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踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>  作者: 河野 る宇
◆第6章~裏切りの明日
21/32

*思わぬ客

 次の日──カイたちは、3つのパーティに別れて戦闘を行う事にした。

 装備を確認し、それぞれのパーティは地下をあとにする。

つばさ

「ちょ、ちょっと待って!」

 もたもたしている翼に戒は溜息を漏らした。

「先に行く」

 他の仲間たちは足早に指示された場所に向かう。

「すまん」

「ご、ごめん」

 ようやく準備を済ませた翼が苦笑いで戒に駆け寄った。

「行くぞ」

 仲間たちの後を追うように外に出る。

「! どうした」

 戒は路地裏で立ち止まった翼に振り返り、怪訝な表情を浮かべた。

「あのさ──」


 地下では、

「! ……?」

 仲間たちのコードとマップを見ていた真仁まひとが眉をひそめる。

 翼と戒のコード表示が消えたのだ。

「どういうこと? 戒、返事して」

 音信がない。

「翼? おーい」

「真仁君、どうした?」

 レツが青年に近寄る。

「翼クンと戒からの応答が無いんだ」

「なんだって?」


 それからおよそ30分後、戸塚の部屋──相変わらずの出っ張った腹を抱え、戸塚は本革のソファに足を組んでつまらなさそうに寝そべっていた。

 部下からの報告で翼の姿が見えないと聞き、ふてくされて指揮を筒井に任せているのだ。 そんな戸塚の部屋にノックの音が響き、入ってきた筒井の報告に勢いよく起き上がった。

「! なんだと?」

 立ち上がり、慌てて部屋から出て行く戸塚のあとを筒井が追う。

 戸塚は足早に1階に降り、階段下にある扉を開いた。

 他の部屋よりも質素な空間に見えた2つの背中に目を眇め、その背中を眺めつつ回り込む。

 その姿は、まさに待ちこがれていた人物だった。

「翼、何故君が」

「……」

 翼は戸塚と目を合わせ、すぐに視線を外した。

 その青年のすぐ後ろにいる男──手錠で拘束されている戒は、苦い表情を浮かべ翼を黙って見下ろしていた。

「一体、何があったというのだ?」

 抱きしめたい衝動を必死に抑えるように両手を震わせる。

 翼は、問いかけた戸塚に向き直り小さく口を開いた。

「……真仁から逃げてきた」

「! 何故だね?」

 その言葉に喉の奥で舌打ちし、声を荒げる。

「あいつ、僕をあんたに売ろうとしたんだ」

「!?」

 戸塚は自分の名前が出てきた事に驚き、目をギラつかせて憎しみをあらわにしている翼を見やった。

「解るように説明してくれんかね」

 それに、少し落ち着いた翼がゆっくりと語り始める。

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