羽のようにっていうのは本当らしいな……しかし困ったこいつが幼女化したってことは力は相殺されていないって事だよな。
うん、拙いんじゃね? 当てが外れてしまったな、参った参った、あはははは……。
「な、なんですかこれは! そ、それにその剣は、もしや魔剣?」
「そうだ、魔剣だよ能力はあんたが持ってる聖剣の効果が男じゃなく女に効くって言えば大体わかるか? その状況」
聖女は自分の姿を視認すると俺を睨みつけ聖剣を振りかざし飛びかかってきた。
……仕方ないよね、俺の振るった剣が届くほどの至近距離だ、避けることも受けることも出来ないんだから、つい柄を掴んで奪い取っていたんだ聖剣を。
「やっと受け取ってくれましたね! これであなたも幼き日の姿に戻るのです!」
俺の手に収まった聖剣は眩い光を発し――――そして、消えた。
『聖剣を取得しました』
ですよねー。
俺自身が幼くなることもなく全て終わった……。
「グハハハ! 我が愛しき聖女よ、我の好ましき姿と成り果てたと聞いて馳せ参じたぞ!」
「ま、魔王!」
なんだ、この茶番まだ終わらないのかよ……そういえば聖女が幼げな少年が聖剣を振りかざして魔王を倒してくれるのが夢とか言ってたんだっけ?
魔王痺れを切らしてやってくるとかここの警備どんだけ杜撰なんだよ。
仕方ないな、とりあえずサクッと……俺は魔剣を消し、代わりに光の聖剣を生み出しつつ、軽く魔王に向かって投擲。
俺の手より放たれた聖剣はレーザービームの如く魔王に真っ直ぐに飛んで行き……。
「そこだ!」
俺が聖剣を放った腕を縦に振り上げるとレーザービームもそれに釣られて縦にそれ、魔王を真っ二つにする。
「ア?」
魔王は間抜けな声を出して左右に別れて倒れた、床は血の海だ……えぐいな自分でやったことだが。
「きゃぁぁああ!?」
魔王の血をもろに被って聖女が叫ぶ、まあ俺にはもう関係ないがな、次だ。次。
『――――召喚準備中、召喚世界選定中。』
どうにも最近こういうところでドライになったというか、未練もなくなったな俺。
『――――召喚準備完了、召喚開始します。』
血の海で放心状態の聖女を置き去りにして俺はこの世界から消え失せた。




