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踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>  作者: 河野 る宇
◆第5章~意識回避
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*必然的頭脳

 次の日──今日の作戦を決めるため、ハンターたちは真仁の元へ集まった。

「今日は5つのパーティに別れて攻撃を行ってもらいたい」

 真仁まひとの言葉にハンターたちが無言で頷く。

「戦っている間にボクたちは移動を開始する」

「!」

「移動?」

 カイはそれを理解し、つばさは首をかしげた。

「一ヶ所に留まるのは得策じゃない。ボクたちは定期的に移動を繰り返して相手の目から逃れているんだよ」

 翼に説明して続ける。

「移動場所はヘッドセットで伝える。決行時刻は今から約2時間後の11:30(ヒトヒトサンマル)でよろしく」

 ハンターたちはすぐさま戦闘準備に取りかかり、真仁とレツたちも移動準備を始める。

 地下鉄という場所を利用して線路を歩いての移動だと思われるが、数百人のクローンたちを連れての移動はかなりの時間と労力を要する事だろう。

「色々と大変なんだな」

 翼のつぶやきに、真仁は薄く笑みを浮かべた。

「彼らが自分で自分の身を守れるならいいんだけどね」

 そういうワケにもいかないから……と、引き抜いたコードを束ねて箱に投げ入れていく。

「何人くらいいるの?」と翼。

「ん~、こないだざっと数えた時は200くらい」

「! 多いね」

「今でもいつの間にか増えてるよ。増えたクローンは身体検査してから置くようにしてるけど」

「え、なんで?」

「敵が送り込む可能性を考えろ」

 戒が翼の頭に手を置きながら発した。

「あ、そか」

「疑いたくはないけどね」

「今の状況では当然の措置だ」

「今いるクローンのコードを記憶させて新たなコードが発見されたら知らせるようにしてある」

 手に持っている見慣れない機械を示す。

 携帯ほどのサイズのものをコートの胸ポケットに仕舞い、真仁は準備を続けた。

「あ、でもそれで不思議に思ってたんだけど」

 翼が思い出して戒に視線を送る。

「ここのクローンたちのコードって、敵は探知してないの?」

 識別チップが埋め込まれている以上、それを認識する端末があれば表示されてしまう。

「それも心配無いよ、地下は閉鎖されてるからね。携帯の電波が届かないのと一緒、上からいくら調べたって無駄なの」

 真仁が少し離れた距離から天井を指さして説明した。

「あいつが地下を根城ねじろにした理由はそういうことなんだろう」

「う……どうせ僕は頭が悪いよ」

 戒は、いじける翼に笑みを浮かべ真仁を見つめた。

 彼がそうならなくてはいけなかった理由があるのだとするならば、それは心地よい過去ではなかったのかもしれない。

 憶測で物を言うのは好きじゃない。戒は瞼を一度閉じ、準備を続けた。

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