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踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>  作者: 河野 る宇
◆第6章~裏切りの明日
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*予兆

 ハンターたちは設置したカメラの位置を真仁まひとに示していき、それと映されている映像を照合してコンピュータに入力していく。

 地道な作業を繰り返し、真仁たちは少しずつ戦場と庭を広げていった。

 敵は敵で同じ事を行っている。

 牽制けんせいし合うという意味でも、互いのカメラは壊さずにいるらしい。

 破壊する行為は、相手に情報を伝える意味にもなるため自重しているとも言う。

水貴みずきがいたんだって?」

 真仁は、入力しながらカイに問いかける。

「水貴の持ってる通信コードは探れないの?」

 つばさが横から訊ねた。

「実は水貴がいた組織は最近ここに来たんだ。前は埼玉辺りで戦っていたんだけどね」

「じゃあ、なんでこっちに?」

 宙に問いかけながら戒に視線を送った。

「だと思うよ」

 応えた真仁も戒に目を向ける。

「俺のせいか……」

 2人の視線に戒は小さく溜息を吐き出した。

「ハンターなら誰でも君と闘ってみたいと思うんじゃない?」

「僕は勝てる気がしないから嫌だけど」

 翼の言葉に、聞いていたハンターたちも手を挙げて同意した。

「……お前らな」

「ま、どっちかになるだろうね。因みにボクは闘ってみたいと思うよ。ハンターだったらの話だけど」

 キーボードを打ちながらしれっと応える。

「水貴たちのいる組織のコードは今日中になんとか設定するよ」

 戒を一瞥しニコリと笑った。

「頼む」

 軽く手を挙げて応え、壁に向かう。

 背を預けてしゃがみ込み、水を飲んでいると隣に翼がちょこんと腰を落とした。

「肩は大丈夫か」

「うん。まだちょっと痛むけど」

 肩をさすり真仁を遠目で見つめた。

「ねえ」

「ん?」

「真仁は僕のこと嫌いなのかな」

「何故だ」

 問いかけた戒に目を向けず顔を伏せる。

「だって……僕にはいつもきついんだ」

「そうか?」

 戒はウォッカをひと口、味わいながらさして関心もないように応えた。

「戒には優しいから気づかないんだよ」

「お前の気にしすぎだ」

 その言葉に翼は唇を尖らせて、納得のいかない表情を浮かべ顔を伏せた。

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