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転生したらドラゴンでした。毎日冒険者が戦いを挑んできて逃げてたら英雄に鍛えられました  作者: のほほん


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第33話 「影を追い求めて」

「あの影は何の目的だったんだろうか」


深い森の中で目撃した異質な黒い影の残像を追いながら、隼人は低い声で呟いた。

それは、ただそこにいるだけの魔物とは明らかに違う何かだった。


「隼人、どうするの?」

隣に立ったミケが、周囲を警戒しながら問いかける。彼女の瞳にも、先ほどの影に対する拭いきれない不安 が宿っている。


「もちろん追うさ」

隼人の断固とした声が、彼の決意を示す。


「あれが敵ならば、ここで見逃すわけにはいかない」

クロードは、剣の柄をさらに強く握りしめた。


「だが、慎重にいこう。ただの魔物ならいいが、何か企んでいるなら厄介だ」

彰人は、操作していたタブレットから顔を上げ、警戒の色を濃くした。


「異世界技術を研究していた村で、未知の存在が現れるのは偶然とは思えないよね」

古木の杖を握りしめたマーリンが、静かに頷いた。


「そうだな。魔法で索敵してみる。もしかしたら、何らかの痕跡が残っているかもしれん」

それぞれの胸に警戒と決意を抱き、隼人たちは黒い影の正体を突き止めるため、さらに森の奥へと足を踏み入れた。


木々の密度が増し、足元には湿った土と落ち葉が重なる。


一行は、周囲の音に注意深く耳を傾けながら、慎重に奥へと進んだ。


そして、開けた場所に出た彼らの目に飛び込んできたのは、古代の雰囲気を漂わせる遺跡だった。


「かなり古い遺跡だな」

風化した石のブロックが積み重なる様子を見上げ、隼人が呟く。


「近くに敵の気配はないわ」

ミケが周囲を警戒しながら答えた。彼女の鋭敏な感覚は、今のところ危険を捉えていないようだ。


遺跡の奥へと続くであろう道 を見つけた隼人は、「どうする?」と皆に問いを投げかけた。


それに応じたのはクロードだ。

「とりあえず進もう。ただし、周りの警戒は怠るな」

ミケとマーリンは、彼の言葉に黙って頷いた。


遺跡の中に入った隼人たちは、崩れかけた壁や苔むした床に古代の古さを感じながら、奥へと歩みを進めた。

「特に敵の気配は感じないわ」と、ミケはもう一度 周囲の状況を報告する。


さらに奥へと進むと、突如地下へと続く階段が現れた。

用心しながら足を踏み入れ、暗い階段を下りた隼人たちが目にしたのは、異様な光景だった。


地下通路の両端には、多数のゴーレムが静止した状態で配置されていたのだ。


「こういう展開って、このゴーレム動くよな」

隼人の落ち着いた呟きが、みんなに悪い予感をもたらす。


その瞬間、ミケが鋭く叫んだ。

「敵の気配が近づいて来るわ!」


通路の奥から、突如黒い影が現れた

それは、先ほど森で見た影と同じものなのか姿形は曖昧だが、確かに何かが近づいてくる。


そして、その影から、低く耳障りな声が響いた。

「——カ……エ……レ……」


「また出たな……!」


「——カエ……レ……。コレイジョウ……サキニ……ススムナ……」


その声には、怒りも憎しみも感じられなかった。ただ淡々と、警告するように。


「……質問してもいいか?」

隼人が一歩前に出て影に問いかける。


「お前は何者だ。なぜ俺たちを止める?」


「——コレイジョウカカワルナ……!」


影の周囲に黒い魔力が渦を巻き、ゴーレムたちが一斉に動き出す。


「来るぞ!」


クロードが前に出て、迫りくるゴーレムの一体を剣で斬り裂いた。


「プログラム、展開!敵の行動パターンを解析する!」


彰人がタブレットを叩き、戦闘支援モードを起動させた。


「ミケ、左側を頼む!」


「任せなさい!」


ミケの素早い攻撃でゴーレムの一体を破壊し、マーリンが広域魔法で複数体をまとめて撃破する。


「影の本体には攻撃が効いてない……あれは本体じゃないか、あるいは幻影?」


隼人が敵の動きを見極めながら叫ぶ。


「魔法陣の中心を壊せば、結界が解けるかもしれない!」


マーリンがそう判断し、詠唱を始める。


「フレア・グランデ!」


巨大な火球が魔法陣を直撃した。しかし、その瞬間黒い影が前に立ちふさがり、直撃を受けて弾き返す。


「くっ、やっぱり影が守ってるのか!」


「だったら、俺が行く!」


隼人が人間の姿からドラゴンの姿へと変身する。


「——ドラゴンモード、起動!」


鋭い爪と翼で突進し、魔法陣に向かって突撃する。


「ハヤト、無茶するな!」


「これが俺の役目だろ!」


隼人の爪が魔法陣の中心を貫いた。


——ギィィィン!


結界が砕けるような音とともに、黒い影が膝をついた。


「……コウカイ……スルコトニナル……」


「お前の本当の目的……なんだったんだ?」


隼人が問いかけると、影はかすかに笑ったように見えた。


「……オクニ……ススメバ……ワカル……」


その言葉を最後に、黒い影は霧のように消えていった。


静寂が訪れる。遺跡の中には風の音だけが響いていた。


「やりきったな……」


クロードが剣を収め、肩を落とす。


「けど、何か引っかかる。あの影……“異世界の研究”の副産物か?」


彰人が考え込みながら呟いた。


「もしかしたら……過去に召喚された誰かだったのかも」


マーリンの言葉に、誰も返すことができなかった。


「……また一歩、真実に近づいたな」


隼人は森の外を見つめながら、静かに言った。

「さぁ、進もう。後悔しないように……誰も、失わないように」

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