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弐・説き明かされ始める『鬼闘士』 其之弐

「うん、ここは良いわねぇ〜、人気も無いし、地面は平らで特訓にもってこい!

オマケにちっちゃいけど滝もあるし♪」


火金山山中にいる舜兵と月見は特訓にお誂え向きの場所を見つけて月見はご満悦の様子。


「へぇ〜、ピクニック気分だね、ちょっとした。」


舜兵もまんざらでもないようで。


「さて、特訓場所に着いたことだし、舜クンには私からプレゼントがありまーす!」


「でも何も持って無いじゃん。」

「ふふん、鬼闘士をなめないでよ!


アレ、お願い。」


すると月見の右肩の上にぱっくりと空間に穴があき、中からスルスルと一振りの刀が。


「!・・・何が起こったんだよ、一体・・・」


「これは『鬼の胃袋』って言ってね、鬼闘士は普段刀とかはコレの中に入れてるのよ。

家にトツジョ現れた黒板もこれに入れていたの。」


「コレって・・・見えないけど?」


「鬼の胃袋は不可視で底無し、だから初任務の時に倒した鬼から胃袋を引きずり出すのよ。」


「でも、鬼って死んだら昨日みたいにそのまま消えちゃうんじゃ・・・・・」


舜兵の脳裏によぎるのは昨日の非日常的な出来事。眠りにつくまでどれほど『あれは夢だったんた』と自己暗示したことだろう。


「普通にやったらね、でも胃袋を引きずり出す時は特別な手段を踏むから安心して?」


「じゃあ俺もやるの?」


「ええ、刀なんてぶら下げてたら公僕ケーサツのお世話になっちゃうでしょ?」


「そりゃ・・・そうだね。」


「じゃあハイ、プレゼント。


わざわざお父さんから戴いた業物なんだから、壊さないでよ。」


柄も鍔も鞘も握りも、何もかも真っ黒な刀を月見から受け取る。


月見が手を離すとズシリ、と、金属の重みが伝わってくる。


「鬼斬刀の名工、19代目 那須秋水なすのしゅうすい随一の名刀、龍之鱗たつのうろこ、下手な扱いをしたらバチが当たるわよ?」


龍之鱗、刀身を見なくても名刀のオーラとでも言うのだろうか、威圧感に近い感じのモノが噴き出している。


よもや切れ味ならば表の歴史に『鬼斬り包丁』として名を残す名刀・正宗より良いかもしれない。


なぜならこれは正真正銘の『鬼斬り包丁』なのである。


「さ、抜いて抜いて。」


「う、うん。」


舜兵が握りに手をかけ、抜こうとする。

するとなんの不可抗力も無く、刀身はスルスルと鞘走る。

そこから現れたのは銀色に僅かに青色を加えたような色をした刀身であった。


「綺麗・・・」


思わず声を上げたのは月見の方だった。


「うん・・・」


不意に舜兵も同意する。

まるで人を魅了する宝石のような輝きを太陽光の反射でおこす刀に二人はしばし時がたつのを忘れていた。


「はっ!・・・いけないいけない、さ、舜クン、特訓するよ!」

しばらくたってから我に返った月見が舜兵を促す。

その声で舜兵も我に返った。


「え!あ、うん、で何するの?」


「まずは刀が振れるようにならなきゃね、と言うわけでまずは刀を振るお勉強〜。」







〜〜〜〜〜〜〜〜〜







「ふーん、なかなかやるね。」


「はぁ・・・はぁ・・はぁ・はぁ・・・・・・


いきなり刀持たされて『木を一撃で斬れ』なんて、はぁ・・・・はぁ、ムチャクチャだろ〜。」

肩で息をしながら捻り出すように声を上げる舜兵。


相当スゴイ特訓をさせられたようだ。


たがそれにも関わらず、刀は刃こぼれは一切ない。


「鬼の生命力はゴキブリの100倍位だと言っても過言ではないわ。ただ刀が振れるだけじゃアナタ、命落とすわよ?」


「!!な、そんな強い奴なの?鬼って。」


「鬼闘士としての基礎をキチンと積めば大したこと無いわ、でも、生半可な実力で立ち向かえば80パーセントは命を落とすの。


昨日の奴は例外みたいなもの、あれはまだそんなに力を持ってなかったから。


あと、昨日の奴に勝てた理由はもう一つ。

アナタには才能があるわ。それもとびきりの才能が・・・ね。


多分今日明日ぐらいで木を一撃で倒す事ぐらい出来るようになるはずよ。」


舜兵は『信じられない』とでも言いたそうな顔をしている。

「ま、できようができまいが今日の夜はアナタの初任務、実際に鬼と戦闘してもらうわ。


それが一番手っ取り早い特訓だもの。」


月見の口からは現在の舜兵にとって死刑宣告に等しい言葉が出されたのであった。


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