第一章 出会い~蒼白の炎~
初めまして、拙い文章ですが読んでいただけて幸いです。
ストーリーは何年も考えてどう形にしようかと考え
小説にしました。アドバイスなどあったらよろしくお願いします。
「さぁて!授業終わった!修行だ!」
それぞれ帰り支度を始めている教室内で桜井壬斗は
いつもどおり叫んだ。
「壬斗!それ恥ずかしいから辞めてっていつも言ってるでしょ?!」
声を荒らげて注意したのは幼馴染の如月椎菜だ。
「なんだよ椎菜!開放感に浸って何が悪い?」
壬斗は純粋に質問を投げかける。
そんな彼に答えたのは親友である大王司鎧
「まあ、悪くは無いけどよ、取り敢えず椎菜の言うことは聞いとけ!」
「それはそうだな、逆らうとどーなることやら」
壬斗はいきなり思い出したかのように言う
「そうだ!学園の近くに空洞を見つけたんだ!一緒に修行しようぜ?」
しかし反応は鈍い。
「あたしはパス、家事の手伝いがあるし……。」
「俺も無理だな、お前の修行に付き合う前に自分の家で修行だしな」
椎菜はともかく鎧に至ってはこの聖アトリビュート学園を創設し
学園が存在する属性都市を作り上げた大王司グループの社長の孫だ。
当然、学業や武道で毎日忙しいらしい。実際彼の家系には世界中に7人しか存在しない
リビューター(属性師)が何人かいるほどだ。
「まあ俺1人でいくよ……」
壬斗は寂しく呟いた。
「無茶しちゃダメよ!いつもどこか怪我するんだからね」
壬斗は椎菜の言葉に手をふり教室を出た。
その修行場は入口を見つけるのは困難だが学園から数分の場所に存在していた。
薄暗い空洞には何か導かれるものを壬斗は感じていた。
「本格的だな、魔物か巨大生物は居てもおかしくないぞ」
属性学園の外側には属性のエネルギーによって肥大化した
生物が闊歩している。
しかし都市内では警備システムが作動されており、まず遭遇することすらない。
学園の生徒には教科書でしか見ない存在だ。
そんな未知の体験があると信じ空洞へと足を踏み入れた。
薄暗い空洞を進むと少し広めの場所に出た。
視界はあまりよくないが鉱石のおかげか存在を確認できる程の明度はあった。
そしてその視線上で蠢く影が一つ……。
「こいつは当たりだな」
それは体長50Cm程度のバッタのような生き物だ。
この空洞に流れるエネルギーによって肥大化したものだろう。
軽視できないが壬斗は落ち着いていた。
「このために修行してきたんだ、なんてことはない!」
言い聞かせるように壬斗は用意していた訓練用の長剣を抜く。
その刹那、魔物とも呼べる生物の脚部に力が入るのがわかった。
壬斗も直ぐ様構える。
直後魔物は飛びかかる、予想を上回る速さで
「早っ……!!」
壬斗はすんででかわすが、あまりの速さに反応が遅れ左腕を擦る。
「成程、実戦こえーな」
その左腕からは軽傷だが血が滲む。
痛みを余所に魔物の位置を再び捕捉し直す。
振り返ると魔物は狙いを定め、脚部に力が入る瞬間だった。
「この瞬間なら!!」
タイミングを見計らい壬斗は長剣の刃を真っ直ぐに突きつける。
その魔物は同じ勢いで正面に突っ込んでくる。
結果、突き出した刃に頭からそのまま突き刺さる。
さながら、串に刺さったイワナ状態である。
無論、魔物の息はない。
「うげぇ、これが初勝利かよ」
そんなことを呟きながら魔物を抜き、放り投げた。
実戦の恐怖と新鮮さを味わっていた自分がいた。
軽い興奮状態だ。
初勝利の余韻に浸っている彼にはその存在に気づけない
その『強大な存在』に。
瞬間、壬斗の体が轟音の後に宙に浮き壁に弾き飛ばされる。
「うあっ……?」
思考が追いつかない、背中に激痛が走り状況が整理できない。
その方向を目で追ってみる。
それはいた、先程の魔物とは格が違う。
体長5mはある大物、見た目から察するに恐らく親だろうか?
『強大な存在』はジリジリと近づいてくる、それは自身の死へのカウントダウンと同意義だ。
今まで感じたことのない恐怖を感じる。
「嘘だろ、死ぬのか?!リビューターにもなれないまま!」
無常にもカウントダウンは止まらない。
死が目前に迫り、巨体の豪腕が勢い良く降りかかる。
「くそぉぉぉぉぉ!」
死を覚悟した瞬間、微かだが焦げたような臭いを感じた。
その臭いは段々と強くなる。
そして潰され死んでいたはずの壬斗は『生きている』
激痛が走る体を押して状況を確認した。
『強大な存在』は青い炎に全身を焼かれ朽ち果てる寸前だ。
状況の変化の速さについていけない壬斗はある人影に気づいた。
黒い長髪、全身黒ずくめの美青年だ。
そして呟く
「貴様がリビューターに?冗談でも笑えんな」
そこで俺の意識は薄れていく――――