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第4話「スキルボードと次元超え」

俺の新しい生活は、6人の英雄――いや、6人の「元・英雄」たちとの奇妙な日々から始まった。鬼ごっこで鍛えられると言われたが、それだけではなかった。


ある日、子供の姿のままの一人が俺に話しかけてきた。


「ねぇ、隼人。そろそろ本気で鍛える時間だよ」


「……本気って、今まで散々お前らに振り回されてるんだが?」


「違う違う! 今日は遊びじゃなくてちゃんと鍛えるから!」


子供――いや英雄の一人がそう言うと、どこからともなく奇妙な光を放つ板のようなものを取り出した。


「これ、見たことないでしょ? スキルボードっていうんだよ!」


「スキルボード?」


俺が首をかしげると、別の英雄が嬉しそうに説明してきた。


「これはね、自分の能力を視覚化して管理できる便利な道具なの! 戦闘能力も技も全部ここに表示されるんだよ!」


「ほぉ……それ、俺にも使えるのか?」


「もちろん! あんたの力もこれで引き出せるかもしれないし、次元を超える力を鍛える手がかりになるかもね!」


「次元を超える力……?」


俺が呟くと、6人が一斉に頷いた。


「そうだよ。あんた、ここに来られた時点で普通のドラゴンじゃないんだからね」


「確かに……俺、何でここにいるんだろうな」


「その謎を解くためにも、まずはこのスキルボードであんたの能力を確認しよう!」


そう言われて、俺は半信半疑でそのスキルボードに触れてみた。



---


触れた瞬間、スキルボードが光り輝き、俺の目の前に無数の文字や数字が浮かび上がった。


「……これが俺の能力?」


そこには、俺のドラゴンとしての体力や攻撃力、さらには覚醒していないスキルの一覧が表示されていた。そして、一番目を引いたのは「特殊スキル:次元超え」と書かれた文字だった。


「次元超え……?」


俺が口にすると、6人が食い入るようにスキルボードを覗き込んだ。


「やっぱりね! あんたにはこの次元を超える力があるんだ!」


「これがあれば、この異空間から外に出られるかもしれない!」


「ちょっと待て、俺にはそんな力使った覚えはないぞ?」


「それはまだあんたが覚醒してないからさ。これから鍛えて、その力を完全に引き出すんだよ!」


「また鍛えるって、どんなことやるつもりだよ……」


俺がうんざりしたように言うと、英雄たちはニヤリと笑った。


「まずは、このスキルボードを使って、次元超えのスキルを強化する方法を探るよ」


「具体的には?」


「鬼ごっこ!」


「……またかよ!」


俺が思わず突っ込むと、彼らは一斉に笑い出した。


「まぁまぁ、今回はただ走るんじゃなくて、スキルを実際に使う訓練をするから!」


「どういうことだよ……?」


「例えば、このスキル『空間の裂け目』ってやつ。これ、あんたの次元超えの基礎スキルみたいだから、これを実践で使ってみようよ!」


俺はスキルボードを見つめ、そこに表示されている「空間の裂け目」というスキルに触れてみた。すると、手の先に小さな亀裂のようなものが現れた。


「おお……これが空間の裂け目か?」


「そうそう! それをもっと大きくして、うまく使えるようにするんだよ!」


「いや、そんな簡単に言うなよ!」


「大丈夫だって! じゃあ、今から私たちを追いかけながらこのスキルを試してみて!」


俺が反論する暇もなく、彼らはまた飛空魔法を使い、一斉に逃げ出した。



---


仕方なく俺は「空間の裂け目」を使いながら、彼らを追いかけることになった。


「くそっ……こうか?」


裂け目を作り出してみたものの、うまく使えない。


「遅い遅い! そんなじゃ全然追いつけないよー!」


「うるさい! 初めて使うんだから仕方ないだろ!」


俺が叫ぶと、一人の英雄が遠くから指示を飛ばしてきた。


「裂け目を通って移動するイメージだよ! もっと集中して!」


「裂け目を通る……?」


言われた通り試してみると、小さな裂け目が俺の体を飲み込み、別の場所に出た。


「おっ……今のは成功か?」


「惜しいけど、まだ遅いね!」


「ムカつくな、お前ら!」


俺は全力で彼らを追いかけたが、やはり捕まえることはできなかった。



---


訓練が終わり、ぐったりと地面に横たわる俺に、英雄の一人が近づいてきた。


「でもさ、隼人、結構筋がいいよ」


「そうか? 全然捕まえられなかったけどな……」


「それは私たちが本気出してるからだよ!」


「お前ら、本当に子供じゃないんだな……」


俺が呆れたように言うと、彼らはまた笑い出した。


「でもね、この訓練を続ければきっとあんたの力は覚醒するよ。そして、私たちをこの異空間から救い出してくれるかもね!」


「……本当に俺にできるのか?」


「もちろんさ。だって、あんたはこの世界で唯一『次元超え』のスキルを持ってるんだから!」


俺はスキルボードを見つめながら、彼らの期待の目を感じた。


「仕方ねぇな……やるだけやってみるか」


そう呟いた俺の新たな鍛錬の日々が始まった――。

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