第29話「決断と新たな一歩」
泉に映る自分たちの姿を見つめながら、俺たちは静かに言葉を失っていた。その沈黙を破ったのはクロードだった。
「力を捨てるか、呪いを背負い続けるか……か。なんて難しい選択だ。」
彼は剣を握りしめながら、目を閉じた。
「でも、この呪いを解くためにここまで来たんだ。俺は……呪いに向き合う道を選ぶ。」
「向き合うって……クロード、本当にそれでいいの?」
セフィーナが心配そうに問いかける。クロードは力強く頷いた。
「もちろんだ。この呪いを抱えたままじゃ終われない。必ず方法を見つけてみせる。」
「俺も賛成だ。」
ハッサンが拳を叩きつけるように言った。
「力を捨てたら、この先、戦えなくなるかもしれない。それに……俺たちはここまで、呪いと戦ってきたんだ。諦めるのは違う気がする。」
ミケが肩をすくめながら言葉を継ぐ。
「まあ、私はハッサンに賛成かな。力を捨てたら私の技も意味がなくなる。だったら、この呪いを抱えてでも前に進む。」
「俺もその意見に賛成だ。」
彰人が端末を操作しながら言う。
「この呪いって、多分、ただの呪いじゃない。これを解くには、もっと深い仕組みが隠されている気がする。プログラマーとして、その謎を解き明かすのは興味がある。」
彰人の言葉に全員が驚いた顔をする。
「興味って……彰人さん、本気で言ってるの?」
セフィーナが困惑して尋ねると、彰人は笑みを浮かべた。
「もちろん本気だよ。俺は常に挑戦したいタイプだからさ。」
「でも……!」
セフィーナは涙目になりながら声をあげた。
「もし呪いに飲み込まれたら、みんな……どうなるか分からないじゃない! そんなリスクを負う必要なんて……!」
彼女の声に、全員が一瞬、言葉を失う。
「セフィーナ……分かるよ、その気持ち。怖いよな。でも俺たちは、この世界で生きるって決めたんだ。」
俺がそう言うと、セフィーナは目を伏せた。そして小さく頷く。
「分かった……私も覚悟を決める。隼人さんがそう言うなら……きっと、正しい道なんだよね。」
全員が意思を固めたその瞬間、泉が再び輝き始めた。そして、先ほどの声が再び響く。
「全員の決意を確認した。この呪いを抱えながら進む道を選んだ者たちよ、新たなる力を与えよう。」
光が全員を包み込み、それぞれの身体に温かな感覚が広がった。
「これは……!」
クロードの剣が淡く光を放ち、ミケの短剣にも同じ光が宿る。ハッサンの拳、セフィーナの杖、彰人の端末――全員の武器が何かに強化されていくのが分かった。
「すごい……これは新しい力?」
マーリンが驚きの声を上げる。
「だが、この力には代償がある。呪いはさらに深まるだろう。それでも進む覚悟があるなら、その力を使うがいい。」
声が消えると同時に光も収まり、再び静寂が訪れた。
「これで、次の試練に挑めるってわけか。」
俺が呟くと、彰人が端末を操作しながら確認する。
「確かに。今の力……解析してみるけど、これで次元を超える扉を開ける可能性が高くなった。」
「つまり、これが俺たちの希望ってことだな。」
クロードが力強く言った。その言葉に全員が頷く。
塔の出口に向かう途中、セフィーナが俺に近づいてきた。
「隼人さん、本当にこれで良かったのかな……?」
その不安げな声に、俺は笑顔で答える。
「分からない。でも、ここで立ち止まるわけにはいかないだろう? 俺たちが進むべき道を見つけるためには、まず一歩踏み出すしかない。」
セフィーナは少し考えてから、微笑んだ。
「そうだね……隼人さんならきっと大丈夫だよね。」
「任せろ。俺たち全員でこの呪いを解き明かしてみせる。」
そう言って、俺たちは再び歩き始めた。




