第9話「二つの姿で鍛錬の日々」
「よし、隼人! 今日は人間の姿とドラゴンの姿を交互に切り替えて、スキルを最大限に活かす方法を探るよ!」
朝一番、子供たちは元気いっぱいにそう言ってきた。俺はまだ昨日の鍛錬の疲れが残る体を起こしながら、うんざりと返事をした。
「お前ら、毎日毎日よく飽きないよな……俺、そろそろ体が悲鳴を上げそうなんだが。」
「大丈夫だよ、隼人! だってあんたドラゴンだし、体力無限でしょ?」
「無限なわけあるか! 人間の姿の時は普通にヘトヘトだよ!」
そう文句を言いながらも、俺は立ち上がり、準備を始める。子供たちは笑顔で周りを飛び回りながら、それぞれ訓練のメニューを話し合っていた。
「今日はまず人間の姿で反応速度を鍛えよう! 次はドラゴンの姿でブレスを強化して、空中戦も試してみる!」
「……お前ら、本当に楽しそうだな。」
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まずは人間の姿での特訓だ。訓練場の中央に立った俺に、子供たちは次々と魔法や武器の攻撃を放ってくる。
「隼人、全部避けてね! あたったら罰ゲームだよ!」
「なんだよその罰ゲームって!? 冗談じゃねえ!」
俺は叫びながらも、身体強化スキルを発動し、飛び交う魔法や矢をひたすらかわしていく。
「こっちこっち! もっと速く動いて!」
「くっ……速すぎるだろ!」
子供たちの攻撃は的確で容赦がなく、俺は汗だくになりながらもなんとか追いつこうと必死だった。
「どうだ、これで避けきれるか!」
一人の子供が巨大な氷の塊を空中に作り出し、それを俺に向かって落とそうとしてきた。
「おい、それはやりすぎだろ!」
俺は咄嗟に空間の裂け目を作り出し、その氷を別の場所に飛ばした。
「おおっ、すごいじゃん隼人! 空間の裂け目をちゃんと使えるようになってきたね!」
「はぁ……褒めるならもう少し手加減してくれ……。」
息を切らせながらも、俺は少しだけ成長を感じていた。
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次はドラゴンの姿に戻り、特訓を再開することになった。
「隼人、ドラゴンになったらさっきよりもっと余裕でしょ?」
「いや、ドラゴンだからって万能じゃないんだよ! 人間の時とは動きも違うしな!」
文句を言いながらも、俺はスキルボードで擬人化を解除し、再びドラゴンの姿になる。巨大な体と翼、鋭い爪が戻ってきた瞬間、子供たちはまた楽しそうに笑った。
「じゃあ今度は空中戦! 僕たち全員で隼人を追いかけるから、捕まらないようにね!」
「お前ら全員かよ……それ、どう考えても無理ゲーだろ。」
「大丈夫大丈夫、隼人ならできるよ!」
その言葉を最後に、子供たちは飛空魔法を使って一斉に空中に飛び上がった。俺も翼を広げて彼らを追いかける。
「さあ、来いよ! 全員まとめて相手してやる!」
俺は雷のブレスを放ちながら、飛び回る子供たちを追い詰めようとする。
「やるじゃん隼人! でもこれでどうかな!」
突然、一人の子供が地上に魔法陣を描き始めた。直後、強力な竜巻が俺を中心に巻き起こる。
「くっ……そんなもの、効かないぞ!」
俺は翼を全力で動かし、竜巻の中から脱出すると同時に爪で魔法陣を破壊した。
「おおっ、すごい! けど次はこれだよ!」
別の子供が放った魔法の光弾が空中を飛び交い、俺の動きを封じるように追ってくる。俺は空間の裂け目を利用してそれをかわし、反撃のためにブレスを吐き出した。
「どうだ!」
雷のブレスが放たれた瞬間、子供たちは一斉に笑いながら空中で散開する。
「惜しい! でも、だいぶ動きが良くなってきたね!」
「はぁ……なんでお前らこんなに強いんだよ……!」
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訓練が終わった頃、俺は地面に倒れ込んで大きく息を吐いた。
「もう無理だ……体が持たねぇよ。」
子供の一人が笑いながら隣に座り込む。
「でもさ、隼人。今までよりずっと成長してるよ! 人間の姿でもドラゴンの姿でも、スキルを活かせるようになってきてる。」
「……まあ、そうだな。確かに最初よりはマシになったかも。」
俺は空を見上げながら呟いた。
「それにしても、お前らといると、本当に自分が鍛えられてるって実感するよ。」
「ふふっ、私たちも楽しいよ。隼人が頑張ってるのを見るのはね!」
子供たちは笑顔で俺を励ましながら、次の訓練について話し合い始める。
「さあ、次はもっと難しいことに挑戦しようか!」
「ちょっと待て! せめて明日にしてくれ……!」
俺の叫び声が響く中、子供たちの笑い声が訓練場に広がっていった。