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  作者: 琥珀
1/2

1告白

今日は重要な日だ。絶対に失敗できない。

毛づくろいはいつもの2倍、いや、5倍はした。体の隅々まで、ルーが好きな草のにおいをつけるために、午前中ずっと公園で体をよじらせた。

「よし、いける」

くすんだ窓ガラスに映る、透き通ったコバルトブルーの目が、キラッと輝いた。


ここ、家々たちの影、リンセン通りの路地裏。

黒猫タナーは、想いを寄せていた猫、ルーに告白する為に深呼吸していた。


1時56分、待ち合わせの時間は2時だ。

昔から色恋沙汰には疎い方だったが、告白ごときで気が付いたら1時間も予行練習し続けていたとは、我ながら驚きだ。強がってはいるものの、実際は自ら恋心を打ち明けたことなんて、今まで一度もなかった。

あとは少しの勇気を振り絞るだけ…


覚悟を決めて顔をあげると、そこにはルーがいた。

一瞬で心臓を掴まれ、毛並みが逆立つ。

音もなく現れた彼女は、満月のせいかいつにも増して凛として見える。

アンバー色の瞳がタナーの目に映る。

「あ、ルー」

思わず声が漏れた。


「こんばんは。えっと、重要な話って何?」

柔らかい声で、ゆっくりとルーは答えた。

伏せたルーの目線がゆっくりと上がり、黒い猫の姿をとらえた。


頭が真っ白とはまさにこの状態を指すのだろう。

1時間、無我夢中で練習した成果は、ルーを見た途端どこかへ吹き飛びそうになった。

タナーは、もう一度呼吸を整えた。


「僕、ルーのことが……」



続きます。

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