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踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>  作者: 河野 る宇
◆第7章~終焉の序章
23/32

*思慮

 筒井は部屋出たあと、足早にモニタールームに向かう。

「どうだ」

 言ってのぞき込んだディスプレイには、つばさの後ろ姿とその前で椅子に拘束されているカイが映っていた。

<翼! 考え直せ>

<もう遅いよ>

 ディスプレイに内臓されているスピーカーから2人の会話が流れる。

 筒井はその光景に目を細め、苦い表情を浮かべた。

「どうだ」

 遅れて戸塚が部屋に入ってくる。

「言い争っています」



「翼!」

 戒は声を詰まらせ、無表情に見下ろす翼を見上げた。

「弟じゃなかったのか」

 目を伏せてつぶやく戒に鼻を鳴らす。

「全然、疑わないんだね。僕は戒のそばにいたかっただけ」

 例え弟としてでも構わない、戒の傍にいられればいい、離れるのだけは嫌だった。

「なのに、あいつは戒を呼び戻して僕から奪おうとした」

 折角、僕のモノになったのに! 怒りをあらわにして拳を握りしめる。

 しかしすぐ、その表情を緩めて戒の前にしゃがみ込む。

 戒の太ももに頭を乗せ、恍惚とした。

「戒がいなくなれば真仁はおしまい。こっちには水貴みずきがいるからね」

「!?」

 その言葉にビクリと体を強ばらせた。

 それを確認するかのように顔を上げ、また可愛く笑う。

「でも、これで水貴とも闘わなくて済むね」

「翼! お前は自分が何をしているのか──」

「解ってるよ。充分にね」

「こんなことをしている状況では」

 戒の言葉を遮るように、その唇を自身の唇で塞いだ。

「何を言っても、もう遅いんだよ。戒」

 驚きの目で見つめる戒に薄く笑んで応えた。



「……」

 演技ではなく、本当なのか?

 その様子をディスプレイ越しに眺めていた戸塚は計りかねた。

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