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兄が出来た記憶

 ほのぼのパートから始まりますが、後半の途中に鬱パートも混じっていますのでご注意下さい。


 今話以降は鬱はない、筈……!


 次話はほのぼのに戻ります。

 キュウン、キャウ! フキュー、クーゥキュゥ

 グルゥ……キャン、キャフ!

 ……ヘプシッブシッ! キュン!


 うるせぇよ。


 人がせっかく気持ち良く寝てるところを、邪魔しやがって。さっきから隣できゃんきゃん、きゃんきゃんと……


「ふしゃ——————!!(ぜんりょくで、もふりまくるぞ、ごるぁぁぁぁぁぁぁ!!!)」


 目が覚めました。

 目の前にはモッフモフのコロッコロな子狼が目ん玉真ん丸にさせて、全員揃って固まったままこっちを見ていた。居心地が悪くなり、凝視している子狼達からふいっと目を背ける。視線を子狼の少し後ろに向けると、ニヤニヤと笑いながら俺を見ている母狼がいた。


 ……お願いだから、今の忘れて……。


「グル、グフフ(起きたかい、黒いの)」


 わらうんじゃねぇよぉ……


「んみぃ……(おきました……)」

「ガゥ、グルウォフッ(良く寝ていたよ、お腹は大丈夫かね)」


 ぐるぅ〜きゅ


 ……もう、どうにでもして下さい。

 思わず遠い目になる。相変わらず俺を見続けている子狼達の視線が痛い。

 1、2、3、4……全部で4匹。合計8個の目玉がじっと俺を見ている。そんなに俺、面白いの? それとも


 俺が猫又(バケモノ)だから?


「グルゥ……ウォフッ(やれやれ、また妙な事を考えているね……さぁ、おいで。たんとお飲み)」


 俺がまた暗い考えに入り込んでいると、母狼がゴロン、と腹を見せて横たわった。

 すると、キャー!! と子供が某ネズミに群がるが如く子狼達が母狼に駆け寄って行く。


 え、ちょ、ま……げふっ!?


 駆け寄る子狼に押し潰されました。とても痛いです。そんな俺を心配する事もなく、子狼はおっぱい目掛けて一目散。てめぇ、後で泣かしてやる。俺は心に決めた。


「ガフッ、グゥゥ(やれやれ、何を呆けているんだい。さっさとおいで。後、あんたはもうちょっと落ち着いた方が良いね)」


 そう言って、チラッと子狼に目をやるとまた、俺の方に目を向ける。……おいで、ってまさか、俺にも言っているのだろうか。

 不安が過ぎり、近付く事が出来ない。その場でウジウジと佇んでいると


 ガブ


 子狼達の内の茶色っぽい1匹がポテポテと近付いて来た、と思ったら俺の首筋に噛み付き引きずって行く。て、


 ちょ、待て待て、お願い待って! それ、肉! 肉も一緒に噛んでるからぁぁぁぁぁ!? 痛えェェェ!! 引きずらないでぇぇぇぇ……!


 ズリズリぼてっ、と落とされた。そこは母狼のすぐ傍で、俺を運んで来た子狼は尻尾を振って俺を見た後、またおっぱいにむしゃぶりつき始めた。

 ……流石にその意味が分からない筈もない。

 チラッと母狼を見上げて、どうやら不快に思っていないらしい事を確認してから、俺も乳にありつき始めた。


「グゥ、グフゥ(よしよし、良い子達だねぇ。お前も良くやったね。偉いよ)」


 母狼が優しく子狼を舐める。俺を運んだやつだ。……舐められる勢いに負けて1度転がったが、再び体当たりしながら食らいついていった。強い。

 子狼を舐め終わると、今度は俺に顔を近付けてくる。

 ぇ、ちょ、まさか俺も舐められるの!? 緊張に思わず体が硬直した。

 それを察してか、母狼は俺を舐める事なく、鼻先で1回チョンと突いてからすぐに顔を離した。


 ……ふぅ、ご馳走様でした。

 やっぱり飲み始めたら止まらなかった。寝る前にあれだけ飲んだのに。

 赤ん坊の食欲って凄い。


「グルル、ガゥ、ウフッ(良く飲んだね、そりゃそうだろうね。何しろ丸2日、寝っ放しだったんだから。まぁ、寝ながらでもある程度は飲んでいたけどね)」


 うぇぇぇぇぇ! 赤ん坊の食欲が凄い訳じゃなかった!?

 丸2日寝てたってんなら、そりゃ腹も減るわ。つか、寝ながら飲んでたのか。俺。

 そんな俺のお腹は今回もポンポンです。ヘチマから瓜への劇的なイメチェンみたいな。……結局どっちも瓜じゃね? いや、俺の例えが悪かったか。

 あ、その前にお礼言ってない!?


「み、みゅぅ(えっと、その、ありがとう)」

「ウゥ?(何を言っているんだい?)」

「みあ、みゅうみぃ(えっと、しにかけてたのたすけてくれたこととか。おっぱいのませてくれたこととか)」


 うん、まだ完全に信頼する事は出来ないけれど、感謝はしているんだ。


「グルゥ(まだあたしに食われたいかね)」

「……みぃ(……そのほうがいいなら)」


 うっわ、すっげえ溜め息吐かれた。


「グルル、グルゥ(随分頑固な子だねぇ。何で自分の子供を食わなきゃいけないんだい)」


 ……は?? 何言ってんの?


「ウォゥ、ウフッ。ウォフッ(やっと年相応の顔になったね。子供はその位抜けてる顔していた方が良いよ。あたしの子らをご覧よ)」


 えーと、どういう事? つか、最後。最後。


 流石にちょっと失礼じゃね? と思って子狼達を見るが、全員全力で尻尾振っていやがる。1匹に至ってはそのまま尻尾追い掛けてその場でグルグル回り始めた。

 ダメだ、こいつら。俺らの話してる事全く理解してねぇ。


 母狼の言ってる意味は分かるが、言ってる事が理解出来ない。

 俺を食わないか、と聞いたら自分の子供は食べないと返された。それから想定するに、俺=母狼の子供? 何でそうなる??


「ぴぃ(なにをいってるのか、りかいできない)」

「ウォン、ウォウウォフ(賢い割に頭の回転は鈍いのかね。黒いの、お前があたしの子供だって言ってるんだよ)」


 ……何となくは気付いてたけど、こいつ結構毒舌じゃね? わりと性格悪い気がする。

 でも、何だって俺みたいなのを自分の子供にしたがるんだよ。


「ウォゥウォゥ、グルゥ(分からないって顔をしているね。単にあたしが黒いのを拾って、自分の子供にしたいと思ったからだよ)」

「みぅん?(くろいのって、おれのことか?)」

「ウォン(さっきからそう言ってるだろう)」


 俺を自分の子供にする? 何で??


「グルル、グルゥ。ウォフッ(理由なんか特にはないんだよ。そうしたいって思っただけの事だよ)」


 理解しようとしなかった頭が、ゆっくりと母狼の言う事を理解し始める。それでもなお、脳裏に浮かぶ光景(ははねこのかお)がそれを受け入れようとしない。


「グゥ、ウォフッ(悩んでいるね。お前は分かりやすい)」

「ぴ?(なんで?)」

「グルル、ウォン(自分の尻尾を見てご覧。すぐに分かるだろうよ)」


 ぉん? 尻尾??


 クリッと振り向くその先に、ホワホワと毛を生やした四方竹の如き尻尾が根元から左右に分かれて広がり、また左右からクナリと折れ曲がって先端を合わせている、という状態になっていた。うん、何を言っているのか分からない?? よし、詳しく説明しよう。つまりだな。


 今の俺の尻尾を、後ろから見たらハート型。


 ……ナニコレ、ハズカシイ。


 羞恥心を自覚した途端にポワッと膨れるホワホワ2本尻尾。うっわ、何これ和む。ただし、自分以外の尻尾だったらな……。羞恥心、半端ナイです。

 って、うぇぇぇぇぇい!! 尻尾2本!? え、猫又って、俺ホントにガチの猫又!?


「ぴぁぁぁぁぁぁぁぁ!!(うそだろぉぉぉぉぉ!!)」



 ***



「ウフッ(面白いものを見た)」

「……ふみぃ(……いますぐわすれろ)」

「ガゥ(そりゃ無理な話だね。お断りだよ)」


 クッソ……やっぱりこの狼(こいつ)性格悪ぃぞ。


 あ、そういえば


「みぃ(おれ、しっぽ2ほんあった)」


 ボソッと呟く。それを聞いた母狼は不思議そうに俺を見ながら首を傾げていた。


「グルゥ? ワゥ、ワフン(そりゃ当然だろう? お前は猫又じゃないか。尻尾が1本しかなかったらただの猫だろうよ)」


 あ、やっぱりそういうものなのか。

 それはそうと


「みゅ?(あんたもおれみたいなやつなの?)」

「ウォフッ?(そりゃどういう意味だい?)」


 ふーん、人には頭悪いって言ってる癖に分からないんだー。へー、ほー、ふーん?


 べちっ「みぎゃ!?(いてぇ!?)」


「グルルル……(妙な事考えてるからだよ。言ったろ、分かりやすいって)」


 !? 俺の尻尾またハートになってんの!?


「ウォゥ(いや、そりゃ違う)」


 !?!? こいつ……心を読むぞ!?

 ……んな、訳ないか。あ、質問の途中だった。


「みゃう?(あんたもねこまたみたいないきものなの?)」

「フンッ、グルゥ(そういう事かい。あたしは普通の狼だよ、この子らもだね)」


 ふ〜ん。そうなのか。

 ん。そういえば、普通は狼って群れで行動するものじゃなかったっけ? 今いる場所……えーと? 此処は洞穴、か? 此処には他の狼はいないみたいだけど。


 ふと気になったので聞いてみたらそのまま話し始めた。


 ——あたし達親子も、最初はとある群れに所属していたんだよ。

 ボス狼と、ボス狼の同腹の兄弟達、あたしと子供達の……あぁ、あたしの子は今のボスじゃなくて前のボスの子さね。

 ちなみに、今のボスも前ボスの子供だよ。母親はあたしじゃないけどね。ボスの母親かい? 数年前に死んだらしいよ。あたしが群れに加わる前の事だね。


 あたしの狩りの腕は群れの中でも随一で、かなりの貢献をしていたんだよ。

 だけど、獲物を食べられるのは群れのボスからなんだよ。これは他の群れでもそうなんだよ。でも、今のボスは横暴ってもんじゃなくてね、獲物はほぼ独占されてたんだよ。


 ボスが食べて、次に兄弟達となるとあたし達が食べられる量なんて微々たるものさ。

 獲物を狩っても結局奪われるものだから、ボスと兄弟以外はみんな飢えてたんだよ。

 この子らも、母親は違えどボスの弟達なのにね。可哀想なのは子供達さ。おっぱいをあげたくてもあげられなかったんだから。


 まぁ、不思議だろうねぇ? そんな群れにいたなんてさ。あたしは、前のボスに恩があったんだ。あたしは元々ハグレだったからね。

 けど、そいつも子供が産まれる少し前に死んじまった。ボスが変わった時にはお腹に子供達がいる事に気付いてたから、流石にハグレに戻る訳にも行かなかったんだよ。


 最初、あたしには6匹の子がいたんだよ。今は4匹しかいないだろう? 病気さ。助けたかったんだけど、結局殺されちまったんだよ。

 うん? 病気を拡げないためじゃないよ。ボスの腹いせでだよ。その事も話しておこうかね。


 こら、ここまで話したんだから、ちゃんと最後までお聞き。


 死んじまった子らはね、ちゃんと栄養を取れていれば助かったはずなんだよ。治らない病気じゃなかったんだ。

 だけど、さっきも言ったように狩りの獲物はみんな取られちまうからさ。あたしだけでこっそり、狩りに行ったんだよ。


 無茶だって? そんなのあたしも承知の上さ。そうしてでも、助けられるなら助けたかったんだよ。結局、ダメだったが……。

 いや、獲物はきちんと狩れたんだ。しかも滅多に獲れない獲物がだよ。あたしは大喜びだった。

 だが、あたしがいないのを気付いて追いかけて来たボスに見つかって、また奪われそうになった。当然、抵抗したよ。


 フン、あたしが負ける筈無いだろう? もちろん勝ったさ。足に思いっきり食らいついてやったんだよ。

 その時はこれで子供達に食べさせてやれるって思ったんだ。実際に食べさせてやる事は出来たんだけどね。


 翌日、怪我をしたボスを除いた群れでの狩りの最中の事さ。妙に胸が騒ついててね。狩りが終わってすぐに、慌てて戻ったんだが——


 病気になった子供達はボスに殺されていて、他の子供達も殺される寸前だった。何とか4匹は助けられたものの、もはや着いて行けなくなった母狼は子狼達を連れて群れを出た。……って、何それ重すぎる……!


「ガルルル……(出て来る前に兄弟含めてきっちり去勢してやったから、少しはスッキリしたけどね)」


……最後に凄い事を聞いてしまった。


「ふみぃ……(えっと、つらいこときいてごめんなさい……)」

「フゥ……ウォウ、ウォフッ(黒いのを拾う2週間位前の事だね……知らなかったのだから、気にしないでおくれよ)」

「みぅ(でもごめんなさい)」

「グルゥ、グルルル…ワフン(いちいち律儀だね。それに、今いるあたしの子らは辛そうかい?)」


 そう聞かれて子狼達の様子を見る。


 1匹は地面に腹這いになったまま、木の枝をアギアギ齧っている。尻尾が超、振られている。

 また別の1匹は、もう1匹と楽しそうに取っ組み合っている。

 残り1匹はというと……尻尾を追い掛けて、ひたすらグルグル、グルグル回っていた。


 さっき見た時もそうだったけど、良く回るやつだな。……まさか、あれからずっと回っているってオチじゃないだろうな?


 色んな意味でドン引いた。


「みゅう(みんなけんこうそうだし、たのしそうにみえる。とくに1ひき)」


 そう言う俺の視線を辿り、母狼はヘナ、と耳と尻尾を垂らした。


「ウォフ……(あの子はアレで良いんだよ……)」


 説得力ねぇぞ、おい。その耳と尻尾、何とかしてから言えよ。まぁ、その、なんだ……。


 ぽふん


「ふみ(げんきだせよ)」

「ガゥッ(うるさいよ)」


 ついでにこれも聞いておくか。


「ぴぁぅ?(あいつら、いまなんかげつ?)」

「グゥ、ウォン(やっぱり変な事を気にするね。もうすぐ2ヶ月だよ)」


 ふーん、俺より年上ね。……ぇ、アレも?


 思わず、とある1匹をガン見。隣で母狼の尻尾が再び萎れるのを見た。あ、ごめん。


 あの後も色々話して、とりあえず俺は今後、この母狼に育てられる事になったらしい。

 一緒にいるのが嫌になったのなら、1匹で生きていけると思えばいつでも出て行っても構わない。ただし、まだ1匹では生きていけないと判断したら脚を噛み砕いてでも引き留めるからね、と。


 おい、最後。とんだヤンデレじゃねぇか。


 ん、まぁ、そんな感じで。……うん、少しは信用してみても良いんじゃないだろうか。まだ完全には無理だけど。

 まずは、お試し期間的な感じで。


 少しだけ、歩み寄ってみようと思う。



 ***



 そんな訳で、まずは俺の方から歩み寄ってみようと思う。本当は俺、大人だし。

 思った、ん、だが。俺の警戒心が半端ねぇ。猫としての本能なのか、それともつい数日前の体験(ははにすてられた)が原因か。

 とりあえず子狼達に、と思って近付こうとしてるんだが……。


 ちょっと近付いてはビビって、近付いては下がって。逆に遠ざかった。実際の距離的な意味で。

 だって、子狼の内の1匹が近付いて来ようとするんだもんよ。そりゃビビるだろう、普通。


 だってさ、俺、生まれたばっかりの子猫よ? それが同じ子供とは言っても、自分の体格の倍以上ある狼に近寄られてみ?? 逃げるだろう、普通。

 人間の体格で考えてみろよ。身長1.5メートルの人間に対して身長3メートルの人間だぞ。完璧巨人じゃねぇか。

 俺? 全力で逃げた。

 尻尾から背中の毛から全部逆立てて、ふしゃー! って威嚇(いかく)しながら。びょんびょん跳ねて。


 それ見て笑った母狼は、絶対いつか笑い返してやる。絶対にだ。

 ゴホン、まぁ、そんな感じで思わず逃げてしまったんだが。此処で1つ問題が。


 ……その当の子狼が、現在進行形でメッチャ落ち込んでる件について。

 どうしたら良いと思う……?


 正直、狼の顔の見分けなんて付かないけど。毛色的に、さっき母狼に近付けなかった俺を母狼のところに運んでくれたやつだと思うんだよね。

 世話になった相手なだけあって、落ち込ませたままというのは心苦しいものがあると言うか。罪悪感半端ないと言うか。見た目的なものでも、俺のメンタルをザクザク攻撃されてる状況だ。


 マジでどうしようか……。


 因みに母狼は、全く当てには出来ない。ニヤニヤしながら無言で見ていやがる、チクショウ。

 と、すると……自力で何とかしないといけないんだけれども。何を、どうすれば良いのかと。


 ぐむ〜、と考える事、恐らく十数分。俺は段々イラついて、尻尾を地面にペチペチ叩きつけながら悩み続けていた。

 相変わらず、何か良い考えは浮かんで来ない。


 ぐぬぬぬぬ……。あ————! イライラして来た!!


 バリバリバリバリッ!!


 壁から飛び出た根っこに八つ当たりする。息が荒くなる。だが、少しだけスッキリした。

 こうなったら、男は度胸だ。

 真正面から行ってやる……!


 ホテホテ、ホテホテ、ピタッ


「…………」


 何か言えよ、俺。ほら、早く。


「……っ」


 何してんだよ。言えって、ほら!


「……、……っ!」


 何、してんだろう、俺。こんな小さい子狼(ガキ)イジケさせて……その癖、謝りも出来ないなんて。

 俺の中身は大人の男だぞ? いつからこんなに情けなくなったんだ。早く、謝らないと。


「……み、みぁ(……あ、あの)」

「ふきゅ?(……なに?)」

「みゅ、ふみぃ……(あの、その……)」


 なかなか言葉が出て来ない。

 言わなければいけない事なのに……!


「きゃふ(……こわがらせて、ごめん)」

「っ! ぴ! みゃう!(っ! ちがう! おれが!)」


 これ以上、情けないザマ晒してんなよ、俺。


「ふみゃぅ、みぃ。みぁぅ!(おれが、かってにこわがったんだ。おまえのせいじゃない。こわくなんかないからな!)」

「きゅ(……いま、こわがったっていった)」


 うが——! 何言ってんだ俺ぇぇぇぇぇ!!


「ぴぃ! ふみ、みゃ、みゃぅみぃ!(ちがう! たしかにさっきはこわかったけど、おれがいいたいのはそんなんじゃなくて。もう、だいじょうぶだって!)」

「くぅ(……なら、よかった)」

「……み?(……おれとなかよくしてくれる?)」

「きゅ。きゅうん(……もう、かぞく。……かあさんがいってた)」


 さっきのか。


「くぅん、きゃふ(……ちがう。きのうのきのう)」


 昨日の、昨日。つまり一昨日か。……何か俺が寝ている間に外堀埋められてる気がしてきた。


「ふきゅぅ(……よろしく、おとうと)」


 おとうと。『弟』か。

 ……うん。


 よろしく、兄さん。

 5話目も最後までお読み頂き、ありがとうございます。


 そろそろ子狼との交流も開始しました。次話もよろしくお願いします。

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