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転生したらドラゴンでした。毎日冒険者が戦いを挑んできて逃げてたら英雄に鍛えられました  作者: のほほん


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第36話 「終わらない戦い」

「まだ悩んでるのか?」

隼人が近づいてきて、ベッドに腰を下ろす。


「隼人、お前ならこの世界をゲームとしてクリアするにはどうすればいいと思う?」


問いかけに、隼人はしばらく腕を組んで考え込んだ。

「うーん……たいがいは、ラスボスを倒すのが王道だよな」


「押し寄せる敵だけを倒しても意味は無いと思う」


「ただ押し寄せる敵をほっとくと村は壊滅して住人は死ぬよな」

彰人は、火を見つめながら口を閉じ、思考を深めた。


(俺たちは目の前の敵ばかり倒してる……だが、終わりが見えない)


翌朝、村の中央広場に集まった仲間たちの前で、彰人は立ち上がった。

「みんな、聞いてくれ。今から作戦を変更する」


その言葉に皆が顔を上げた。

「隼人、クロード、ミケは、敵の指揮官の討伐に向かってくれ」


「えっ、私が?」ミケが少し驚いた声を上げる。


「うん。君たちが一番機動力と戦闘力のバランスがいい」


「じゃあ俺たちは?」ハッサンが問いかける。


「俺、ハッサン、マーリン、セフィーナは村の防衛を担当する。ここを落とされないように」


「なるほど……分断作戦か」マーリンが顎に手を当てた。


彰人は懐から小さなブローチのようなものを取り出し、クロードに手渡した。

「これを持って行ってくれ」


「なんだこれは?」クロードが眉をひそめた。


「追跡装置だ。敵の指揮官にそれを付けて、あえて逃がしてくれ」


「おいおい、そんな余裕あるか?」隼人が眉をひそめる。


「ダメだったらまたやればいい」


「追跡できれば、奴らの本拠地が分かるかもしれない」


「本拠地を叩かない限り、永遠に戦いが続くだけだ」


彰人の声には確信があった。


「このまま防衛戦ばかり繰り返しても、結末なんて来ない。永遠のループだよ」


「ループ……?」ミケが呟いた。


「もしかして、俺たちは“決断”を迫られてるんじゃないかと思う」


誰もが静かに頷いた。


「分かった。指揮官を見つけて、追跡装置を付けて、逃がす。やってみよう」クロードが剣の柄を握る。


「よし、じゃあ出発の準備を」


その夜、村には緊張感が走っていた。敵の襲撃が始まるのは時間の問題だった。


ミケは弓を背に背負いながら隼人と目を合わせる。


「……絶対に帰ってこようね」


「ああ、だが無茶するな」


 そして、戦いの夜が明けた。


クロードたちの突撃部隊は森を越え、敵の拠点へと潜入。


その間、彰人たちは村の防衛に徹した。波のように押し寄せる魔物たちを迎え撃ち、魔法と罠で防衛線を死守していた。


「こっちは持ちこたえてる!そっちはどうだ!?」

彰人の叫びが戦場に響く。


「敵、まだまだ湧いてくるよっ!」

村の防衛線はぎりぎりで保たれていた。


一方、森の奥――。


「……いたぞ。あれが指揮官だ」


クロードが声を潜めて呟いた。


「なんか、禍々しいオーラ……」


ミケが耳を伏せながら警戒する。


「近づけば近づくほど、こっちの魔力が乱される感じがするな。油断するなよ」


隼人は手にした剣をゆっくり抜いた。


立ちはだかる指揮官は、人型ながら目は赤く爛れ、漆黒の鎧を纏っていた。その背後には魔族らしき部下が数体控えている。


「……誰だ。ここまで辿り着いたのは」


「お前に用がある。ただし、話し合うつもりはない」


クロードが真っ直ぐ剣を向けた。


「ふん……そうか。ならば見せてみろ、この“世界”の意志とやらを!」


「いくぞっ!」


隼人が駆け出し、続けてクロードとミケも一気に距離を詰める。


「炎牙・裂断!」


隼人の剣が火の刃を纏って横薙ぎに放たれる。


「無駄だ!」


指揮官はそれを手にした黒槍で受け止め、逆に衝撃波を放つ。


「ぐっ……!」


衝撃で吹き飛ばされそうになる隼人を、ミケが飛び込んでかばった。


「隼人、しっかり!」


「サンキュ、ミケ……でも、こっからだ!」


今度はクロードが真っ正面から突撃する。


「光斬・白閃!」


まばゆい斬撃が指揮官の鎧をかすめ、血が滲んだ。


「……やるな。だが、こちらも遊びではないぞ」


指揮官の背後の魔族たちが動き出す。


「雑魚は私が引き受ける!」


ミケが一歩前に出て、風刃を連射して魔族を足止めする。


(いける……クロード、今だ!)


彰人から預かった追跡装置――小さなブローチ型のものを手の中に握り込む。


「隙を作る!」


隼人が再び斬り込む。


その一瞬、指揮官が防御に意識を向けた。


「よしっ!」


クロードが飛び込むように接近し、肩口に装置を取り付ける。


「な……貴様、何をした?」


「別に、大したことじゃない。ちょっとした目印をつけただけだ」


「ほう……ならば、この場は退かせてもらおうか」


「なにっ!?」


ミケが叫ぶが、指揮官は闇の魔力を広げ、視界を完全に遮る。


「退却するつもりか……!」


「待て、追うな!」


隼人が制止する。


「追わないのか!?」


「……彰人の作戦通りだ。これで“あいつ”の本拠地が分かる。そっちを潰す方が優先だ」


闇が晴れたとき、指揮官とその配下の姿は消えていた。


ミケが歯を噛みしめながら言う。


「逃がしちゃったけど、これでよかったのよね……?」


「ああ。彰人を信じよう」


クロードが深く頷いた。


――その頃、防衛チーム側。


「敵、ようやく減ってきた……!」

セフィーナが息を切らしながら言う。


「どうやら、指揮官が撤退したようだな」

ハッサンの重々しい声に、彰人は小さく頷いた。


「追跡装置は反応してる。……これで、ようやくこの戦いの“出口”が見えてくる」

マーリンが目を細める。


「世界のシナリオは、一本道じゃない……だが、確かに“道筋”は見え始めた」


「隼人、お前が主人公なら……今度はクリア条件を、ちゃんと見つけてみせるよ」

彰人は空を見上げ、そう呟いた。


やがて、クロードから通信が入る。


『追跡装置の取り付け完了!奴は逃げた!』


「よし……これで、次の手が打てる」


彰人の瞳が鋭く光った。


(俺たちは“敵のシナリオ”を進めてるんじゃない。こっちから攻略してやる)


 終わらない戦いに、初めて“道筋”が見えた瞬間だった。

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