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踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>  作者: 河野 る宇
◆序章~暗き世界の閃光
1/32

*始まりの音

*ダークな世界ですが最後までお付き合いくださると嬉しいですです。

 日本、東京──男は暗い道を歩いていた。

 膝下まである薄手の草色コートが、歩くたびすそを揺らす。

 夏が終わりを告げようとしている季節は、太陽がかげるにつれて少しの肌寒さを呼び寄せる。

 時刻は17時を少し回ったところだろうか、過去には深夜でも人通りの絶えなかった街は今や閑散として、荒んだ風景に微かな血の匂いがどこからともなく漂ってくる。

 ぽつりぽつりと距離を空けて灯る街灯すら、申し訳なさげに周囲を照らす程度だ。

「止まれ!」

 突然、怒鳴り声と共に男が現れた。

 それを合図に、さらに4人ほどが姿を現す。

 呼び止められた男を挟んで前に2人、後ろに3人──その手には各々、ハンドガンが握られていた。

 どの服装も薄汚れていて清潔とは言い難く、一様いちように殺気立っている。

 そうして呼び止められた男は、視線だけを動かした。その表情は、薄暗い街灯のもとではうかがい知れない。

「おい」

 初めに呼び止めた男が、注目させるように発して続けた。

「きさま、擁護派か?」

「……」

 問われた言葉に目をすがめた。

 ゴミが散乱している歩道を鬱陶しそうにしながらも、コートの男から紡がれる回答をじっと待つ。

 男の左横には、分厚いコンクリートで造られた灰色の塀が威圧的にそびえていた。

「答えろ!」

 応えない男に業を煮やしたのか、銃口をガチャリと突きつけた。

 その刹那──男の背後からいくつもの銃弾が放たれ、5人は悲痛な声をあげながら倒れ伏した。

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