2.水撒き
部活があろうとなかろうと、この良く晴れた日曜日、家中のシーツを洗うために私をベッドから追い出したかったらしい、大きなため息と共に十時までの眠りを諦めた。
シャワーを浴びて汗を流し、片手で髪を乾かしながらショートパンツにタンクトップ姿でアイスをくわえた、髪を乾かすのもそこそこに使っていたタオルを首にかけたところで、今度は水まきをたのまれた。普通にかったるかったがすることがあるわけでも無い、アイスをくわえたままやる気の無い返事をして、吐き出しの窓から外へ、つっかけに足を入れた。
庭は手入れされているものの、プランターが変に一箇所に固まっていたり、庭の大部分を錆びかけた物置が陣取っていたりとどこか雑然としている。勝手口の側から水まき用のホースを引っ張り、アイスを片手に水をまく。元々のずぼらな性格+《プラス》目覚めの悪さで、その場から動く気になれず、水の勢いを強くして、蛇口の側を離れる事無く庭に水を飛ばしていく。
ふとプランターの一角に目を向けると濡れてはいるが中の土まで水が行き渡っているのかどうかは分からない、水圧的にこのまま水をプランターの中に向ければ中の花が倒れるのは確実だった。水の勢いを緩めてわざわざ水をやる気にもなれず、なんとなくプランターに水を当てていると庭の向こうに止められた車が目に入った、母親の使っている白の軽自動車、その下で野良猫が手足をいっぱいに伸ばして寝転んでいた。自動車の下の日陰で涼む猫は嫌味なほど気持ち良さそうに目を閉じている。
眠りを妨げられて不機嫌さとちょっとしたイタズラ心から、あまり考えること無く猫に水を向けた。
さすがは野良として生きてきた猫、驚いてはいたが水にかすりもしないで走り去った。慌てふためく姿がおもしろく、軽い笑いを誘った、さらにもう一匹庭を囲む柵の向こうに猫を見つけて、そのままその流れで水を向けた。
―――バシャッ!
水は猫に直撃し、猫の体がゆらりと傾いたかと思うとまるで枯れ木のようにあっさりと猫は倒れた。




