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猫又番外編:ハイシロの記憶

 本日2話目の更新です。

 猫又番外編、今回はハイシロでお送りします。なお、今回はシリアスが殆どです。辛うじて最後にほのぼのを入れられましたが……。

 平仮名を多用しておりますので、読みにくい箇所が多いと思いますがご容赦下さい。

 それと、今回文字数がかなり多いですorz

 おれは忘れない。ずっと、絶対に忘れる事は出来ないだろう。あの日、母さんがかりに行った後の事を。


 おれ達は元々は6匹いたんだ。けど、あの日から2匹いなくなってしまった。

 おれ達が生まれた群れのクズ野郎共(・・・・・)がボスだったせいで。おれが今よりずっと弱かったせいで。

 群れの最初のボスは俺達の父さんだった。だけど父さんはおれ達が生まれる前に死んで、代わりにあいつらがボスになった。あいつらはおれ達の父さんの子でもあり、おれ達とは母親はちがうけど兄弟だと言われていたから、いつかは仲良くなれるのかなって期待してたんだ。きっと、きわられているのはおれ達が弱いからで、おれたちが強くなれば……って。

 だけどあの日、絶対にそんな日は来ないのだと思い知らされた。


 2匹の弟妹の『死』と引き換えに。



 ***



「グルゥ、ウォフッ……(それじゃ、狩りに行って来るからね。大人しく待っておいで……)」

「きゅん……(かあさん、はやくかえってきてね……)」

「……くぅん……(……おなか、すいた……)」


 狼の群れが巣として使っている洞窟の中、6匹の子狼が1箇所に固まっていた。その横には1頭の雌狼。子狼達の母親だ。

 狩りに出ようとする母狼が子狼達に声を掛けると、弱々しくも返事が返って来た。だが、内の1匹から返って来た言葉はうわ言のように空腹を訴える言葉だ。子狼の内の2匹は力無く横倒しになったままで、残る4匹はそんな2匹を温めるように身を寄せ合っている。

 空腹を訴えている子狼は倒れた2匹の内の1匹で、ハァハァと呼吸を荒げながら時折体を震わせている。もう1匹は荒い呼吸に体を震わせるばかりで、声を出す気力も無いようだ。

 飢えに倒れた2匹だけでは無く、残りの4匹もガリガリに痩せこけている。母狼も同様の姿だ。


「ガウッ!(何時までボスを待たせる気だ!)」

「グルルル!?(てめぇらの獲物はいらねぇんだな!?)」

「ぐぅ……(かあさんがいなきゃ、ろくにえものもとれないくせに……)」

「グァゥ!?(あ!? 何か言ったか!?)」

「ワフッ、ワウ……(ちび、おやめ。子供らに手を出すなら、あたしは狩りには行かないよ……)」


 ボソリと呟かれた子狼の言葉に威嚇する雄狼達だが、母狼の言葉に口を(つぐ)んだ。

 ギラギラと目を輝かせた母狼に腹立たしそうに唸り声を上げるが、狩りをこの母狼に頼っているのは事実だ。下手に手を出せば自分達も飢える事を知っている為、今のところは雄狼達が最後の一線を越える気は無い。


 ただし、母狼に逃げられても困る為に分ける獲物は最小限に。子狼達がギリギリ死なない程度に分け与えれば良い。そうすれば子狼達は体力が無いから逃げられないし、母狼も子狼を見捨てる事は出来ない。

 バカ(・・)な母狼だが、使えるからそうして群れで飼ってやれば良い。

 子狼達とは父親が同じだが知った事か。追い出さずに生かしてやってるだけ、感謝して貰いたいものだ。自分達の群れだ。こいつらは俺達を生かす為に生きれば良い。


 そう考える雄狼達だが、そもそも母狼がいないと自分達の群れが存続出来ない事には気付かない。このまま、何時までも自分達の天下が続くのだと思っていた。

 あの日までは。



 ***



 ウオォ―――ン……


 遠くから狼の遠吠えが聞こえる。この群れの隣の縄張りに住む狼からだ。

 遠吠えの内容は注意喚起。隣の群れで病気が流行っているらしい。体力の無い子狼達には特に気を付けるように、という内容だった。

 洞窟の中で聞き付けた子狼の1匹が横たわる2匹の子狼の体を舐める。幸いにして他の4匹は今のところは飢えてはいるものの、病気には掛かっていない。だが、目の前にいる2匹は病気に掛からずにいられるだろうか……?


 おれがつよければ……あんなやつらに、すきになんてさせないのに……!

 かあさんも、おとうとたちもいもうとたちも、おれがまもってやれるのに……!


 グルグルと喉の奥で唸り声を上げる子狼を宥めるように、子狼の1匹が唸る子狼の顔を舐める。雌の子狼だ。

 心配そうに見つめる()に小さく鳴き返すと、再び倒れた子狼達の体を舐め始める。


「くぅ?(ちび、だいじょうぶ?)」

「……わぅ、ぐるぅ(……だいじょうぶだ。しんぱいさせてごめん)」

「きゅん……(あたしもつよければな……)」


 ちびはめす(・・)だから。おれのいもうとだから、おれがまもる。

 ほかのちびたちもまもらないとだけど、おす(・・)めす(・・)をまもるものだから。

 だから、かあさんやいもうとたちをくるしめるあいつらは『てき』だ。

 ……ちくしょう、はやくおとな(・・・)になりたい……そうすれば、あんなやつら……!


 ケフッ……


「きゃん!?(ちび!?)」


 甲高い子狼の悲鳴と、その前に聞こえた咳の音に不安を掻き立てられる。

 慌てて振り向くと、倒れた子狼のそばで右往左往する子狼と、倒れている子狼を必死に舐める子狼、そして倒れたまま口から血の混じった泡を吹いている()の姿があった。


「きゃん! きゃん!!(ちび! ちび!!)」

「くぅ……!(……ちび、しっかりして……!)」


 必死に泣き叫ぶ子狼の声に気付いて、狩りから戻って来たばかりの母狼が駆け寄って来る。


「ウォウッ!(チビ! しっかりおし!)」

「きゃぅん……!(かあさん……!)」

「フンッ……グルルゥ……(ちっ、病気かよ……俺達にうつすんじゃ無ぇぞ……)」


 後から入って来た雄狼達の言葉に殺気立つ子狼達だが、母狼に(たしな)められて渋々引き下がる。

 その様子に鼻を鳴らしながら洞窟から立ち去る雄狼達。


 あのクソおおかみども……!

 かあさんがいなければ、かり(・・)もまともにできないくせに……! 『おす』ってだけでえらそうにしやがって……!!


 子狼達を宥めながらも、母狼が雄狼達の後姿を見送る目には、子狼達にもハッキリと分かる程の殺意に満ちていた。それは子狼達にも伝染する。

 言葉を吐き捨てた後、悠々と立ち去る雄狼の後姿に無性に腹が立つ。襲い掛かってやろうかと考える子狼の爪がザリ、と地面を引っ掻いた瞬間、背後から嫌な音が聞こえてきた。


 ケフッ、ケプッ……!


「きゃん!(ちび!)」

「……っ!?」


 ちび!? いまのおとは……!?

 ……『ち』をはいたのか!?


 先程までは泡に血が混じる程度だったのだが、今は咳と同時に目で見て分かる量の血を吐いている。もう1匹の子狼も血こそ吐いていないものの、時々咳き込んではゼヒュゼヒュと息を荒げていた。

 数日前よりも体調が悪化しているのは明らかだ。

 先程聞こえた遠吠えも気になる。母狼も当然、先程の病への注意喚起の遠吠えは耳にしていた。その内容が気に掛かったからこそ、狩りの後慌てて帰って来てみればこの有様だ。

 瞑目してしばらく考え込んでいた母狼だが、目を開けると優しく子狼達に告げる。


「ワフッ(もう一度狩りに行って来るよ)」

「きゅん?(……かあさん?)」

「グルルゥ、ウォフッ(体力があればこの病気は乗り切れる筈なんだ。だから、あいつらの目の届かない今の内に狩りに行って来ないとね)」


 ……たしかあいつらは、かり(・・)のあとはかならず『ひるね』するはず。どこにいってるんだかしらないけど、どうくつをはなれるのにはまちがいない。

 かあさんのいうとおり、かりにいくならいましかないのかもしれない。

 それに、おれやちびたちのたいりょくがないのも、あいつらがえもののほとんどをうばうせいでメシがたりないからだ。だから、こいつらもちゃんとメシがくえれば、げんきになるかもしれない……!

 

「わふっ(かあさん、きをつけろよ)」

「きゃん!?(ちび!?)」

「ぐるるぅ(このままじゃちびたちがもたない)」

「きゅぅ……(でも……)」

「グルゥ、ウフッ(大丈夫だよ。必ず帰って来るから、安心おし)」


 ペロリと心配そうに母狼を見る小狼を順番に舐めると、横たわる小狼達を優しく舐めてから狩りへと赴く母狼。

 洞窟を出る際に左右を見回しているのは雄狼達を警戒しての事だろう。だが、雄狼達の姿は見当たらない。洞窟を出る間際で小狼達を心配そうに振り返るが、すぐに洞窟から出て行った。


「きゅん……(かあさんがかり(・・)にいったから、もうすこしだからな……)」

「くぅ……(ちび……)」


 ペロリと、血を吐く小狼の口元を舐めて鳴く子狼。その言葉は地面に倒れる子狼にも、自分達にも言い聞かせているように聞こえる。子狼も本心では不安なのだ。

 その姿に他の子狼達も不安を紛らわせるように、寄り添って丸くなる。

 自分達の真横から聞こえる苦しそうな呼吸と、自分達よりも低い体温が気懸りだ。だが自分達に出来る事は無い。ただ、体の弱った子狼の体温がこれ以上下がらないように、早く元気になってくれるように願いながら寄り添う。


 母狼が出掛けてから何時間経ったのか。長いようにも、短いようにも感じる。実際にはそう長くは経っていない筈だ。その証拠に雄狼達はまだ洞窟に戻って来ていない。

 母狼が仮に出る前よりも少し落ち着いた様子の子狼達を見て、ほんの少しだけ安心したように顔を擦り付ける。


 かあさん、はやくかえってこないかな……。


 そう願ったのが神に届いたのか、母狼の声が聞こえてきた。だが、その声は切羽詰っていて、母狼の声と同時に雄狼達の声も聞こえる。

 どうやら、こっそり狩りに行っていたのがバレたらしい。狩りの成果を奪おうとする雄狼達と母狼の争う声が聞こえて来た。


 雄狼達の声にいきり立った子狼達だが、下手に顔を出しても却って母狼の邪魔になる。自分達を盾にでもされたら、間違い無く母狼の不利になるだろう。

 それを理解している子狼達は、弱った2匹の子狼から決して離れようとはしない。グルグルと低い唸り声を上げて警戒したまま、洞窟の入り口を見つめる。

 もしも雄狼達が入って来たなら、例え敵わなくとも弟妹達には近付けさせない事を心に決めて。

 

 そうこうしている内に『ギャン!』と悲鳴が聞こえたのを最後に争う声も聞こえなくなり、緊張する子狼達の目に洞窟に入ってくる母狼の姿が見えた。その口元には何かの肉がくわえられている。所々血を流してはいるものの、その足取りはしっかりしていた。

 慌てて駆け寄った子狼達を引き連れながら倒れた子狼達に近寄り、少し強引に意識を戻させると吐き出した肉を少しずつ食べさせる。

 その様子を見つめる子狼達は自身達も飢えているが、横取りしようなどとは微塵も考えていない。心配そうに、妹達が母狼の吐き戻した肉を食べる様子をジッと見つめる。

 しばらくすると食べる体力も尽きたか、再び眠り始める2匹の子狼。その様子は先程よりもかなり安定していて、呼吸もしっかりしているように見える。


 ホッと安心したと同時に自分達の腹も鳴り、慌てる子狼達を母狼が呼ぶ。眠る子狼達を気にしながら近付く子狼達に、新しく肉を吐き戻して与え始めた。初めて食べる肉に最初こそ戸惑っていたが、すぐに空腹に負けてがっつく子狼達を見ながら母狼も自分の食事を取る。母狼にとっても久しぶりにまともな食事だ。


 生まれて初めてと言える満腹感を覚えながら子狼達が眠りに付いた翌日、母狼を狩りに連れ出そうとする雄狼達はニヤニヤと嫌な顔で笑っていた。その事に母狼も子狼達も酷く不安を覚えたが、子狼達に何も食べさせない訳にもいかず、大人しく狩りに同行するしか無い。

 だが、雄狼の1頭は昨日母さんに噛まれたという足を酷く引き摺っていて、狩りに同行するのは不可能だと言い張る。それに他の雄狼も同調し、その分も多く獲物を見つけて狩れと言い募る。さもなくば母狼の獲物の分け前は無いと。昨日満腹になるまで食べたのだから、しばらくは食べなくとも大丈夫だろう? とせせら笑いながら。

 雄狼達のその言葉に、残される子狼達と怪我を理由に洞窟に残る雄狼を気にしながら、母狼は狩りに同行するしか無かった。

 

 そして、惨劇が起こる。


「ぎゃいん!!」

「「「「きゃう!!(ちび!!)」」」」


 なんで……!? なんでだよ!

 おれたちが、わるいことしたのかよ!? いきようとしたのが、そんなにわるいことなのか!?

 ちび! ちびの()がとまらない……! おきろよ! なぁ……たのむから……!


 願いは届かず、そのまま子狼の呼吸は止まった。

 目の前で起きた事が信じられず、信じたく無くて、必死に事切れた()の顔を舐めるが、一度閉じられた目が再び開く事は無い。

 ダクダクと流れる血もすぐに止まり、地面と子狼達の毛が赤く染まる。


「ぐるるるる!!(てめぇ!!)」


 目の前の赤に茫然自失となるがすぐに我に返り、怒りに任せて雄狼に飛び掛る。だが体格差が違いすぎるせいでアッサリと跳ね飛ばされた。子狼が宙を舞う間に、他の子狼達が飛び掛っては地面に叩き付けられているのが見える。

 自身も地面に叩き付けられたが、慌てて起き上がる。弱っていた子狼の片割れはもう動かないが、もう1匹は地面を這いずりながら少しでも雄狼から離れようとしている。


 まもるってきめたんだ……つよくなる、って!


「ガウゥゥッ!!(あたしの子達に手を出すんじゃないよ!!)」

「きゃん!(かあさん!)」


 かあさんがかえってきてくれた!

 これでたすかる……!


 子狼がそう思った瞬間、雄狼がニヤリと笑うと駆け寄って来る母さんに見せ付けるように、這いずりながら遠ざかろうとしていた子狼の首を噛み砕く……。

 声も出せずに一瞬目を見開いてすぐに動かなくなった()の体を投げ捨て、雄狼が嘲笑うように遠吠えを上げる。

 次の瞬間、雄狼の体が吹き飛び……そこまでを目にして子狼の意識が途切れた。


 次に目を覚ました時は見知らぬ場所で、自分の周りに子狼達が丸まって寝ていた事に安心したが、ふと気付いた事実に体が固くなる。


 ちびと、ちびは……?

 おれの『おとうと』と『いもうと』は? どこだ……? どこにいる!?


 うろり、と目を彷徨わせるが見慣れた洞窟は何処にも無く、子狼達の数が足りないのも事実で……分かっているのにそれを認めたくない。目にした血の赤は忘れられる筈も無く、立ち尽くしたままぼろぼろと涙を零す子狼。

 どれだけ立ち尽くしていたのか、気付けば母狼に体を包まれており、何も言わずに零れる涙を舐め取られていた。


「……きゅぅん……きゃぅ……っ!(……かあさん……ごめ、なさ……っ!)」


 まもりたかったのに、まもれなかった。


 そのまま泣き続ける子狼に母狼が言う。『お前は悪くない』と、『自分が子供達から離れたのが悪い』と。

 フルフルと首を振る子狼に、母狼がさらに言葉を続ける。『群れから抜けた』と『もっと早くに決断すべきだった』と自分を責める言葉を。

 それが悲しくて、泣けない母狼を見るのが辛くて、必死に母狼を舐める内に他の子狼達も起き出す。

 子狼と同じくいなくなった弟妹を探して視線を彷徨わせ、母狼に縋り付く。


 ……のこったちびたちはぜったいにしなせない。つよくなって、いじ(・・)でもいきのびてやる……!

 


 ***



「グルゥ……(必ず、生き延びて……)」

「ミャ?(ハイシロ?)」

「……グゥ?(黒いの?)」

「ミァウ、ニャァ?(何かうなされてたぞ。大丈夫か?)」

「……ワフ(……ねてたのか)」


 心配そうにハイシロの名を呼びながら覗き込んで来る小さな()の姿に、失った弟と妹の面影を見た気がした。あの2匹も、小さな子狼だった頃のハイシロ達が悩んでいると良く覗き込んでは心配していたものだ。

 血の繋がりは無い。それでも何故か感じた面影に、起き上がりながらベロリと黒いのを舐めると『ウニャッ!?』と抗議の声が上がる。それを無視してベロベロと舐めている内に嫉妬したチャイロが乱入し、騒ぎを聞き付けてハイイロが尻尾を振り回しながら飛び込んで来る。そんな様子をハイクロが呆れたように眺め、うたた寝をしていた母さんが首をもたげるが、フスン、と鼻息を漏らして再び目を閉じる。

 ガウガウ、ニャーニャー! と賑やかに騒ぐ弟妹達に悲痛な影は無く、それを見ている自分も笑える事に安心した。


「ニャッ! ニャゥ!!(ハイシロ! てめぇ、何を関係無い振りしてんじゃぁっ!!)」

「ワウッ!?(うぉっ!?)」


 飛び掛ってくる黒いのを受け止め、数ヶ月前に家族になった新しい弟をカプリとくわえてポーン! と放り投げる。

 宙を飛びながら『ニギャー!?』と悲鳴を上げる()と着地点へと慌てて走るチャイロを見ながら、かつての弟妹を思う。


 お前達を守る事は出来なかったけど、今いる家族は絶対に守ってみせる。

 あの後、新しい家族も出来たんだぜ? そいつは猫で……本当は猫又だけどさ。お前達の代わりじゃなくて、おれ達全員の新しい弟だ。

 いつか、お前達にも紹介してやりたいな。まだおれ達も、母さんも戻る決心は付かないけど、もっと強くなったら必ず会いに行くから。そうしたら、家族全員で『焼肉パーティー』しような……。

 今回はハイシロの過去話でした。

 時系列は25話辺り? 居候編の前を想定しております。

 

 口は悪いけど頼りになるお兄ちゃんの片鱗はこの頃からあったんです。

 それと、実は口の悪さは群れの雄狼達譲り。強く見せたい願望から話し方を真似してました。今となっては黒歴史ですが、定着しちゃったので口調は今さら変えられない。雄狼達より柔らかめだけど。

 色々と頑張った結果が今のハイシロ。頼りになる兄ちゃんです。ただし、ハイクロには強く出られない、ちょっぴりヘタレ。


 今回はあえて特徴での書き分け無しで。その結果、ハイイロが見事に行方不明に。一応しゃべってます。けど、『ちび』しか言ってないので書き終わったら何処だったか……?



~以下、小話でほのぼの補充~


「ふきゅぅ~……(おれの、やきにくぅ~……)」

「……ワフン(……何の夢見てんだよ、こいつは)」

「ミャ?(焼き肉の夢じゃね?)」

「キャフ(それは分かるわよ)」

「…………」


 ん?


「グル?(チャイロ?)」

「ワゥ(……お前の肉はオレが貰った)」

「「「!?」」」

「くぅ……きゃぅん……!(おれの……おれのやきにくが……!)」

「ウォフ、フンッ(……残念だったな。これが最後の肉だ)」


 ちょ、チャイロ。おま……何してんだ!?

 つか、何でハイイロと会話になってる!? 本当にねてるんだよな、こいつ!?


「キャォォォォン!!(おれの肉ぅ!!)」

「「「「…………」」」」

「キュ?(肉?)」

「ミャン?(夢じゃね?)」

「キュ? ……フキュー……(ゆめ? ……ゆめかー……)」


 パタッ……プスー、プスー……


 ……おい。


 はぁ、何か力抜けたな……。チッ、明日はハイイロの好物の鹿でも狙ってみるか……。

 それで焼肉パーティーすりゃ、ハイイロも喜ぶだろ。もちろん、おれ達もな。

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