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第2話

ケビンは連行されてしまい、帝都警察隊の留置所に拘留されてしまった。


だが、ケビンは取引をしたようで、留置所から出る代わりにプラチナ帝国の戦役代刑、一定の期間、前線従軍をもって服役に代える制度で他国戦線の傭兵隊へ送られたのだ。


僕は、調査を続けるか迷った。


ただの素行調査ならこの時点で結婚相手として不可だと思うからだ。


だけど依頼人の女性からは、


「あの人の素行ってぱっと見はあまりよくないように見えるの。でもそれは表面だけ。本当のあの人はとっても純粋なの」


「それをわかってあげられるのは私だけ。だから調査してほしいのはあの人につきまとう女性なの」


「結婚前の身辺整理を私がやってあげようと思って(ハート)」


依頼人はああいってたけど、どうみても中身もクズだろう。


素行は悪く、女性にもだらしないなんて。


僕でもこの男性はだめだとわかる。


しかし、ずっと隣にいた従者のシェラが、


「ご主人様、この調査を依頼した方はこんな男性であっても結婚したいと考えるのでしょうかね?」


「恋は盲目といいますが」


と嘆息する。だけど、


「ご安心くださいませ。ご主人様だったら、たとえ、酒癖がひどかろうが女性を何人も孕ませようが、お金遣いが荒かろうがわたくしどもは一向に構いません。むしろご褒美です。末永くご主人様に尽くす所存ですわ」


ときらきらした目で言ってくる。


そんなの、僕が嫌だよ。


絶対にケビンみたいな男にはならないでおこう。


僕はそう心に誓った。


あ、シェラというのは僕のメイド兼従者をやってくれていて、僕の姉のような存在だ。


シェラ以外にあと4人いる。


それに加えて赤髪の剣士ガーネットと黒髪の聖女ノワールもいるから、合計7人と暮らしているんだ。


シェラたちは僕の従者としてついてくるときは、フードをかぶり顔を隠して目立たない格好でいてくれる。


だからシェラがアドバイスしても誰も気づかないので全て僕がしたことになる。


こうやってシェラたちは僕を手伝ってくれているのだ。


僕の側で手伝ってくれる5人のメイドがいるおかげで僕はなんとかギルドの商業人として稼ぐことができているのだと思う。


さきほどの留置場から出る代わりに徴兵されることを条件にしたと言うケビンの事情も、実はシェラが探知魔法で探ってくれたおかげでわかったことだ。


どうやら今、中央平原3強の一角のシルバー王国が、他国と戦争をしているらしい。


シルバー王国はプラチナ帝国と互角の国力をもち長年対立してきたが前年、同盟を結んだのだ。


だからプラチナ帝国とは戦争をしないはずだが、別の国と戦争をしているみたい。


そこの戦争に傭兵として徴兵されたようなのだ。


僕は調査を続けるかどうか迷った。


迷ったうえで素行調査を続けることにした。


依頼人の女性が不憫に思ったのと、もしかしてこんな男性でも何かいいところが見つかるかもしれないと思ったからだ。


なので僕たちもその戦争が行われている場所へ行くことにした。



「ここが戦争をしているシルバー王国軍の野営地だね」


シェラにそう尋ねると、


「さようでございます。麗しきご主人様」


「このさき、調査を続けるのであれば、傭兵として戦争に参加したほうが都合が良いように思います。そのためには」


と一度言葉を切り、向こうのテントを指して、


「あちらのほうにこの軍のとりまとめをしているテントがあります」


「そこで手続きをすればよろしいかと。早速、私が手続きをしてまいりますね」


そう言ってシェラは一礼し、テントの方へ向かった。


手続きから戻って、


「お待たせいたしました。麗しきご主人様」


「受付をしますとご主人様はこの左翼の軍5000のうちの500人隊をまとめる隊長をお願いしたいとのことでした。お受けしましたが、良かったでしょうか?」


シェラは申し訳なさそうに上目遣いで僕に聞いてくる。


シルバー王国軍は全部で20000もの大軍を率いている。


編成は中央軍10000、左翼軍5000、右翼軍5000という構成らしい。


そのうち、左翼軍に僕たちは入ったようだ。


そこの10分の1の規模である500人隊というのは割と大きな隊といえる。


「え、いきなり来て500の隊の隊長を任されたの?僕が?」


シェラの報告を聞いて僕は思わず驚きの声をあげた。


「もちろんでございます!!表には出ていませんが、ご主人様の戦歴は見事なものですよ」


「500人隊でも少ないぐらいですわ」


シェラがキリッとした表情をする。


「もちろん、わたくしめが全力でサポートをさせていただく所存でございます。大船にのったつもりどうぞご安心を!!!」


それなら僕も安心だ。


シェラの言葉に甘えて、500人隊をまとめながらケビンの調査を進めることにしよう。


ところで、500人隊は本軍20000人から見ればちっぽけな数ではあるが、決して少ない数ではない。


僕はかつて100人隊を率いる隊長を務めたことがあったが、500人はその5倍。


全然勝手が違う。


しかし僕の従者であるシェラは大変優秀なのだ。


てきぱきと僕に代わって指示を出し、あっという間に500人の心を掴んでしまった。


500を10のグループに分け、それぞれにリーダーを決め、ローテーションを組みながら見張りと戦闘と休息をとらせている。


戦闘に参加する者たちは充分な休憩をとっているものだから、いざ戦場に出ると大変な活躍をしているらしい。


おかげで僕たちが来て3日と経たないうちに僕の500人隊は周囲から一目置かれだした。


良い評価を受けていることをしったシェラは、僕にそのことを報告し、


「さすがは麗しきご主人様。ご主人様が率いる隊が優秀なのは当然のことでございます。わたくしは嬉しゅうございますわ」


と言って僕をたてようとしてくれる。


でも100%シェラのお陰なんだけどね。

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