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踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>  作者: 河野 る宇
◆第1章~矢は放たれた
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*新たな目

「よし、出来た」

 真仁まひとは溜息を吐き出し、その機械をカイつばさに手渡した。

「! これは」

「特別仕様だよ」

 小さなディスプレイの付いたヘッドセットを見やる戒に応える。

「敵味方識別コードと、登録されている全てのクローンコードに赤外線とサーモグラフィ内蔵。もちろん通信機能もバッチリ」

「どうやって敵の判別を?」と翼。

「戸塚の所にいるハンターたちは専用の通信機を支給されているんだ。その電波を識別して表示する」

「ほう……」

 戒は懐かしい機械に目を細め、その感触を確かめる。

「中には殺したハンターからその通信機を奪っちゃう人もいるけど、間違って殺してしまっても君たちの責任じゃないからね」

「!」

 しれっと発した真仁に翼は視線を上げた。

「悪いけど今は戦いだ。1つや2つの命に構ってはいられない。全てはボクの判断だ、非を負う必要は無いから」

 そんな真仁の言葉に、戒と翼は互いに見合い溜息を吐き出す。

「お前に責任をなすりつけるつもりはない」

「もとより、そんなのは解ってることだよ」

 何を今更……と2人は笑って肩をすくめた。

「そうだったね、君たちは優秀なハンタードッグだったことを忘れていた」

 ヘッドセットのチェックしといてね。

 言って真仁は離れていく、リーダーは何かと忙しい。

「ねえ、戒」

「ん?」

 ヘッドセットをチェックしながら、同じく確認している戒に質問してみた。

「真仁ってどういう人?」

「さあな。俺も詳しくは知らん」

「聞いてる限りでは、なんかかなりの人物っぽいんだけど」

 ヘッドセットを左耳に装着して続ける。

「噂じゃあ政府の高官にコネがあるとか」

 戒は右耳に装着し応えた。

「ふうん……わっ!?」

 スイッチを入れた翼は、ディスプレイにいくつもの数字が重なって表示され驚いた。

 ここにいるクローンたちのコードらしい。

「なるほど、こいつが味方識別コードか」

 戒は冷静にスイッチとディスプレイを確認していく──クローンコードは灰色、味方は緑、敵は赤で示されるようだ。

 ノートパソコンの横にある見慣れない携帯ほどの大きさをした、通信機らしい機械に赤い文字が示されている。

 味方のコードは、ヘッドセットから出されている電波だろう。

 戒は勝手にそう推測し、他のフィルタを確認する。

「ねえ」

 翼は少し声を張り上げて真仁を呼んだ。

「なんだい?」

「電波って敵に探知されたりしてないの?」

「ああ、それなら問題ないよ。色んな電波をあちこちで流してるから、傍受しようとすれば攪乱かくらんされるだけさ」

 真仁の返しに口笛を鳴らす。

「通信は毎回、違う暗号で発信される。問題はないだろう」

 ヘッドセットをいじりながら戒が発した。

「! なんで知ってるの?」

「それが基本だ」

 目を丸くしている翼に鼻を鳴らす。

 元自衛隊の特殊部隊に所属していた戒は、こういう機器に関してはエキスパートと言っていい。

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