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今日あたしは筆頭聖女を辞めました。  作者: そらのたまご


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やってきました辺境領!


 さてさてそんなわけでー、やってきました辺境領!

 にっこにこのあたしイン辺境領の神殿!

 の、面会とか相談とか会議とか色んなことに使う用の個室!

 

 何それって思うかもしれないけど、つまり神殿関係者じゃなくても使えるように用意されてる部屋のことね。

 ちなみに王都の大神殿はわざわざ貴族用と平民用でわけてて、さらに中身のランクもわかれてたので、ムダに部屋数が多かった。

 いやー権威付けに必要なのかもしれないけどさー、あたしつい最初に平民の目で見ちゃうんだよね。

 部屋と家具の準備のせいで出費増えるの勘弁してよとか。

 掃除大変だろうな、とか。


 その点ここはシンプルで落ち着いてていいね!

 質素堅実、かといって堅苦しさを感じないように控えめに飾りも施されている。

 めっちゃあたし好みだわー。


 ごきげんで持参してきた薬草茶を飲むあたしに、向かい合って座るご老体が眉を下げた。

 下っ端の神官服を着た、王都大神殿の元神官長様。

 あたしにとっては気のいい親戚のおじいちゃんって感じなんだよね。


「いやあ……ちょっと展開が見えんくてワシ混乱中」

「もーしかたないですねぇ、説明してさしあげしょう!」


 あまりにも困惑してるみたいですしね、特別ですよー?

 そんなこんなあれやこれやうにゃむにゃの部分はわかりましたよね?


「そうじゃな……わかりたくはなかったがのう」


 そこはご自分で頑張って飲み込んでくださいね!

 婚約を解消したあたしはまず腹ごしらえして、それから新しい神官長のところへ向かったわけですよ。

 そしたら案の定あたしのことが嫌いな権力大好きマンだったから超絶バカにされてー、代わりに遠回しに煽って嫌味を返してそそのかしてー、無事に離職ってか罷免されることになりましたー! イエイ!


「後釜はゴルドンだったか……やりそうじゃのう、アホじゃのう」


 まあさすがにね、即日ってわけにはいかんので、手続きやら引継ぎやらに数日かかりましたけどね。

 もともと荷物も少ないから片付けは楽勝。

 おかげで手続きが終わったらソッコー神殿出てやりました!

 これはもうあたしの完全勝利と言っても過言ではないと思うんです……うふふふ今でも笑いがもれちゃうわー。


「完全に勝ってもうたかあ……」


 そんで神殿出た足で実家に戻って家族に再会。

 忙しかったのと嫌がらせとで、三年間で家族と会えたの二回だけなんですよ?

 毎回毎回ジャマしてくるとか暇人なんですかね!?

 ……しまった、サボり魔集団だからある意味暇人だわ。

 はーーーあいつらこれからくっそ忙しくなってほしいわーーー。


「そうじゃなあ、なるじゃろなあ」

 

 まーそんなわけでですね、久々に帰宅して感動の再会!

 は、しませんでした。ウケる。

 休息日でもない昼間とか普通に商会の仕事で忙しい時間帯ですしね。

 けどまあまあ驚かれて、でもあたしだからなーって顔されて(超失礼)とりあえずゆっくり休みな、って迎え入れてくれただけで、あたし的には十分感動ものでしたねえ。


「ワシもフォローしきれんで悪かったのう」

「神官長様、あたし以上に忙しかったんだし仕方ないですよう」


 三年ぶりに自分の部屋に入って、固いベッドに転がったとたんにすごくほっとして……ちょっとびっくりしました。

 やっぱり神殿での生活はしんどかったんだなって、気付いて。

 とくに反撃も反論もできないことが、あたしの性に合わなくてめっちゃくちゃしんどかったですね!

 手も足も出さずに終わったの奇跡かなって思いましたもん。

 あ、このあとその辺の話を聞いた家族もそろって同じ意見なのは納得いかないんですけどね。

 とりま弟はしばかれて当然ですね。


「……うーん…………当然かのう?」


 で、みんなで夜遅くまで今後についてたくさん話し合ってですね、あたし家を出ることにしました!

 家族はそのまま商会を続ける感じです。

 でもあたしは王都出ようと思って。


「そうかあ……一応確認じゃが、家族と過ごすじゃダメだったのかの?」


 それも楽しかったと思います。

 ただ、婚約はともかく聖女は勢いだけでやめてきたところがあるんで、冷静な人が再勧誘しにくるかもな、ってのがあたし的にはネックでして。

 今の神殿には戻りたくないです。

 まじめにがんばってきた神官長様には悪いなって気持ちありますけど、やっぱりイヤです。

 聖女の仕事はべつに苦じゃないんですけどね……。


「そうじゃな、言いそうな者に心当たりがあるのう。本当に苦労をかけた……すまんかったのう」


 え、あ、えっと、神官長様に謝ってほしいわけじゃないんです!

 しめっぽい話やめます!

 えーとえーと? あ、そんなわけでじゃあどこ行くかって話になってですね、いっそ国出ていこー! って考えてたんですけど、なんだかんだであたし王都の中しか知らないのに大丈夫? って考え直して。

 正確には親にツッコまれたんですが。


「思いきったら即断即決な、無謀と紙一重なところ、さすがよくわかっとるのう。聖女の話も親御さんに相談なく決めようとしてワシの方が焦ったもんなあ……目玉飛び出そうなほど驚いとったの、よう覚えとるわ」

「あれ、なにげに神官長様もあたしの評価ひどくないです?」

「一長一短ということじゃ」


 なんかちょっと納得いかない感……。

 でもまあ実際、あたしのことよくわかってるなーって感じて。

 すんごいいつも通りに話してたけど、久しぶりに会ったばっかりだったから、あっさりバイバイってなるのはちょっとだけ……ほんとーにちょびっとだけさみしかったんですけどね。

 離れてても大丈夫な気がしちゃったんですよね。

 だから荷物の準備ができたら出てきちゃいました!


「そこの展開が早すぎじゃよな」


 え、そうですか? フツーだと思うんですけど。

 まーその、家にいる間はおどろきの至れり尽くせり、甘やかし可愛がりされたんですが……。

 おかげで出発する頃には、返り討ちにしたるから何でもかかってこいやー! って感じで、やる気満タンになってましたね。

 んふふ、元気も満タンです!


「ああ、そうじゃの、初めて会った頃のようじゃよ」


 あたしもそう思います!

 そんで、まずは国内かつ王都から離れたとこに行こうと思ってですね。

 バタバタしてたせいで神官長様に会いそびれちゃったんだよなーとも思ったんで、この辺境に来てみたわけですね!


「ということでー、あらためてお久しぶりです神官長様!」

「そうかあ、そうなったわけかあ。困ったような仕方ないような……ああでも本当に元気そうで安心したよ、セシル」


 ホントはちょっと怒られるかもなーって思ってたけど、まずあたしの元気がもどったことを喜んでくれる神官長様。

 そういうとこ、やっぱすき。

 聖女としてだけじゃなく、あたし個人を見てくれてるってわかるもの。

 おっとりして見えて切れ者なのもカッコイイしね!


 でもなんか、王都いたときみたいな覇気がなくて、ちょっと心配。

 普通の好々爺って感じ。

 でもそうだよね、辺境に強制連行されたんだもんね……元気なくて当たり前なのかも。


「……ごめんなさい、あたし会いに来ないほうがよかったかも。無神経でした」


 こんなだから無謀だ猪突猛進だって言われるんだよね。

 しょげるあたしに神官長様はびっくりしてた。

 なんかあたし、昔より感情の起伏激しくない? 我慢してた反動? あんまり周りに迷惑かけないようにしなくちゃ。


「まてまて、何で無神経じゃ? ワシはセシルが会いに来てくれて嬉しいぞ?」

「だって神官長様が左遷させられたの、あたしのせいじゃないですか。辺境暮らし、しんどいのかなって……」

「なるほどの。じゃが間違えてはいかん、セシルは悪くない。ワシもセシルもうまく出来んかったことはたくさんある。それでもセシル”が”悪いわけではないんじゃ。それに辺境は過ごしやすいぞ。そうさな……セシルと同じでの、ワシもずっと頑張っておったから、辺境へ来て力が抜けたんじゃ。悪い意味ではないぞ? あと、もう神官長様はやめておくれ」


 あたしの自虐を許さないと強く訂正する神官長様、じゃなかった、元神官長様ことジルバート様も、あたしのことをよくわかってる。

 だから二度目は言わない。

 謝っても困らせるだけだろうからね。

 それにしても、つい忘れちゃうけど神官長様はもう神官長様じゃないんだった。

 神官長って役職名だもんね。

 ……え、じゃあ名前で呼ぶの? 元神官長様を?


「えっと……ジルバート様……?」

「ジルでええよ。ワシも家を出とるし、敬語も敬称もいらんからの」

「じゃあジル、……さま。急に呼び捨てとかムリだよー!」

「ほっほっ、そうかそうか、ならジルさまと呼んでおくれ」


 もともとあたしは嫌いな人でもないかぎり、年上を呼び捨てとかできないタチだもの!

 でもこれからは、ジルさま。

 敬語ナシのほうはお言葉に甘えちゃうんだからね!

 えへへ、なんか仲良くなった感じがして嬉しい。


「でもジルさまの力、いい意味で抜けたんならよかったね。やっぱしんどかったよね」

「そうさの、着任当初から王都神殿内の調整で走り回りっぱなしだったからのう。タイミングが悪すぎたわい」

「タイミング?」

「立太子の時期じゃ」


 それでまた思い出した!

 そのタイミングのせいであたし婚約させられたの、今でも思い出すたび腹立つんだよね!

 もーー早く忘れたい!


「ジルさまそれだけはあたし今でも恨んでる」

「うむ、ワシも今でも心苦しく思っておる。本当にすまんかったのう。セシルが有能すぎてごまかせんかったからのう」

「褒められてるはずなのに全然うれしくないぃぃぃ……」


 腹が立つたびに文句言いにいくあたしに、律儀に謝ってくれるジルさまマジ優しい。

 でもこれに関してはあたし心狭いの。

 婚約者選定の儀が終わるまでは、あたしなしで頑張っててほしかった!

 そのせいで仕事量も妨害も嫌がらせもケタ違いにアップしたんだもの。


 名ばかり聖女たちのせいで仕事大変だったのはわかるけど!

 まあ半年は長いよね……それはわかる、わかるんだけど、恨み節が止まらなくなるくらいには大変だった。


「全てワシの想定が甘かったせいじゃな。今回の選定は特に酷かったからのう、セシルはよく頑張ってくれた。感謝しとる」

「ううぅ複雑……んん? とくに?」


 特にってことは前もあったってこと?

 え? 恒例なの? 神殿大丈夫?


最後まで読んでくれてありがとうございます(*'▽')

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エタらないように頑張ります✧٩(ˊωˋ*)و✧

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