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度合い

 ***



 振り向けばそこには少し息が上がったジークフリード王子がいた。


「コンスタンス、ケイトに何をしている」

「貴方の婚約者候補にならないか声を掛けていました」

「…………あ?」

「誰に何を聞いて急いでいらしたのか知りませんが、それほどにご執心であれば、ケイトさんが望めば候補になるのは簡単ですわ。私も勉強仲間が欲しいので王妃様にお願いしますわよ」

「……ケイト、コンスタンスに絡まれているのでは?」

「滅相もないです!コンスタンス様には絡まれていたのを助けていただきました!」

「……そうか」


 ……あれ、納得したの?……もっとこう、難癖をつけてこないの?


「コンスタンス、僕を何だと思っているんだ……」

「取り巻きも御せないへっぽこ野郎」

「おい」

「女子相手だからと手を抜き過ぎですわ。おかげで私の名前を使われました」

「あー、それについてはすまん」

「さっさと正式な婚約者を決めてください」

「僕の一存では決められない」

「だから目ぼしいお嬢さんの名を出せばよろしいではありませんか。候補として切磋琢磨し、一番に煌めく女性が王妃になるのです。ケイトさんは成績も度胸も候補として申し分ないと思いますよ」

「……僕の一存では決められない」

「王妃に何人か推薦しても梨のつぶてですわ。婚約者候補とは、誰がお決めになるのです?」

「……候補である君には教えられない」


 カッチーン。


「毎度のらりくらりと……!このヘタレ野郎!」

「ああ?()()いつ()に敬う様子を見せるんだ、狂犬女!」

「はん!影響力を意識し過ぎて外面だけ鍛えやがって!澄まし顔がおかしくて腹がよじれるわ!」

「そうやってすぐに素を出しやがって!学園に通っても女子力がその程度か情けねぇ!」

「あああ?候補も集められないこの無駄美貌が!」

「『黙っていればのコンスタンス』は今も健在か!」


 あわや図書室裏の決闘になりかけた私たちを止めたのは、慌てたケイトさんが連れてきた私のクラスメイトたちだった。ジークフリード様と私、それぞれ男女に分かれて伸し掛かられ、物理的に抑え込まれた。重い。

 そして私たちが落ち着くと二人並んで正座をさせられた。なぜ?


「「「喧嘩するほど仲が良いの度合いを超えるのをやめてもらいたい!」」」


 王子と私は首をかしげた。


「「「そういうところを自覚してください!」」」


 今度は反対側に首をかしげる。


「「「こいつら面倒くせえ!」」」


 いや、王子と仲良いとか意味わからないし。



 なぜかこの後、クラスメイトたちはケイトさんと、そしてなぜか王子とも仲良くなっていた。


 解せぬ!



 ***



 最終学年になってもクラス替えはなかった。

 それでも我がクラスは変わらず仲良く、そのしたたかさは他クラス、他学年にも手を伸ばしていた。


「うう、その情報網から王妃教育の仲間を推薦してちょうだいいいい……」

「まだ言ってる。もう諦めて素直に婚約者に収まりなさいよ」

「そうだそうだ。今さらコンスタンスに張り合おうとする女子は少なくとも学園にはいないぞ」

「張り合わなくていいの、一緒に勉強してくれれば……」

「もう無理だろ。王妃教育が始まって何年目だよ?」

「わからないところは私が教えるから……」

「コンスタンス、世間ではそれを無駄な足掻きと言うのよ」

「補習なら何時間でも付き合うから……」

「いや、コンスタンスの体力について行ける女子がいないから」

「体力作りも付き合うから……」

「騎士団の練習に付いていけるコンスタンスとの体力作りなんて嫌」


 みんな冷たい。でも兄様たちにも知り合い女子を紹介できないとも言われたし。今期の王子妃は不人気職なのかしら……王子はモテているはずなのに……

 結局婚約者候補は他に現れず、学園の卒業と同時に私は候補から婚約者に繰り上がる。

 クラスメイトたちも婚約が決まったり、卒業を待って結婚の予定だったり、恋人ができたりと、就職先と共に色々と決まったようだ。……いつの間に。私も一緒にキャイキャイしたかった……


「コンスタンス様!」

「ケイトさん?」


 王子と同じクラスのケイトさんが涙目で教室に入って来た。


「ありがとうございます!私!王妃付きの下女に内定しました!」


 やったー!

 事務職を希望していたケイトさんだったが、やはり女性事務の倍率は高くなかなか決まらないでいた。というわけで、いずれ王妃になるだろう私の侍女に勧誘。まずは現王妃の下女として修行し、私が王子妃になったら私付きになる。成績優秀者に下働きから、と勧誘するのは申し訳なかったが、ケイトさんは快諾。私の熱烈な推薦がどれだけ有利になったかは知らないが採用試験は合格したようだ。


「おめでとう!お礼を言うのは私の方だわ!お友達がいるならこれからも頑張れるもの!頑張ってくれてありがとうケイトさん!」

「コンスタンスさま〜!」


 号泣するケイトさんを抱きしめると、クラスメイトたちも大喜びで次々と祝福。あまりの騒ぎように廊下から教室を覗く生徒が多数。先生に「またこのクラスか!」と怒られた。誰かの進路が決まる度に大騒ぎをしていたので、先生もすっかり呆れ顔だ。


「よし!ケイトがいるならコンスタンスの暴走を止められる!」

「期待してるわよ、ケイト!」

「はい!最速で侍女に成り上がって必ずやコンスタンス様を一番にお止めします!」

「「「よっ!平民の星!」」」


 解せーぬ!!









誤字報告ありがとうございますm(_ _)m

でも「ああ?お前いつ俺に敬う様子を見せるんだ、狂犬女!」はこのままとします。


みわかず






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