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桃太郎の鬼退治の旅  作者: コシヒカリ
1/1

~犬との出会い~

 みんな、桃太郎って知ってるよね?

そうそう、でーっかい桃切ったら男の子が出てきて鬼退治に行くーってやつ。今回はそんな桃太郎のお話。でもねえ、この話はみんなが知ってる内容とは若干違うかもしんないなー。まあ、語り手の俺に聞くより自分の目で確かめた方が早いかもね。(笑)  

 じゃあお話スタート!




 「はあ………。」

そんな風にため息をついていた彼の名は桃太郎。鬼退治に向かっている真っ最中なのだがどうやら気が気ではないようだ。

「じーさんもばーさんも鬼退治って絶対知らないよね。鬼の強さとか知らないよね。HP何あるか知ってて言ってんの?まあ知ってて言ってるんだったらそれは普通にイジメだよね。」

 三時間半前に家を出たのだが、約四百メートルそか進んでいない。

「なんなの、ホントに。鬼に人間が一人で闘って勝てるわけないでしょ、バカなの?せめて逃げる時用にチョ〇ボくらい用意しろっつの。」

グチグチ言いながらも少しずつ進んで行った。時速百十四メートルで、だが。


すると草陰から白いなにかが飛び出してきた。

「ぅわっ、びくった~。ねね、わんこ、暇?」

飛び出してきた白い物体の正体は、白い犬だった。物凄く真面目そうに見える。

「まあ、暇といえば暇ですけど。一体何の用です?」

「あのさ、今から一緒におにたい鬼退j…」

「嫌です。」

即答。そしてあからさまに嫌そうだ。

「え、ちょちょ、ちょっとまってよ。早くない?俺、まだ言いかけてたよね?」

「面倒くさそうだったので。」

「えええぇぇぇぇ…。」

そんなんこっちのセリフだわ、と思いつつも一つ提案した。

「じゃあさ、これあげるよ。きびだんご。」

「キビ、ダンゴ…?なんですかそれは。」

犬が匂いを嗅ぐ。

「食べると元気百倍になるんだって。まあさすがにア〇パンマンにはなれないだろうけど。これあげるから家来になってよ。」

「結構です。」

“人間の食べ物などいらん。”

そう心の中で思っていた矢先、体はそう思ってはいなかったようだ。

「お、やっぱ食うんじゃん。」

「…へ…?」

心が許す前に体が勝手に動き、きびだんごをむしゃむしゃと食べていた。

犬は急いで訳を話そうとした。

「ちっっ、違います!食べる気は全く無かったのですが、かっ、体が、勝手にっ!」

桃太郎が悪い笑みを浮かべる。

「これでもう俺の家来だね。よろしく、犬。」

犬の顔の前にしゃがみ込み言った。

「しっ、仕方ないですね…。」

悔しそうな顔が言い放った。



 二人(正式には一人と一匹だが、ここでは二人ということにしておこう)は山道を歩いていた。はたから見ると、それはペットとその飼い主の散歩している風にしか見えないが、二人の間にはしっかりとした(?)主従関係が結ばれている。

しばらくすると雨が降ってきた。そこで二人は岩陰に避難し、雨宿りをした。

雨がなかなか止まず、不安な犬。

雨がなかなか止まず、口角が上がってしまう桃太郎。

聞こうかどうか迷ったが、思い切って犬が桃太郎に犬が尋ねた。

「あの」

「ん?」

「一つ、聞いてもいいですか。」

「ん、いいよ。」

「…どうして桃太郎さんは、鬼退治に行こうと思ったんですか。」

「え…。」

「だって、鬼退治なんて、桃太郎さんじゃなくても…ほかの人が行けばいいじゃないですか。仮に鬼退治に行ったとして、退治できるか…帰ってこれるかすら分からないんですよ。」

“鬼退治に行くなんて、何か特別な理由があるに違いない。”そう確信していた。

真剣な眼差しで見つめる犬に対して桃太郎はそれに答える。

「それは…。」

犬が生唾を飲んだ。

「ばー…に…わ…て…。」

「え?」

声が小さすぎて思わず聞き返してしまった。

「ばーちゃんに、言わ…れて…。」

「は…。」

まさかの返答に口が開いたままだ。

「おばあ様に言われて、とはどういうことです?」

訳が分からず、犬は説明を求めると、桃太郎はだるそうに答えた。

「朝、ばーちゃんにいわれたんだよ…。鬼退治に行けーって。」

「突然ですか。」

「うん。昨日まで一緒にばーちゃんのマッサージしてて、そこそこーとか言ってたのに今日朝起きたら急に真面目な顔して『鬼退治に行きなさい。』sだって。」

「急ですね。」

「うん…まあやれって言われたからには一応やるんだけどさ。」

「ゆとりですね。」

「俺一応二十二だしね、」

「二十いっ…、そうでしたか。意外と大変そうですね。」

「んなことないよ、今までじーちゃんばーちゃんと暮らしてきたから。甘やかされてる方だと思う。あとなんか桃から出てきたらしいよ、俺。」

「桃から⁉人が桃から出てくるわけないじゃないですかっ、騙されてますよそれっ!」

「やっぱり?俺も正直そんなわけないよなーっては思ってたんだよね。」

「しかし、家来になったからには俺もちゃんとついていきますよ。」

励ましているつもりだ。

「うん、さんきゅ。てかお前キャラに似合わず以外と食い意地張んのな。」

犬が顔を赤くしていった。

「ちっ、違いますっ!あれは、勝手に体が動いてしまっただけでっ!」

「うん、だからそれをくいいじ食い意地張ってるっていうの。それにめちゃめちゃ尻尾振ってたし。」

その言葉が合図かのように犬の顔がさらにヒートアップする。

「そそっそれはっ、周りに蚊が飛んでいて、うっとおしかったので払おうとしただけですっ!」

「ふぅ~ん?蚊って肌寒~い秋にもでるんだぁ~?」

いたずらな顔で犬を見つめる。

「暑がりな蚊もいるんです!ほら!雨も止みましたし、行きますよ!」

二人がくだらない争いをしている姿を太陽が見に来たようだ。

「はいはい。(笑)」

雨宿りしていた岩陰をあとにして、二人は鬼退治へと出発した。


 なんだかんだ言っても仲が良さそうだ。旅はまだ始まったばかり。鬼退治の旅はまだまだ続く。





 どうだった?ゆとり男子の桃太郎。食い意地張ってる犬。みんなが知らない物語でしょ?

これから他にどんなキャラの濃いやつが出てくるかは次回のお楽しみ♪

じゃ、またね。






                                         続く

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