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第2話

僕が、


「その話はあとでお願いします。いまは調査を優先しましょう」


と女支配人にうながすが、


「そ、そうね。まずは調査がさきだわ。・・・・・・でも、」


チラチラとガーネットとノワールに目を向ける。


とても話をしたそうだ。


ノワールはそれを無視して僕に、


「ご主人様、探知魔法でこの劇場全部を探ってみましたが、毒物らしきものは感じませんでしたわ。つまり、毒は用いずに・・・・・」


少し考えるそぶりを見せ、


「魔法、もしくは魔道具をつかっている可能性が高いです」


「毒を用いないのは、入手先からばれてしまう危険があるからでしょう。魔法、または魔道具で遠くからしかけるほうがばれにくいと考えたのでしょうね」


とノワールは僕の方をみて話をするが、女支配人はもう目をキラキラさせながらノワールに、


「さあすがは、聖乙女さま。仰る通りだと思いますわああ」


と興奮しながらうなづく。


そんな女支配人を横目で見ながら僕は、


「じゃあ、どうする?どうやって解決しようか」


と聞くと、今度はガーネットが、


「とにかく、本番となる劇を妨害することが相手の目的のようですので、その劇をしっかり成功させることがこの依頼の成功と言ってもいいのでは?」


「とりあえず劇場内の点検をして本番当日も警備をすることにいたしましょう」


そう僕に提案した。


「うんうん。その通り。その通りですわ。さあすがは美剣士さま。それが最善ですわねえん」


といちいち相づちを女支配人は打ってくる。


ガーネットとノワールは女支配人のほうをなるべく見ないようにして僕に話しかける。


「それでは今日は引き揚げましょう。つぎは劇を上演する日の前日に入って警備をかため本番当日に備えることにいたしましょう」


僕は、


「了解。じゃあ、今日はこれで引き揚げようか」


椅子から立ち上がり帰ろうとする。しかし後ろから、


「えー、えー、もうちょっとゆっくりしていってもいいのに、あ、今帝都で大人気のケーキもありますわよお」


という女支配人の言葉が聞こえてくるが当然それは無視することにした。



次の上演が無事に行われるよう前日に入って警備をするつもりだけど、僕は、エクレアにこの劇団を狙う可能性のあるライバル劇団を調査してもらった。


エクレアはとっても優秀なのですぐ調査を終わらせ、僕に報告をする。


「ここ帝都プラチナムでは昔から続いてきた劇団が3つあり、それぞれ大衆劇団として長年人気を博していたようです」


「ですが、それらを押しのけて新興の劇団が最近メキメキと頭角を現してきました」


「そのことに危機感をおぼえたこの3つの劇団のうちのどれかかもしくは3つが結託して嫌がらせをしているのではないかと推測いたしました」


「さらに調べましたところ、ムスカリという劇団の支配人は野心的なようでその者が今回の事件をしかけたようでございます」


「その際、残りの2つの劇団にも声をかけたようでございますが、協力は得られなかったみたいですね」


「ですが、表立って仕掛けることはできないので、非合法の闇ギルドへ依頼をしたみたいです」


僕はそれを聞いてびっくりした。


「闇ギルドだって!!」


僕がびっくりした理由は、闇ギルドは正規のギルドである冒険者ギルドや薬師ギルドと違い、依頼人との契約を守ることすらわからない危険な暗殺者たちが存在すると聞いていたからだ。


依頼の報酬も高額ではあるが、禁じられた魔法や、表に出てこない怪しい魔道具も存在すると聞く。


今回のウルトラマリン劇団への嫌がらせもそういう魔法を使っているかもしれない。


しかも、闇ギルドに所属する人たちは依頼人が弱いと見たら依頼人に対しても脅しをかけて金品を奪い取ると聞いている。


本当にそんな危ないところへ依頼したのだろうか。


「それだけ焦っているのかもしれませんわね」


エクレアは深刻な表情で言った。


「とにかく、次の上演を何とか成功させなければ!!」



上演日の前日。


僕はガーネットとノワールを連れてウルトラマリン劇団にやって来た。


早速、劇場に不審なところはないかを調査し飲食する予定のお弁当のチェックや飲み物のチェックをおこなった。


やはり、何もなかった。


当日に魔法もしくは毒の魔道具を使ってくる可能性がこれで高まったと言っていい。


ガーネットが心配そうな目で


「ご主人様、ここらで少し休憩をいたしましょう。今の時点でやれることはやりました。明日の本番直前までは動きがないと思います」


「ならばいまは、しっかり体を休めることが大事ですよ」


ガーネットの目は相変わらずきれいな赤い瞳をしている。真紅の髪に赤い瞳がとてもきれいに輝いている。


女支配人が騒ぐのも無理ないな。


一方ノワールも、


「そうですよ。ご主人様。ご主人様はしっっっかり仕事をしています。すこしぐらい休憩をとっても罰は当たりませんよ」


と僕にお茶をだしながら気遣ってくれる。


ノワールは、漆黒の髪に黒い瞳をしている。しかし暗い雰囲気など微塵もなくむしろ落ち着かせてくれる。


そんな僕はガーネットとノワールの言葉に従い休憩をとることにした。


すると、向こうから女支配人と数名の女性がやってきた。


やってきたのはこの劇団の中心である脚本家と女優達らしい。


女優の一人が、こちらを見つけたと思うと、


「キャーーー。キャーーーー。本当だ。本物の麗しの美剣士さまじゃない。もう死んでもいい!!」


と悲鳴をあげる。


隣の女性はかけている眼鏡を落としそうになりながらも、


「うげぇぉあ!!!じゅ、純情可憐な聖乙女さ、ま」


「握手、握手してください。(びしっ)」


と顔を真っ赤にしながらノワールに握手を求めていた。


他の女優たちも我先にとガーネットに話しかける。


「あ、あの、ずっと前から憧れていました。私、美剣士様のファンクラブ「麗しの美剣士様に斬られる会」でずっと活動を頑張ってきました。どうか私をあなたの妹にしてください」


変なことを言いだした・・・・・・


対応しているガーネットもノワールも苦笑いだ。


とくにノワールは「うげぇぉあってなに?」とつぶやいている。


とにかく、この劇団は魔法学園時代にノワールとガーネットにあこがれた女生徒が中心となって作られたみたいだ。


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