第1章『こんにちは、15周年と30歳』
【運命に翻弄されたある歌姫へ贈る、もしもの物語】
これは、運命に翻弄され続けた一人のある「歌姫」に捧げる
もう一つの人生の物語です。
私は長年、この世界に実在し、
一時代を築いたある著名な女性歌手の人生を応援し、
見守ってきました。
だけでなく、彼女の輝きから
こちらもたくさんの“夢や希望”をもらいました。
努力家な彼女は、その才能ゆえに
業界の「ドル箱」としてカゴに閉じ込められ
特に、世間を騒がせた時期からの数年間は、
大切な人を失うという大悲劇に見舞われ
更なる大悲劇を避けるため逃げることさえ許されず、
自由を奪われた悲劇の歌姫として知られています…。
言葉では表しきれないほどの
孤独と苦難と闘い続ける人生となりました。
この小説は、彼女が実際に辿った悲劇の道から、
パラレルな世界へと「シフト」し、
あの壮絶な時代を生きた彼女に
『本当の愛と幸せを見つける人生を贈りたい』
という私個人の“過去へ贈る感謝と希望の念”
によって出来上がりました。
暗闇の中で
もがき苦しんだ“あの時代の彼女の魂へ、
作者である私から贈る“ささやかな光”
フィクションの世界ではありますが、
彼女は右往左往しながらも、
遂に彼女だけの真実の愛とハッピーエンドを迎えます。
悲劇的な人生を送った彼女の魂へ、
そして現実に生きるすべての方々へ、再生の希望を込めて。
この“悲劇”を
この壮絶な人生を生きた“彼女”をお解りの方は
どうか想像しながら味わってみてください。
読みながら抱く皆様の想い一つ一つが
きっと彼女に届くと思います…。
“安らげる新たな星で
歌い踊り続けていることを心から祈っております”
ありがとう♪
第1章『こんにちは、15周年と30歳』
30歳を迎える9月の誕生日まで、あと半年。アーティスト活動15周年を目前にして相変わらず愛藍は順風満帆だ。
……亡くなった最愛の母の死と抱き続ける結婚願望の成就を除いては。
アイドル的な存在からヴォーカル・パフォーマンス・音楽クリエイター・モデルとマルチに活躍するシンガーソングライター転身を成功させた|白崎愛藍《しろさきあいら/Aila》29歳。
両親が離婚しているようで母子家庭育ち。女手一つで育ててくれただけでなく、大好きな歌をも応援してくれていた母親が、苦労して愛藍を養成所に入学させてサポートしてきた。ところが、デビューに向けて動き出した矢先に他界したのだった。その悲しみを乗り越え、走り続けて、今、デビューから15年という節目を迎えようとしているある春のことだった……。
15周年に向けての会議が開かれた。今回は通常よりもスタッフも増員され、そこに愛藍も同席していた。デビューから現在にかけての全シングル・アルバム・掲載ファッション誌から・ライブツアー・CM関連・プロデュース関連グッズ等、過去の資料がたくさん並べられていた。これが彼女の軌跡。それを見て愛藍は、懐かしさから初仕事の日のことを振り返っていた。
――回想―― 出演する歌番組のスタジオ。新人へ冷たいプロデューサーに15歳の愛藍は萎縮。リハーサルでも手を抜かず全力で歌い踊った愛藍は母に貰った髪留めを無くしたことに気付いたが、現場の段取りもあってバタバタするスタッフたちに声をかける隙も勇気さえもなく、探すタイミングを失い、スタジオから仕方なく出てしまった。初のTV出演ともあって気が抜けず、楽屋でもギリギリまで振りの確認のため練習をしていた。ドアの開いた楽屋の入口から偶然それを目にした番組司会者が本番でこう語った。
「先ほど見かけたんですけどね、楽屋で直前まで仲間の子たちと一緒に練習してましたよ。ほーんと頑張り屋さんだなぁって思っちゃいましたね。まだ15歳なんですねー! でも、瞬間的にフッと大人っぽさが垣間見れたりもして。この秋メジャーデビューだそうですよ。今後が期待できそうですね!」
と曲紹介の前にポジティブなエピソードを足してくれているのが聞こえて、マイクを握りしめて高まっていた緊張が少し解けた時のことを思い出していた。
――回想終わり――
プロジェクトのリーダーが愛藍に挨拶を促す。
「お疲れ様です、Ailaです。おかげさまで秋に15周年を迎えます。初心に帰って、でも革新的なものを取り入れたアルバムのリリースやライブをメインにファンの方々に楽しんでもらえる1年にしたいと思っております。宜しくお願い致します」
そう挨拶をする愛藍へ激励の拍手が起こった。そして、取り仕切る常務が部下数名に15周年でのリリース予定の候補曲の選定を含め、企画の修正案を求める指示を出していたところに突然、別のスタッフが慌てた様子で入って来て常務に耳打ちした。皆、何事?とざわついたが、耳打ちされた内容は時間の経過とともに直ぐに明らかになった。




