第7話 連絡
司令部は依然として騒がしい状態。連邦議会の襲撃、そしてレイモンドの状況から見て、騒がしい事は納得できた。コールソンは、会議室を抜けて、電話を取り、左耳に当てながら、司令部の窓から写る風景を見つめていた。
電話の相手が受話器を受けた事を知らせるノイズがコールソンの耳に響いた。
「私です。あなたに参考人招致がかかっています。ドクター」
相手はジンフォニアックを作り上げた男であり、ある意味、この現状を作り上げてしまった男であるジョブス・クオーツマン。
クオーツマンはモニター画面越しに、落ち着いた口調でコールソンの対応を始める。
『やぁ、コールソン。ニュースを見たよ。こんな事になるとはね……私も支度をしてすぐにそちらに向かう予定だ』
「ドクター。そちらに迎えに参ります」
『分かった。それまで待つとするよ。今、外は物騒だからね……』
「ええ、では、また後で」
画面に写っていたコールソンの連絡は終了し画面は黒い状態となる。
通話を終了したクオーツマンはキーボードのデリートキーを押して、黒い画面から元の映像の画面へ変更させる。
映像は、レイモンドの手によって破壊されたシルヴァのカメラ映像でずっと白と黒と灰のコントラストの波が流れているだけ。
彼は、深いため息をつき呟く。
「シルヴァは出来損ないだったか……」
クオーツマンは、キーボードに触れ、またプログラミングの羅列を打ち込み、レイモンドの動向を見つめ、次の襲撃を考えていた。
レイモンドは、ある程度の距離を進み、近くの自販機でコーラを買い、今までのトラブルで生じた喉の渇きを潤した。炭酸がやけに痛く感じたが、レイモンドはそれも気にしていられなかった。
ミッキーは、つかの間の休憩をしている彼に、告げる。
『距離はまだあるな』
疲れが伴っていたのか、自分の耳がマヒしているのか、レイはあまり聞き取れなかった。
「あ?」
『いや、まだ距離があるなって』
「そりゃそうだろ。今頃、この時間には、議会には着いてた」
『……』
レイはコーラの瓶を瓶のゴミ箱に投げる。
「この仕事を終らせて家帰って、フットボールの試合をアストラスコーラとフェアピザのペパロニを食べながら見る。今日はそうする。最高のアフターケアだろう?」
再びケースを持ち、彼は歩き始める。
「ミッキー、仕事終わったら来いよ。飲もうぜ」
『もちろんだよ。まずはこの仕事を終らせてからだ。このまま真っ直ぐ向かってくれ。そうすれば、複合施設のガーデンパークに入る。そこを通っていけば、連邦議会に入れる』
「分かった」
レイはスーツケースを持って歩きながらあたりを見渡していく。
周りの人間それぞれが連邦議会襲撃を知り、慌ただしくなっている事を、足取りや通話や会話、行動によってレイモンドの肌に直接感じ取っていた。
慌ただしい人の波をかいくぐり、レイはそのままガーデンパークへと向かった。
話は続きます!