【第一章】第九部分
「さて、本来のミッションを果たします。これが楽しみでやっているようなものです。」
憂果莉は腰のポシェットから、プリンを取り出した。
「プッチン。あ~ん。」
プリンをケースから出して、そのまま可憐な口に投入。
「ひと仕事あとのプリンはおいしいです。それでは、真の悪は、魔界に堕ちるべし、これぞ『悪魔』、ジャッジメント!」
その言葉と共に、モヒカンの姿は消えた。
「最後はこれです。左腕にも、質量保存の法則!」
体に付着していた血液や周辺に飛び散っていた皮膚や筋肉の一部が、憂果莉の腕で完全に再現された。
「さて、法則魔法で、三人を殺さないように倒して、自分も戻す。でも痛みも質量保存されるので、少々痛いです。私に、ゆりキュアのようなパートナーがいればなあと思うのです。」
整った顔を少し歪めながら、憂果莉も公園から消えた。
それから数日後の公園。下校時間の鍵が歩いている。コソコソ電柱に隠れながら、後ろを付いて来る凪河。一緒に帰ろうと鍵を誘ったが、あっさり拒否られて、やむなくストーカー活動に励んでいた。
「あ~あ。これからまたバイトだ。疲れるよなあ。」
嘆きの鍵は公園で刹那の癒やし時間を渇望して、中に入って、壊れたままのゾウの滑り台の下に座った。
そこにひとりの女子が現れた。プリン型の透けたスカート。スケパンデカである。
スケパンデカは鍵に何か話しかけている。
「変な格好をしてる女の子ね。スカートなんか透けてるし、すごくシュミが悪いわ。きっと淫乱ね。あれ?どこかで見たような顔だわ。も、もしかして、生徒会長?」
憂果莉の位置からは、声は聞こえない。
スケパンデカが何かを口にして、鍵に向かって何かを唱えると、鍵の姿が消え、スケパンデカもすぐにいなくなった。
カバンを放り投げて、公園に乱入する凪河。鍵を見つけることなどできなかった。
「きっと生徒会長が鍵をさらったんだわ。生徒会長の家とか知らないし、明日の朝、問い詰めて、とっちめてやるわ!」