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四・明くる日、次なる裁きの者 其之壱

あの戦闘の後、舜兵と月見は何事もなく家に帰り、寝た。


初日に月見が泊まっている父の書斎は大体の本が隠しカメラを仕込んでないか調べられ、異常が無いため安全と言うことになった。


全ての本を調べてはいないので完全に安全なワケではないが。


その翌日、月見は6時頃に起床し、朝食を作り終えてから7時半になっても起きない舜兵を叩き起こし、朝食の後現在に到るわけである。


「で、今日は何の特訓をするの?」


「えぇ、昨日の戦闘を見て思ったけど、あなたに特訓はもう必要ないと思うの。教えてない神道を使えたし。」


というより教えてない神道を使える方が問題がある気がする。


「じゃあどうすんの。」


「あなたを正式な鬼闘士として認定するために、今日は鬼闘幇団の本部に行きます。」


『次のニュースです。昨夜未明、井崎運動公園の運動場で謎の爆発があった模様、警察ではテロ行為の可能性が有るとして調査を進めています。』


付けっぱなしのテレビが昨日の出来事を淡々と語る。


真相を知っている舜兵と月見はなんでもないが、『テロ』の文字は人々を怖がらせるだろう。


「昨日の事だね。」


「そうね。」


二人はせいぜいこのくらいである。だが、戦闘の後始末ぐらいしても良いんじゃないか?


「で、鬼闘幇団ってどこにあるの?」


だが、犯罪者達は一切お構いなしである。


「それは着くまでの秘密、迂闊に喋ると・・・ね。」


「ふ〜ん。」


『・・・』の間には多分『一般の人に怪しまれる』が入るのだろう。


ただでさえ『鬼』なんて単語が入っているのである。一般の人が怪訝けげんな目で見るのは火を見るより明らかだろう。


「じゃ、行きましょ。」


「了解。」


こうして二人は鬼闘幇団本部へと向かうのであった。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜



舜兵の住んでいる井崎市から電車で5分の場所にある泉道市、ちまたの喧噪がやや井崎市より賑やかである。


そこにつがい・・・もとい、舜兵と月見がいた。


二人はスクランブル交差点を渡ろうとしていた。



が、


「おや、いつの間に彼氏なんか作ったのかな?月見さん?」


邪魔が入った。


セリフから察するに、月見の知り合いだろう。


「あら?誰かと思えば神道が一切使えない大吾君じゃない。」


「うるせえ、これが俺のやり方なんだ。」


あって早々口喧嘩とは、相当親しいらしい。


「なぁ、俺の事忘れてない?」


「あ、ごめんね舜クン。こいつは鬼闘士の斗束とづか 大吾だいご、まぁ、典型的な脇役キャラね。」


「何を言う、術が使えなくて武器が得意ってメチャクチャ主人公キャラじゃん。」


「ハッ、ごり押し男が何を言うか。」


「んだとゴラァ。それが2つ上の先輩に言うことか?」


「はいはい、ドゥドゥドゥドゥ。」


「ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ。」


登場早々やりこめられる大吾。ほとんど役に立ちそうにない鼻に掛かった小さなメガネがカタカタ小刻みに揺れ、手は羽織っているクリーム色のトレンチコートを握り締め、グレーの髪は怒髪天を貫く、を見事に再現している。


「で、何で大吾は・・・っていつものことか。」


この大吾、実は平日も大学の講義をほっぽりだして街をブラブラしている常習犯で、今の調子で行けば、確実に留年である。


「いんや、今日は昇格試験のために鬼闘幇団に行くんだわ。」


「奇遇ね。私は舜クンを鬼闘士に認定するために鬼闘幇団に行く途中よ。」


「ふ〜ん、その舜クンってのはこいつね、なかなかいい目してるな。」


「あ、ども。各務舜兵です。」


「なる(なるほど)、んじゃ行こうか、舜兵。」


「は、はい。」


「そんな堅くなるな、タメでいいぞ。」


「んじゃお言葉に甘えて。リョーカイ、大吾。」


「よっしゃ、行こうぜ。」


まぁ、こんな軽薄な同行人が増えたが、問題はないだろう。




だが、問題があるのが3人・・・・いや、月見と舜兵しかいない時から二人をつけている人影がある事である。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜


三分ぐらい歩いただろうか、三人は歩みを止めて目の前の建物を見ていた。


「なぁ、お二人さん、ここ、何?」


「何って鬼闘幇団の本部だぞ(よ)。」


「どーみたってタダの雑居ビルじゃんか。」


確かに、三人の目の前にあるのはオフィスビルでも、一軒家でも、表○道ヒルズでもなく、ただの雑居ビルである。


「アナタどっかのオフィスビルに堂々と『鬼闘幇団』って書いてあると思ったの?」


「いや、それは流石に・・・・」


「ハハッ、見た目雑居ビルだが中身はれっきとしたオフィスみたいなとこだ。」


正直信じ難い。


「さ、行きましょ。入れば分かるわ。」


そう言ってさっさと入ってしまう月見とそれに続く大吾。舜兵は・・・・・・付いて行くしかない。


そこでついて来ていた影は追跡を止めた。そして今通った道をそそくさと帰っていったのであった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜


雑居ビルの内部は確かにオフィス風で、エントランスの受付の上には堂々と『鬼闘幇団』と筆跡鮮やかに書かれていた。


「いらっしゃませ、どのようなご用件で?」


受付の女性が三人に笑顔で質問する。


「私は伏葉月見と言います。この度は新しい鬼闘士の登録に参上しました。」


急に軍隊口調の月見。


「俺は斗束大吾だ。今回昇進試験の為に来た。」


こちらは普段の口調の大吾。


「わかりました。では被紹介者の方と月見さんは地下6階へ、斗束さんは地下8階へどうぞ。」


「ありがとう。」


「リョーカイ。」


それぞれ別のエレベーターに乗る月見と大吾、舜兵は月見に続く。


「それじゃあまた後で、お2人さん。」

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