第9話 戦闘
ガーデンパークの入口についたレイモンドは、異様な光景を見つめている。
駐車場に車は何台も停まっているが、人の気配がないのだ。
レイモンドの脳裏に不安がよぎる。
「おかしいな。普通なら客1人ぐらいはいるだろうに……」
『営業時間はもう過ぎているな。おそらく議会の近くだからみんな避難したんじゃないかな?』
「だといいが……」
レイモンドはケースをいったん置き、ホルスターから拳銃を抜き、辺りを見渡す。
誰もいない。
彼はため息をついて、ケースを持ち、再びガーデンパークの建物内へ向かい始めた。
歩きながらそこにいた人々は焦っていたのか、アスファルトには物や紙切れ、人々がそこにいた事を証明する物が散乱している。
「相当な慌てぶりだったんだな」
『何があったか調べてみる』
「頼むぞ。ミッキー」
通信が切れ、各々が行動をし始めた。
レイは、そのまま施設の入口前で、銃を構えながら、中へと入っていく。
その間にオペレーターは数時間前の施設内をその施設に設置された監視カメラの映像をハッキングして遡って確認し始める。
レイは歩き始め、日用品や工具が置かれているホームセンター内へと歩き始めた。ところどころ照明が切れているせいか、辺りは薄暗い。
持っていたFN Five―seveNのアタッチメントライトをONにして、辺りをその光で照らし、安全を確認しながら歩く。
すると近くで重く低い物音が聞こえた。それも複数。
レイは、腰を低くし、ゆっくりと進み物音の正体を掴もうとした。
商品棚に置かれた段ボールの束を壁にして、隙間から見つめると、そこには、マシンガンのMP5を持った人の姿だった。
現時点、目で見て取れるのは5人。
「くそっ。ここにも奴らがいるのか」
レイはそれを、自分を追っているジンフォニアックと即座に判断した。
理由はとても簡単。
彼らの動き方はどこか人間としてはぎこちなく機械的で、目が薄暗い中で赤く光っているから。
人間の目なら赤く光るはずがない。
5体のジンフォニアックはそれぞれで別行動をしはじめ、それぞれホームセンターのコーナーへと侵入し徘徊し始めた。
「人間の方がまだ愛想のいい警備してくれるぞ」
そう小さく呟きながら彼はなんとか気付かれない様に別のコーナーへと腰を低くして、歩き始める。
だが、ジンフォニアックも冷静な表情を保ちながら、ゆっくりと近づいている。今の処は気づかれていない。
レイは工具のコーナーに立ち寄り、拳銃の残弾数を確認する。
予備マガジンの弾を含めても20はない。
「どうする?」
ふと、周りを見ると釘打ち機やネイルガン、電動のこぎり等の様々な工具が置かれているコーナーにレイはいる。その中でお試し用として置かれている釘打ち機を目にして、レイはそれを手に取った。
「使えるかもしれないな」
レイはその釘打ち機のバッテリーを確認し。十分使える事と近くに無造作に置かれた釘のケースを持ち、装填する。
盗難防止用のチェーンを何とかして引っこ抜いたと同時に、工具のコーナーに入ったジンフォニアックの1体が彼の姿に気付き、持っていたMP5の引き金を引いた。
弾丸の音で他のジンフォニアックも気付き、走ってその工具のコーナーへと向かい始める。
レイは、商品棚に置かれたものを壁にして移動し、乱射するジンフォニアックに向けて釘打ち機を放つ。
釘は、乱射しているジンフォニアックの顔に着弾し、両目に釘が刺さる。無数に刺さった釘によって1体は、体勢を崩し、行動を停止した。
彼は釘を放ったジンフォニアックから火花が出ているのを確認し、床に置いていたFN Five―seveNをホルスターにしまい、急いでその場から避難し、別のコーナーへと向かう。
ジンフォニアック達はその間に、工具のコーナーに入り込み、1体が停止しているのを確認した。別コーナーで足音が聞こえるのを彼らは察知して、確実に仕留める為にフォーメーションを取る。4体、全員で仕掛けるのではなく、2ON2で仕掛け始めたのだ。レイが辿り着いたコーナーは無数の壁や木材が置かれた建築素材のコーナー。
大量の木材を置かれているのを確認して、仕掛けを作ることにした。
ジンフォニアックは、それを知らず、ゆっくりとコーナーに入っていく。明るい照明が突然、消えた。
真上の天井に銃口を向けると、そこには大きな木材がワイヤーで天井に吊るされており、木材の先には何発も撃ち込まれた釘の束が見える。
銃口を正面に向けるとレイが立っていた。
「よっ。お元気ぃ?」
彼は天井で木材を支えている。ワイヤーをFN Five―seveNで打ち抜き、木材をジンフォニアックに落とした。
一瞬の判断はジンフォニアックはできず。木材が彼の顔面に直撃し、体ごと床に倒される。
倒れたジンフォニアックの後方にいた別のジンフォニアックが例に向けてMP5の弾丸を放つ。
「やばい!」
引き金が、力強く押され、銃口から何度も火花をまき散らしていく。
レイは急いで、商品棚の商品を壁にして弾丸をよけながら走る。一体のジンフォニアックが後方から追っていく。左に曲がり、ジンフォニアックの追跡を逃れようと試す。
そのままジンフォニアックが追いかけていくが、あるところでトラブルが発生した。
床にオイルが塗られているのを気付けず、足を取られ、滑り体を打ち付けた。
「気付かんものだな」
レイはあきれながら、持っていたライターを投げて倒れているジンフォニアックの付近に落とす。ライターはオイルと反応して、赤く勢い良く燃え始めた。
オイルにくるまったジンフォニアックに火が燃え移り、そのまま流れ出る電気回路にショートが起き、彼の緊急停止が作動した。彼はとどめに釘打ち機を数発放ち、倒れ、そのまま炎上しているジンフォニアックを完全に停止させる。
火災を知った報知機のブザーが鳴り始め、それぞれのコーナーでスプリンクラーが起動し、水が天井から降り始めた。
濡れながら、別のコーナーへと向かい、ジンフォニアックからレイは離れていく。
2体の通信が切れたのを確認した別のジンフォニアック2体がすぐに木材コーナーに向かうが既に遅かった。
倒れた2体を見つけたが、すでに停止している。
遠くの所でドアが開いた音が2体は聞こえ、すぐさまそこへと向かった。
そこにレイの後姿を見つけ、1体のジンフォニアックが追いかけながら、弾丸を放っていく。
「くそっ!! 早すぎるだろ。気付くの!」
レイは急いで別オーナーに入り、身を隠せる所に隠れて、相手の動向を見つめ、釘打ち機の残弾数を確認する。
残り15発。まだまだ余裕だった。レイモンドは上がった息を整えていく。
「こんなレジャー施設はこりごりだよ」
第9話です。 話は続きます。