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『I』を伝えきれない星で  作者: ネクタイ
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世界にあるものすべてが凶器に見える

犯罪ってどこで思いつくんですか。

これはよく聞かれること。

どこでってかもう常にってのが答え。


ほかのサスペンス作家に出会ったことがないのでわからないが、私は目につくものから発想を得たりしている。幸い、アトリエの中は危険な工具があふれているし、近所では職人用の専用工具を見ることができた。凶器には困らなかった。最初のうちは。

次第に日用品が凶器に見えてきた。

最初は食器棚のアイスピック。居間のこたつ。事務所のペーパーナイフ。

日常にありながら、使い方を間違えれば凶器になるもの。

次に、台所の換気扇。風呂の風呂釜。リビングの扇風機。

どこをどう使えば人を殺せるか。そんなことを考えるようになった。


世界にあるものすべてが凶器に見える。


それは心の安寧がないということだ。

今使っているスマートフォンやパソコンだって私の手にかかれば立派な凶器になる。


日常に起こりえる身近な殺人。

私の小説はそれを軸にしている。つまり模倣犯を作りやすい。

それでも何故人を殺し続けるのか。

それは人を救うためだ。


だからこれを読んだあなた。

どうか私の小説を読んでも人を殺めようなんて思わないでほしい。

それは間違っていることだから。




と、正当化でもすれば許されることだろうか。

今までいったい何人殺してきたことか。そのたびに何度手を汚してきたことか。

元々イカレていたのだ。私は。

原稿の上で最初に人を刺したあの時からもう後戻りできなくなっていたのだ。そしてもう今更後戻りするつもりもない。私が幸せな恋愛を描くことはもうない。書くとしたらそれは私の皮をかぶった偽善者だ。


世界にあるものすべてが凶器に見える。


私は『あなたのためのサイコパス』

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