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第四十二話:アイテムは繰り返し使えます

 古代龍が地へ墜ちる少し前――――


「くそっ! なかなか当たらねえ!」


 『地』のアブストーンが手元からなくなり、リトは焦りを感じていた。

 手持ちのすべて――十個を投擲したうち、命中したのは二個。

 連続で当てなければ地面まで引き寄せられない中、これでは命中率が低すぎる。


「俺も剣での攻撃に切り替えるか…………いやあいつを見る限り、空中での近接攻撃は無効な気がするし……こういうとき必中の遠距離武器が欲しいところだぜ。……ええい、しかたねえ!」


 とりあえずは地面に散らばったアブストーンを回収することに専念する。


「なら数で勝負だ! 命中する確立がニ十パーセントもあれば十分!」


 欲しいドロップアイテムを狙うよりはずっと楽だろう、とリトはポジティブに考える。


「…………しかし散らばりすぎだな。拾うのが結構面倒だ」


 リトが回収作業をしている間もダクドの攻撃は失敗し、体力は減り続けている。


「……くそっ、急がねえとあいつがやばい。こんなに時間って気にしなきゃいけないものとは」


 半分拾い終えたところで、再度投擲へ。

 避けられる確立は高いので、古代龍の真下まで移動する。この位置から投げれば――――


「それ! ……くっ、また避けられたか。でも――」


 カッ、カッ、カラカラカラ……。


 予想通り命中しなくても近くに落ちてくる。これなら回収する時間を大幅に短縮でき、連続で投げ続けることもできるだろう。




 ――ドンッ!


「……はぁはぁ……空中戦は、厄介極まりない……」


 戦闘中のダクドがリトの近くに叩き落とされてきた。息はすでに切れ切れだ。


「おおいいところに。ぼろぼろみたいだし、交代するか。この石をドラゴンに投げるだけなんだけど」

「はぁはぁ……まだまだやれるは愚か者が……」

「とはいえ全然ダメージ与えれてないじゃん。いったんあいつを地上に落とさなきゃダメなんだって」

「ならこの手で叩き落すまで。……アイテムなど我輩のプライドにかけて――使わん!」


 そう言い残して再び空中へ戦いを挑みに行くダクド。


「まったく、ほんと頑固だな。アイテムを使うことにもちょっとは慣れて欲しいぜ」


 やれやれとすこしばかり愚痴るが、このまま体力がじわじわと着実に削られているダクドを放ってはおけない。すぐさま構え、大きく腕をしならせ、投擲を開始する。


 ――ひゅん! カッ……カラカラカラ……。

 ――ひゅん! カッ……カラカラカラ……。

 ――ひゅっ、ガンッ!


「よしっ!」


 古代龍の横っ腹に命中する。硬い鱗に阻まれ直接のダメージはない。ただ、投擲距離は短くなったためか、命中率は上がっているとリトは感じた。


 ――ひゅん! カッ……カラカラカラ……カッ、カラカラ……。


 しかし、四発目は地面に引っ張られる力に乗るように、石をくぐぐように回避される。




 残り一個を当てたところで効果は薄いので再び回収作業へ。

 狙い通り、彼自身の近くに落ちてきたので、手間はそれほどかからない。


「――――ん?」


 最初に回収した石に首をかしげるリト。

 『地』のアブストーンが先ほどより黄色の輝きを増しているように感じられる。


「これはもしかして……アイテムがレベルアップしている……?」


 疑問に思うも、考えている時間など残されていなかった。


 ――ズザザザザー!


 ダクドが古代龍からの攻撃をまともに受け、落とされてくる。受身を取れるほどの体力も残っていないようだった。横向きに倒れたまま立ち上がろうとしない。


「……おい、大丈夫か!?」


 すぐさまダクドに駆け寄るリト。


「…………ぐっ……」


 息はある。しかし、すでに戦闘できる状態ではない。


「……我輩は……まだ負けては……」


 地面に手を着き、立ち上がろうとするダクド。リトはその手を持ち、ごろっと彼を仰向けに寝かせた。


「とりあえず休んどけって。お前はまだ負けていない。当然だろ? 俺らは仲間なんだ。パーティ全員が負けて初めてゲームオーバーなんだよ!」


 リトは拾ったアブストーンをぎゅっと握り締め、古代龍の方に向き直った。

 古代龍はというとなぜか明後日の方を向いている。


「なめやがって――おりゃっ!」


 輝きの増したアブストーンを思いっきり投げつける。


 ――ドゴッ。


 『地』のアブストーンは集中力を切らしていた古代龍の片翼に命中した。


「もう一丁!」


 ――ひゅっ、チッ! カッ、カラカラカラ……。

 しかし、久々のチャンス! と力みすぎた投擲はコントロールを失い、古代龍の前足を掠めた程度だった。これではアイテムの効果は薄い。


(やばっ! このままじゃまた振り出しになるかも……)


 リトは心配して、上空にいる敵を見上げるも、不思議なことに奴は体勢を崩したまま落下し続けてくる。さらに、


「「――ここは任せて(ください)」」


 不安をかき消すように二人の大きな声が空間内に響いた。




 リトが投擲をはずし、散らばったアブストーンをきっちり回収していたシャム。彼女は拾ったそれらを次々と斜め前方――古代龍の真下へ投げ上げる。

 古代龍のいる上空の高さまで投げ上げるパワーはないが――


「『竜巻トルネード』!」


 エレナの魔法により、風がアブストーンを巻き込み、古代龍の元へと運んでいく。


「ぬぅ…………!?」


 バランスを崩した状態の古代龍は回避できずに風に捕らえられ、十個近いアブストーンをすべて食らうことになった。


 ――ずううううううううぅん!


 勢いよく地面に叩きつけられる古代龍。大きな地響きが洞窟全体を震わせる。

 傷ついた足をかばうように横向きに倒れた古代龍は無防備な白色の腹をむき出しにした。


 ――ザッ!

 その瞬間をリトは見逃さない。


「はああああああああああ!」


 一直線に突進し、その壁のように広い腹に剣で渾身の一撃をお見舞いした。


「ガハッ!」


 巨体がゆっくりとのけぞる。




「やったか!? ――いやさすがにボスが一撃で終わるとは思え――」




 嫌な予感というのは当たるものである。

 念のため、もう一撃と一歩踏み出した瞬間、長い鋼鉄の尻尾が地を這うようにリトを襲ったのである。


「やべっ!」


 リトは大きくジャンプしてそれを回避。

 しかし、待ち構えていたかのように、彼の目の前には大きく開かれた古代龍の口があった。


「うわあああああああああああ!」


 ――ゴゥウウオオオ……。

 青白い炎がリトを包み、古代龍の前方へ吹き飛ばし、転げさせまわる。


 ……ぷすぷすと黒煙が上がる中、リトの体はピクリとも動かなくなった。


「リト!」

「リトさん!」


 二人は慌てて彼の元へ走る。




 ――そして彼女たち以外にも駆け寄った者が……






「すまん! 少々やりすぎた!」


 彼らの中で一番取り乱した古代龍が一番乗りでリトの傍へたどり着いたのだった。


早く投稿しようと思うも平日の時間の忙殺のされ方ががが……。

ま、まあ前回の後書きも目標と保険はかけてましたし……。投稿ペースがなかなか早まらないです。

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