「人生は祭りだ」その祭りをともに歩む誠実な人を求む!
忙しすぎて休みもままならない状況からようやく解放され、久しぶりに会う彼から貰ったのは、まるで定型文のような別れ話だった。
『汀子は強いから、一人でも大丈夫だろうけど、彼女には俺が必要なんだ』
って。それに、
『前よりも冷たくなった気がしてたし。』
変わってないし、勝手に私の気持ちを決めんなよ。自分の気持ちが離れてきていたからそう感じたんでしょ。
『いつも俺より仕事優先だし、愚痴も漏らさないし、頼られていない感じがして寂しかったよ』
とかなんとか言って、だからって、他の女の股にち○こ突っ込んでいいのかよ!パンツ脱いでち○こ出す前に、私との決着つける方が先だろ。
汀子は激怒した。だよ。
私が強いって? 泣き言ばかりの女は鬱陶しいって言っていたから、あんたの前では極力言わないようにしてただけだっての。家で三代目当たる君(殴る用クッション)に相手をしてもらってたんだから。
浮気相手、いや、今や本命の彼女の話は聞いたことがあった。
彼のところに配属された今年の新入社員。
確か、最初は注意をすればすぐに泣く、間違えを正せば言い訳をし、自分の権利ばかりを主張して使いづらいと嘆き節だったが、そう言えばいつの間にかそんな話を聞かなくなっていた。
こちらが仕事で会えない時間と股のソレを、その彼女で(に)穴埋めしていたわけだ。ちょっと今回のことに穴埋めって言葉、ぴったり過ぎだよ。泣けるよ。
ああ、過ぎたことを嘆いていても仕方がない。少しはこのことをポジティブに考えてみよう。
とりあえず、30歳になる前(現在28歳)で良かった、とか。
寂しかったから?好きだと言われたから?だとしても、彼女以外の女の股にち○こ突っ込むのか?結婚という縛りがないからそうなるのか?
いやいや、やるヤツはどんな立場でも浮気するんだろうね、彼女がいても既婚者でも。下手したら複数股にかけているかもしれない。キングオブ最低男は偽装独身男かな。
でもさ、一度そんなことをされたら二度三度を疑ってしまうよなぁ、きっと。
だから、結婚される前に、そういうヤツだったと言うことが分かって良かったんだよ。うんうん。
お付き合いして結婚を意識してから、料理を習いに行ったお陰で料理は得意と言えるようになった。これは恋愛の副産物だよね。
ただ、高じて家庭料理からフレンチに流れてしまったのは自分でも予想外。1年かけてフランス料理学校の基礎科に通ったよなぁ。初級科にも途中までは通えたけど、仕事の関係で続けられなくなったのが未だに心残り。あそこの学費高かったのに……
あ、違うことでちょっと暗い気持ちになってしまった。持ち直して持ち直して。
そうだそうだ。30歳になろうが40歳になろうが出会いはあるじゃない。
ほら、校子叔母さんなんて、旅行先でひったくりに遭って助けてくれたことが縁で、叔父さんと結婚したじゃない。その時確か、校子叔母さん43歳。本人も結婚なんてないない、って感じで生きていたのに、ひと月もたたないうちに結婚だもん。そんな出会いだってある。珍しいパターンかもしれないけれど、あるものはある!
そう言えば、占いで60歳過ぎでの大恋愛を占われた知人もいたじゃん。あ、知花ちゃんだ。まだ知花ちゃん本人は30代なのに、先が長いねぇなんて話をしてたっけ。あははははは
だから前を向こう。下を向いていたら躓くことはないかもしれないけど、前にあるものを見逃してしまうから。だから前を向こう、戻りたくても過去に戻ることはできないから。
でも……でもね。前を向いていても今は何も見えない。涙が溢れて止められない。上を向いていたって零れるくらい止めどない。
だから、今日は泣くんだ。収まらなかったら、明日もあさってもその次も。目が腫れても、頭が痛くなっても、鼻水が止まらなくなっても。泣いて、叫いて三代目当たるくんに当たりまくろう、気が済むまで。
そして、好きなものを食べまくって自分を慰めるんだ。
そうしていれば、効きの遅い、日日薬も効いてきてくれるだろうから。
人生は祭りだ。って、どこかの映画の台詞らしいけど、祭りなら楽しまないと。
今度こそ、私だけを見てくれる誠実な人と出会い、この祭りを共に歩いて行きたい。
そうだ、浮気男へ最後に言ってやればよかった。
「頭頂部からハゲて中折れしやがれ」
って。