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踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>  作者: 河野 る宇
◆第4章~閃光の先
14/32

*その存在

「!?」

 カイの横を銃弾がかすめた──それに少し驚き、飛んできた方向にスコープを向ける。

真仁まひと、敵の後方、およそ50mの地点」

<待って、リンクした>

 別のカメラからの映像が戒のディスプレイに映し出される。

 ヘッドセットを操作しながらスコープを覗くと、戒は捉えた影に目を見開いた。



「! まさか!?」

 地下でその映像を見た真仁も一瞬、息を呑んだ。

<奴の通信機につなげられるか?>

「少し待って、彼は戸塚の組織じゃないから」

 戒の声にキーボードを操作する。



「……」

 スコープを覗く戒の表情は苦い。

<つながった>

 戒のヘッドセットに呼び鈴がしばらく鳴り響き、そして──

<しばらくだな、戒>

水貴みずき

 スコープの向こうに捉えた男が携帯のようなものを右耳にあてがい、無表情に立っている。

 水貴と呼んだ男の逆の手にはライフルが握られていた。

「何故お前がそこにいる」

<それが正しいと思ったからさ>

 その言葉に、戒は喉の奥で舌打ちした。

 ハンタードッグをしていた頃、戒と互角の力を持つとわれていた男──水貴。

 赤茶けた髪に彫りの深い顔立ち、戒よりやや年下だと思われる風貌だがその瞳は戒と同様に鋭い。

 奴とやり合えば死ねるかもしれない。

 そんな戒の思考に反して、水貴とターゲットがかち合う事は一度もなかった。

 戒がハンターを辞めるより少し前にハンターを辞め、外人部隊に入隊したと聞いていた。

 その水貴が目の前にいる……しかも敵として。

「お前のいた組織が戸塚に付いたからか」

<それもある。だがそれだけじゃない>

「何故だ」

<おまえには解らんよ>

「!?」

 スコープに捉えた水貴の口の端が吊り上がり、戒はゾクリとした。

「! 水貴!」

 背中を向けて遠ざかる男に叫んだが、虚しく通信は切られた。

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