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1.悪役貴族に転生



―――【クリエイト・フューチャー】


定番な剣と魔法の王道学園ファンタジー設定と世界観であるもののストーリーとキャラクターの作り込みの深さにより人気を博したギャルゲーである。


(……本当にギャルゲーの世界に転生したんだな)


昨日10歳の誕生日を迎えた俺は、突然酷い頭痛に襲われ前世の記憶を思い出した。10歳まで生きてきた記憶から、この世界が【クリエイト・フューチャー】であることを確信し歓喜したものの、今の自分の名前を思い出しその厳しい現実に項垂れた。


(よりにもよって、ヘイトに転生するだなんて……)



―――ヘイト・ダストール。


【クリエイト・フューチャー】にて最初の敵キャラであり、主人公が自身の能力を知る為の踏み台―――所謂かませ役である。

特殊な闇属性魔法『洗脳』を使用するキャラクターであり、初登場が洗脳した女を何人も侍らせながら主人公に対して嫌味を言いながらだったと言えばその悪役貴族っぷりが分かるだろう。

見た目は黒髪赤目の中肉中背であり顔は前世より整っていると思うが、主人公や後の敵キャラ達と比べると正直見劣りしてしまうレベルであるのが悲しいことに踏み台としての価値を上げてしまっているように思える。


(そして、極めつけは俺の固有魔法……)


【クリエイト・フューチャー】において魔法は7つの属性で分かれている。

一般的な魔法使いが発現する火・水・土・風の基本属性。

王族の血筋にのみ発現する光属性、王族又は貴族の血筋に稀に発現する闇属性。

殆ど発現者がおらず伝説の属性となっている無属性。

俺の適性である闇属性魔法は属性魔法を侵食し魔力を高めたり生物に干渉することが出来る属性だ。そんな闇属性魔法でも特殊なのがヘイトが使用する闇属性固有魔法『洗脳』である。

文字通り相手を洗脳し操ることが出来る魔法であり、闇属性魔法の生物に干渉する効果で自分が受けたダメージを洗脳している相手に移すことまで可能という洗脳出来れば勝確な反則級の魔法と化した結果、ヘイト・ダストールは傲慢な悪役貴族となり悪行の数々を行った。


(そして、天敵と言える無属性の主人公と敵対したことで一気に転落していくんだよな……)


【クリエイト・フューチャー】の舞台であるアルバース魔法学園に入学が許された平民の主人公に対して貴族であるヘイトが事あるごとに突っかかった結果、主人公が伝説の無属性魔法―――アンチ魔法を発現させヘイトの『洗脳』を無効化することにより女子生徒達を洗脳から解放。ヘイト自身も主人公に拳でボコボコにされた後、今までの悪行の数々から退学処分を受け表舞台から退場する。その後、暫くしてラスボスに唆されアルバース魔法学園への襲撃事件を起こし主人公に復讐しようとするが、魔法の相性不利に加えて努力をし続けた主人公と魔法頼りのヘイトでは力量差が開き過ぎており結果は当然の如く完全敗北。最終的にラスボスの手によって都合の良い洗脳装置として使われ、ラスボスと主人公の戦闘の余波によって死ぬという救われない悪役―――それがヘイト・ダストールである。


(幸いストーリー開始まで5年も猶予があるし、前世のおかげでストーリーやキャラの知識がある。わざわざ主人公に関わりに行くこともない)


ヘイトとの戦いの前に主人公はほぼ無属性魔法の感覚を掴んでいた描写があったので、俺が関わらなくても大丈夫なはずだ。


(問題は、既に俺の洗脳魔法が広まってる件だよなぁ……)


普通の闇属性魔法ならいざ知らず、洗脳魔法を持ってる相手と好き好んで親しくなろうとする物好きなんていない。実際洗脳魔法が使えることが露呈してからの数ヶ月間の記憶から、他貴族との交流が減少傾向であることが嫌でもわかってしまった。


(兎に角、俺が無害であることをアピールしつつ信頼を積み重ねていくしかないか)


信頼や好感度がマイナスから始まるのが何とも悪役らしいなと、自分のことながら何処か他人事のように乾いた笑みを浮かべた。


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