八雲怪談③
さっきから空気の塊に熱を感じる。
オバケ街灯はチカチカと下にある蝉の死骸を照らしていた。
こんなに蒸し暑い夜ならば、冷房を効かせた部屋にでも入って、同級生どもと怪談話をしたいところだが、俺はそうではなかった。
ある廃墟に、用事があるのだ。
「心霊スポット」と呼ばれる場所である。
どうやら生前、強い無念を残してこの世を去った奴がいるらしいのだ。
そいつは
「ぽいんとぉ〰あくせす、すぅ〰かんそ、うぅ〰れびゅぅ〰ぜ、ぜんぶぅ〰ぜろぉ〰なろう〰いつま、で、たっってもぉ〰てぃへんん」
と言いながら、興味半分で廃墟に来る若者たちに強制的に(小説家になろう)の作者にさせ、さらにいつまでたっても感想はおろかポイントやアクセス数さえ0にしてしまう、あまりにも卑劣な呪いをかけ続けるとんでもない悪霊らしい。
俺はそいつとの戦いに終止符を打つためにここに来た。
通称、悪霊退治の八雲つぁん、と呼ばれるこの俺である。
突然、後ろから物凄い寒気を感じた。
そこに奴がいた。
「お前に、一つだけチャンスをやろう、来月の今日までに、総合評価が60p以上であれば、、、お前に勝利を、、、
「、、もーいいからそう言うの。あと1ヶ月で60pが最大の目標とか、ホント悲しくなってくるんだけど。恥ずかしいんだけど。しかも後半からほぼホラーじゃなくなってんだけど」
「いいのかなぁ?読者さまに頼るみたいなことしてぇ。作者の悪意が見え見えだよぉーっ」
「頼むから怖いだけの作品にしてくれ!普通の怪談小説にしてくれ!」
「今頃気づいたか、そうさ、俺はこの物語を荒らし、作品の崩壊を目論むというのが能力なの悪霊なのだ。」
「くそっ!恐ろしい悪霊だぜ。今まで戦った事のないほどの強さだ。最後どう蹴りをつけるのか分からないぜ。やはり最初からプロットなしで書き始めたのがマズかったか」
「残念だったなぁ八雲怪談シリーズこれで終わりだよぉ~!」
闇の中で、咲く不適な笑い声だけをただ俺は聞いていたのである。
ふざけすぎました。