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出逢えた奇跡  作者: 琴音七色


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第12章『一足先に再会できた盟友』

第12章『一足先に再会できた盟友』






 社長の大野が愛藍と晃太郎をより引き離すために愛藍プロジェクトの会議で、ある提案をする。今後のレコーディングは基本的に海外、楽曲のリリースも増やす方向、ライブツアー追加公演・年明けの新たなライブツアー・モデル業・ラジオ、など愛藍のスケジュールを過密にしていく内容だった。更には、今のスケジュールでは愛犬のAlessaを不幸にするから、とこじつけて冴木に愛藍とAlessaをも引き離すことを命じてきた。愛藍にはツアーに集中させたいことやAlessaの長時間のフライトでのリスクを懸念して知り合いに長期で頼むという表向きの理由を伝えるだけだったが、本当の理由は……ただの晃太郎への嫉妬であった。そんな社長である大野に抱いてきた不信感が更に募った冴木だが、大胆に逆らえるわけもなかった。知恵を振り絞り、考えに考えた末、晃太郎の身近な知り合いを探し出してAlessaの保護と引き渡しの手配をした。その理由はこうだった……。十代の初々しい愛藍がデビュー前に母を亡くして苦しんでいたのに自分の立場を維持するためや愛藍の経済面を懸念し、上司からの指示を優先して彼女を無理矢理デビューまで押し上げてしまった気がしていたからだ。半分家族同然で兄のように愛藍と関わってきた部分もあって、妹のような愛藍を自分が不幸にしてしまっているような気持ちで仕方がなかった。そして、この事態をなんとか晃太郎へ気づかせたいという隠れた意図もあった。


 命じられてから数日、何とかして無事にAlessaを保護してもらった。そして、Alessaが晃太郎の元に辿り着くまで、そう長く時間はかからなかった。一時的という話で迎え入れてくれた晃太郎の知り合いが、愛藍と離れてからのAlessaが食欲をなくしていて、なかなか警戒心を解くことがないので、保護したものの手を焼いていた。困り果てた末、その知り合いが冴木の助言の通り、晃太郎へ連絡をし『癒しにどうか?』と勧めることにした。

 対面を果たして過ごしてみるのだが、晃太郎は何度も不思議な感覚に襲われる。画像で見た時にそっくりな犬だと把握はしていて、確かにそれも承知で保護することにしたのだが、……にしても、そっくりの域を超えているとしか思えないのだ。会うなり勢いよく突進してくる懐き方は尋常ではなかった。顔もそっくり、声も表情や模様も、あくびの仕方も、犬なのに尻尾を上手く振れないところも。何もかもである。試しに……ということで晃太郎は、例のものを仕掛けてみることにした。


―― vroom! vroom! vroom! ――


「Uh-----、ワンッ! ワンッ! ……ワンッ! Uh----、ワウワウワウッ!」


 間違いない! ……Alessaだっ。


 その喋っているかのような吠え方で晃太郎は、完全にAlessaだと確信した。そして、三上に頼んで冴木に何とか取り次いでもらい、事情を聞いたところ、やはりこの一件が大野の仕業だと分かった。晃太郎は猛烈に腹が立ったのだが、とりあえず、その日は一先ずAlessaの健康状態も考慮して、愛藍がよく手作りしていたご飯をレシピ通りに作って食べさせてあげることにした。


「野菜も、ちゃんと食べようなっ!」


「Uh-----、ワウワウッ!」


 Alessaは完食した。そして、まだ足りなくて何か食べたい様子で晃太郎の膝にお手をしてお得意の甘える上目遣いの眼差しを見せてきた。


「……うん、Alessaだなっw」


「Uh-----、ワンッ!」


 そして、自分は冷えたピザを温め直して食べ始めた。その横でお手とおかわりを膝に数秒間隔で交互に続けてくるAlessaに晃太郎は、優しく言った。


――おかえり……美しい魂!――

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