表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/15

弐・説き明かさ始めるれる『鬼闘士』 其之壱

「舜兵よ!起きろ!朝だ!」


《騒がしいけど、殴られるよりはマシか。》


不思議なことに今までの16年間 (物心ついたときから)の朝の恒例行事が今朝は無い。


寝ぼけた状態でまた強制的に眠りに落とされるよりはるかに清々しく、気持ちの良い朝である。多分土曜日なのも原因だ。


「お〜い舜兵!飯が冷めるぞ!」


「は〜い。」


ひどく幸せである。我が家と馬鹿オヤジに平穏がやって来た、と言うところだろう。


何故か鼻歌が自然と出てくる土曜日の朝であった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜





《あぁ、昨日のあれ夢じゃ無かったんだ。》


「おせぇぞ舜兵!」


「おはよ、舜クン。」


できれば二番目のカギカッコが無くなって欲しい。鼻歌が消え失せた。



その朝食はいたって普通で、事情を知らない人が見たら『シングルファーザーと息子と娘』と思うだろう。


だがその『息子と娘』がイレギュラーな存在である『鬼闘士』に変わりはない。


「そうだ、舜兵、月見クン、俺は今日から出張があって三日間家を空けるぞ。」


「へいへい。で、何しに行くの?出張に。」


「あぁ、俺の授業の仕方が教育委員会の目に止まってな、『新しい教育のカタチ』って論文を書くためにカンヅメする事になったんだ。

大学のお偉いさんと一緒にな。」


「へぇ〜、凄いですね!」


感心するように頭を上下させる月見。クン付けは気にならないらしい。


「どーせ『超・放任主義!』とか言うんでしょ?

容赦なく放任するからね、父さんが担任だった子は皆一端のサバイバーって感じがするもん。」


息子は徹底的に否定的である。


相当教え子達は荒波に揉まれたのだろう。


「何を言う・・ってもう時間じゃねぇか、じゃ、舜兵、月見クン、青春したまえ青少年。」


《訳がわかんねぇ。》


謎の言葉を残してあっという間に消えた則行。速い、速すぎる。


《あの俊足、もしかして・・・》


「月見?」


「ヒャッ!・・・な、何?」


急に顔をのぞき込まれて驚く月見。則行の俊足に何か含むところが有るような顔をしている。


「どした?いきなり考え込んで。」


「ううん、なんでも無い。それより舜クン、朝ご飯食べ終わってちょっと休憩したらやるよ、特訓。」


「分かってるよ、わざわざ月見が来たのもその為だしね。」


もう慣れたのか、呼び捨てを躊躇ちゅうちょしない各務。


「それじゃご馳走様、ちょっと特訓の準備があるからお皿の片づけしてくれる?」


「了解。」


了解の言葉を聞くとさっと階段を駆け上がる月見、何だか少し楽しそうであった。




〜〜〜〜〜〜


「それじゃ特訓を始めるよ、いい?」


「あの、何で家に黒板があるの?ってか特訓ってこれ?」


舜兵の部屋に突如として現れた黒板、多分月見が持ってきたんだろうが、今朝まで無かった代物である。


「そのことも後で話すわ、まずは鬼闘士についてのお勉強。」


「ホントに後で話す?」


「もちろん、・・・じゃ、始めるわよ。」


かくして伏葉月見の鬼闘士講座は幕を開けた。


「『鬼闘士』って言うのは鬼を昇華、成仏させる事を生業なりわいとする人のこと。表向きの歴史では陰陽師なんかが一番近いわね。


聞いた話だと平安時代ぐらいには陰陽寮おんみょうりょう陰陽博士おんみょうはかせ達がうらないで出したわざわいの根源のありかに直接おもむいて、その禍を絶つ者として活躍していたらしいわ。」


陰陽寮というのは内裏だいりの中にある部署のようなもので、平安時代あたりではこよみ卜筮ぼくぜい、宮中行事の日取りの決定などを一任していた。


そこに勤めている陰陽師の教官のような人のことを『陰陽博士』と言う。


「鬼闘士は鬼との戦闘において、武器と術を使用するわ。武器は大概が刀で、術は昨日の『神道しんどう』の事。


神道は五つの属性があるの、それぞれ木・火・土・風・水の五つよ。」


「ねぇ、月見。」


「何?」


「それってよく言う木火土金水もっかどごんすいって奴じゃないの?」


「それは『五行思想』って奴、神道ではごんは土の中に含まれていて、かわりに『風』が入ってるの。」


「ふーん」


「それじゃ続けるわ。


五つの属性にはそれぞれ60個の術があって、最大300個の術を操る事が可能なの。


でもって、壱番が一番威力が低くて、数が増えるごとに威力が高まるの。全部の属性は六拾番ろくじゅうばんが最大威力。ココまで来ると並みの鬼闘士じゃ力を暴走させかねないから滅多に見れないけど。


あ、そうそう、属性の事を『印』って言ってね、昨日の火印かいんは『火属性』って事。


あと、属性によって大きな特徴があるの。モチロン火印・・・火属性のことね、それは火を扱う術って事だけど威力重視で昇華させることを目的とするときなんかに利用する事が多いわ。」


「じゃあさ、他の属性・・・印だっけ、それにもそれぞれ特徴があるの?」


「ええ、木印もくいんは木の根っこや葉っぱを使う術の事だけど、印の中でユウイツ治癒能力を持っているの。その代わり殺傷能力は低いけどね。他には毒を食らわせたり・・なんて事も出来るわ。


土印どいんは岩や土、鉱物なんかを利用する術、鬼ももちろん攻撃してくるから当然防御も必要よね?土印はその防御能力に優れた術が多いの。攻撃もそれなりにできるし、バランスが良いから使いやすいわ。


次に風印ふういん、風印は意外や意外、重力なんかも操る事が可能なの、だから鬼の動きを止めて滅多打ち・・・なんかも出来るわ、他には上級の風印になると真空状態を作り出して攻撃したり防御したりなんかも出来るんですって、私も実物は見た事無いけどね♪あ、後風印は雷も利用できるのよ。


最後は水印すいいんよ、水や氷、みぞれあられ、とにかく水に関連する物を利用して攻撃するの。


昨日の『火印の五、火牢』、覚えてる?」


「う、うん」


「あれは鬼を封じ込めて行動を制限させるものなんだけど、水印はそれに秀でているの。」


「へぇえ〜。」


聞いていたのか聞いていないのか良く分からない返事をする各務、かなり暇っぽい。


「それじゃ、これから場所を変えて本格的に特訓を開始するわよ。


近くに裏山みたいなとこがあればいいんだけど・・・」


「あぁ、なら火金山かきんざんがいいや、近いしあんまし人も来ないし。」


「じゃ、そこで決定、さ、行きましょ♪」


「りょーかい。」









長い説明は人を退屈にさせる、しかし、聞いとくべきことは聞いとくもんだ。


命拾いするかもしれないからな。

えーと、今回の陰陽寮とかの説明はうろ覚えです(マテ


間違ってたらご一報ください。


あ、あと、『壱・運命の転機』はプロローグのようなもんだと思ってください。

前書きの文もめんどくさいんで(オイ止めました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ