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第2話

ここで、5人の文官の説明をしよう。


5人のうち3人は男性だが、どうやら子爵位と男爵位の貴族の子息。


そのためか早々に僕を見下し、自分たちの仕事を僕に押し付けてくる。


そうしておいて自分たちは皇太子宮で働くメイドや女官に声をかけているのだ。


まあ控えめに言ってヤな奴らである。


残りの2人は女性の文官だ。


どちらも皇太子宮に入ったばかりの新人らしいが、新人にしては文書処理能力が高い。


一人はきれいな人で名をリナリアという。


容姿に優れているが、かといって平民の僕を見下すようなことはせず、気軽に声をかけてくれ話しやすい。


髪はふわりと留めており仕事の邪魔にならない程度に身だしなみにも気を遣っていることが感じられる。


もう一人はエリカという。


なんと魔法学園を首席合格したらしい。


文官試験にも首席合格をしたので同期のなかでは一番の出世株になる。


だけど不愛想であまり返事をしてくれない。


化粧もしてないし髪もびっちりにまとめており地味な見た目と言っていいだろう。


2週間、このメンバーの補助をすることが僕の仕事となる。


仕事とはいえ、やっていけるだろうか。今から心配だ。


皇太子宮に出向いてから、3日目。


僕はこの補助業務に少しずつ慣れてきた。


当初は、5人の文官の補助という話であったが、いま、この部屋にいるのは2人の女性文官と僕の3人だけだ。


あ、僕の従者2人は何食わぬ顔をして部屋にいる。まあ目立たないようにしているので数に入れなくてもいいだろう。


他の3人の男性文官はほとんど部屋にはいないので業務もしていない。


残りの2人は地味にしているエリカさんと美人なリナリアさん。対照的な2人だ。


エリカさんはあいかわらず服装を地味目に抑えているが、粛々と業務をこなす。


たまに廊下で男性文官とすれ違うときでも相手にに媚びるような雰囲気は一切出さない。


対してもう一人の女性文官であるリナリアさんは与えられた仕事はしっかりと片付けるが、休憩時には部屋をでてしまう。


ウワサでは、高位の貴族文官や、美形の近衛騎士たちに話しかけたりしているらしい。


僕は、休憩時間も部屋にいるので必然的にエリカさんと話をする機会が増えてきたので少しずつ仲良くなっていた。


そのうち、エリカさんとは雑談をするまでの仲になった。


エリカさんは一度仲が良くなるとすぐに距離を詰めてくるみたいで、ある時、急に、エリカさんから込み入った話をされた。


「私とあの子、リナリアとは同郷なの。もう亡くなった国なんだけどね。親も兄弟も死んだんだ。頼れる人はお互いしかいない中で支えあって生きて来たの」


「だから、あの子の振る舞いを責めないでやってほしいの。あの子はあの子なりにどうすればいいかわからなくてもがいていると思うから」


エリカさんが言っているのは、休憩時間に外で高位の貴族文官さんや美形の騎士さんに話しかけることを言ってるんだと思う。


女性文官が貴族男性や美形の男性に声をかけることはさして珍しくない。


むしろ、それが目的でこの皇太子宮に仕えていると言っても過言ではないだろう。


リナリアさんもそうだというだけで僕は特に何も感じない。


だけどエリカさんはそうではないようだ。


粛々と業務をこなす彼女からは他の文官とは違う目標を見えているように感じられる。


「大丈夫ですよ。リナリアさんが特別どうこうと言うわけではないと思っています。むしろエリカさんがそういうことに興味なさそうなのでびっくりしているぐらいです」


それを聞いたエリカさんは、


「ふふ、私?私はそんなことをする余裕なんてないわ。それにリナリアならともかく私みたいな地味な者が言い寄っても相手は困るでしょう?」


そう自嘲した笑みをこぼす。


たぶんエリカさんは自分が地味な装いをしているので女性としての魅力がないと想っているんだろう。


だけど僕から見たら十分魅力的に見える。外見ではなく、中身が。


4日目。


エリカさんから


「申し訳ないんだけど、この文書の処理をお願いできるかしら」


そう言って渡された書類は、本来は僕ではなく文官の身分にある人がやらなくちゃいけないものだった。


しかし3人の男性文官が仕事をしないのでエリカさんとリナリアさんにしわ寄せがきており、ついにエリカさんの判断で僕にも手伝わせることにしたようだ。


もちろん僕は喜んで引き受けた。


4日目の晩。


そろそろ僕にも疲れが出てきた。


何せ連日夜遅くまで仕事をしているのだ。


僕はエクレアに相談して何か良い魔道具か魔法薬がないか聞いてみると、以前貸してくれたペンダントを渡された。


「ご主人様、それでしたらこれはいかがでしょう」


「以前お渡ししたペンダント。これには反射神経を100倍にまであげる付与魔法を付けていましたが、それ以外にも肩こり、眼精疲労によく効く付与効果をつけてございます」


「これをつけていれば、事務仕事も楽になるのではないでしようか」


それを聞いた僕は喜んで受け取った。


早速明日から着けてみて効果を確かめてみよう。


5日目。


邸宅へ帰ってきた僕は、


「エクレア!このペンダントのおかげでちっとも疲れなかったよ。本当にありがとう」


「それはようございましたわ。実はそのペンダントはノワールがご主人様の為にと付与魔法をかけたもの。きっとノワールも喜びますわ」


「へえ。そうだったのかい。なら、ノワールにもお礼を、うっ」


僕は話の途中で立ちくらみをした。


「なんだろう?身体は疲れていないのにちょっと頭がふらつくや」


その様子をみていたエクレアは心配そうに、


「お疲れがたまっているのですねご主人様。頭がふらつくなどとなんてお労しいことでしょう」


「そうだご主人様。わたくしに良い考えがあります」


「今度の休みには、以前わたくしが案内いたしました異空間の中でゆっくりするというのはどうでしょう?」


「いつもと違う場所でゆっくりするだけでもいい気分転換になりますよ」


「それいいね!行きたい行きたい!!」


僕も気分転換に別の場所でゆっくりしたいと言う気持ちがあったので、提案にのる。


僕は異空間でのバカンスを目標に、事務仕事を必死でこなした。


ようやく待ちに待った休みの日には、異空間へ連れて行ってもらいたっぷりリフレッシュすることができた。


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