【第一章】第十九部分
凪河は立ち直り、体がすごく軽くなり、かつパワフルになっているという自覚まで得た。しかし、スケスケスカートは、初めから完膚なきまでにパンツ隠匿機能に大ダメージを受けているということを凪河はすでに忘れ去っていた。慣れというモノの恐ろしさである。
「よし、改めてバトルに立ち返るわよ。でも今のあたしにできるのは、物理攻撃だけ。錬金ナイフ爪には分が悪いわ。これからどうしよう。」
その時、パンツがブルブル震えた。
「えっ。何。こんな時に、もよおしてきたのかしら?まさかのネーチャン、コールミー?」
ビミョーに間違った表現方法を行使しつつ、事態を究明しようとする凪河。
人形が凪河に話しかけてきたのである。
(今はスマホを使えまい。こういう時のためのパンツ内蔵の非常通信手段じゃ。パンツの震えがモールス信号のように言葉を振動で伝達するんじゃ。よく聞け、耳ではなく、体で感じるんじゃ。スケパンデカはその能力を備えておる。感覚が半端ないんじゃ。)
「えっ?少しはわかるけど、ハッキリしないわ。」
(ならばもっと敏感な部分を使うかのう。それっ。)
「い、い、い、いい~。じゃない、いやぁ~。」
下半身をブルブルと揺する凪河。固く目を×の文字に強く閉じて苦悶の表情である。
「あ、あ、あ~。」
苦悶は、『苦しい』と『悶える』という文字の合成だが、今の凪河は『悶』がかなり優勢に見える。
「に、人形の声、聞こえたわ。もう気持ちいい、じゃなくて、もうやめて。どうかなりそう!」
(これでインストール完了じゃ。これからもよろしくじゃな。)
「なんのことよ?」
(このコミュニケーション手段のことじゃ。そんなことより、ナギナギの能力を使ってみろ。今、頭に法則魔法の名前が浮かんでいるじゃろう。)
「たしかに何かのイメージがあるわ。ふ、ふ、ふ。」
凪河は、突然笑い出したわけではない。
「『ふ』で始まる言葉のようね。ふ、腐女子?」
(それは法則ではないぞ!普通名詞じゃ。)
「でも腐女子はフツーじゃないわよ。かなりアブノーマル族よ?」
(世界中の腐女子を敵に回したな。)
「知ってる?マイナーな輩のことをアブノーマルと定義するのよ。」
(まあそういう見方もあるのかのう?)
「あっ、言葉がハッキリしてきたわ。ふ、不確定性の原理?なにこれ?」
(そうか、そういうことか。ナギナギらしいわ。そのフレーズを大きな声で唱えてみるんじゃ。)
「不確定性の原理!」
凪河は大きな声で、呪文のように唱えた。




