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踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>  作者: 河野 る宇
◆第5章~意識回避
18/32

*レールウェイ

<移動には数時間を要する。それまで気取けどられないようにヨロシク>

 足早に移動中のハンターたちに、真仁まひとの声が届く。

 こちらの動きに相手も合わせてくるハズだ──所定の位置に到着すれば、すぐさま銃撃戦となるだろう。

 つばさは肩を負傷しているため、今回は真仁たちと移動する側に回った。

「!」

 予想通り、カイがたどり着く前に銃声が周囲に響いた。

 すぐさましゃがみ込み、両手の指ぬきグローブを確認するようにはめ直すと肩にげていたスナイパーライフルを手に取る。

 今回のライフルは、ボルトアクション式と呼ばれる単発式のスナイパーライフルだ。

 命中精度でいえば前回のライフルよりこちらの方が高い。

 近距離や単独での戦闘にはやはり不向きな武器だが、今では旧式と言われている武器類は単純な構造のものが多いため故障が少ない。

 戒は、ライフル上部についているボルトハンドルと呼ばれるレバーを引いた。

 弾薬カートリッジ装填そうてんし、再びハンドルを戻す。

「スコープだけは最新だがな」

 口の中でつぶやきターゲットを捉える、片膝を立てライフルを固定した。

 戒は両利きに矯正しているため、落ち着いた場所でなら左でも狙撃が可能だ。

「……」

 数秒、息を止め引鉄ひきがねを引く。

「ここは何人だ」

 倒れた影を確認し、スコープを覗きながらヘッドセットに声を送った。

<およそ10人>

 返ってきた声に舌打ちして再び引鉄を引いた。

 こちらの分散に合わせ、向こうは数を多めに差し向けている。

 敵は必ず、こちらの数より多めにハンターをよこしている。そうでなければ勝てない事を充分に理解しているのだろう。

「そういう処は頭が働くとみえる」

 スコープから目を離さず薄笑いでつぶやいた。

 こちらの数は前線に7人、後方支援に3人だが正直ギリギリの数だ。

 仲間にライフルやマシンガン、ハンドガンで弾幕を張ってもらい戒が狙撃をする形をとっている。

 向こうにはいくらでもストックがあるらしい、倒してもいつの間にか数が元に戻っている。

 こちらは1人も減らせないというのに、どうにも理不尽な感覚に戒は若干の怒りを憶えた。

 そんな戒の横を何かがかすめ、生後で大きな爆発音が響いた。

「……」

 煙の上がる場所を数秒ほど見つめ、半ば呆れて目を丸くした。

「ロケットランチャーか」

 こいつは気をつけないとな……と、発して再びライフルのスコープをのぞき込む。

「そんなものをぶっ放すな」

 口の中でつぶやいて引鉄を引き、ランチャーを持っている男が大きなリアクションのあと消えたのを確認する。

 そうして数時間の攻防戦ののち、真仁の声がヘッドセットから流れる。

<OK、移動を完了したよ。場所は──>

 戒たちは警戒しながら一端、撤退てったいした。



 真仁たちと合流し、まだ機器の設置を続けている様子を眺めながら水を飲む。

「戒」

 肩を守りながら笑顔で歩み寄る翼に、軽く手を挙げて応えた。

「どうだった?」

「とりあえずこちらの負傷者はゼロだ」

  答えた戒に翼がすいと絆創膏バンソウコウを差し出す。

「?」

 怪訝な表情を浮かべていると、翼がちょいちょいと自分の右頬を指差した。

「!」

「負傷者1名だね」

 発して戒の頬に絆創膏を貼り付けた。

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