第24話「異なる世界の試練」
俺たちは異空間を抜けたものの、解けない呪いとこの世界の謎を抱えたまま進んでいた。前回見つけた村で、老人から「境界の地」の話を聞いた後、次の目的地が現れるのを待ちながら情報を集め続けている。
「ここに来るまでいろんなことがあったけど、今度の試練って何だろうね。」
セフィーナが少し不安そうな表情で呟いた。
「どうせまた厄介な敵が出てくるに決まってるさ。」
クロードが剣を磨きながら答える。その言葉にミケが少し笑って肩をすくめた。
「厄介な敵なんてもう慣れっこよ。でも、どんどん試練が難しくなってきてるのは確かよね。」
「そりゃそうだろ。簡単な試練だったら、こんなに俺たちが苦労するわけがねぇ。」
ハッサンが拳を握りしめて力強く言う。
「でもさ、試練が進むごとに、この世界がただの異空間じゃないって分かってきたよね。」
彰人が端末を操作しながら話を続けた。
「異世界同士が交差する“境界”なんて話、普通の世界じゃありえないだろうし。」
「確かにな。」
俺は周囲を見渡しながら頷いた。この世界に来てから、明らかに普通じゃない現象がいくつも起きている。魔王を倒した世界とは別物だという確信が、俺たち全員に芽生え始めていた。
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そんな時だった。遠くの空に突然、大きな光が現れた。
「また来たな……!」
クロードが剣を握りしめながら立ち上がる。
「きっと次の試練だね。」
セフィーナがその光を指差す。俺たちは顔を見合わせ、すぐにその方向へと足を向けた。
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光の先にたどり着いたのは、巨大な森だった。木々が高くそびえ、薄暗い空間が広がっている。その中心にぽつんと立つ石碑が見えた。
「また石碑か。今回もこれが試練の始まりってわけだな。」
クロードが近づこうとすると、マーリンが杖を振りながら制止した。
「待て。その石碑、ただの装飾じゃないぞ……魔力を感じる。」
「また魔力かよ。ここの仕掛けって、毎回面倒くさいんだよな。」
ハッサンが呆れながら拳を構える。
「でも、仕掛けを解かないと進めないよね。」
セフィーナが静かに呟き、俺たちは慎重に石碑へと近づいた。そして、石碑に刻まれた文字を読み上げる。
『森の守護者を倒し、道を切り開け。力と知恵を示せ』
「森の守護者、ね。」
ミケが小さく鼻を鳴らす。
「守護者が出てくるのは予想通りね。でも、力と知恵を示せってのが引っかかる。」
「つまり、ただ倒せばいいわけじゃないってことか……。」
俺が呟いた瞬間、地面が大きく揺れ始めた。そして、森の奥から巨大な獣のような影が現れた。
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「でかいな……!」
クロードが剣を構え、獣を睨む。
「ただの獣じゃない。全身から魔力が溢れてる!」
マーリンが警告を発し、すぐに呪文を唱え始める。
「どうやらここでも全力を出さなきゃいけないみたいだな!」
ハッサンが笑いながら獣に向かって走り出す。その巨大な拳が獣の体に当たるが――
「硬ぇ……!」
獣の体はまるで岩のように硬く、拳が弾かれる。
「防御力が高すぎる……直接攻撃だけじゃ突破できないぞ!」
彰人が端末を操作しながら叫ぶ。
「じゃあどうすればいい?」
俺が尋ねると、彰人はモニターを見つめたまま答えた。
「この獣、体の中にコアがあるみたい! それを壊せば動きを止められるはず!」
「体の中のコアね……ならどうにかしてそこを狙うしかないな。」
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「任せて!」
ミケが素早い動きで獣の背後に回り込み、短剣で隙間を狙う。だが、獣の防御力はそれを許さない。
「くっ……この硬さ、どうすればいいのよ!」
「セフィーナ、光で防御を下げられるか?」
俺が声をかけると、彼女はすぐに杖を掲げた。
「やってみる! 光よ、守護者の力を削げ――『ルミナスディスペル』!」
セフィーナの光が獣に降り注ぎ、その体を覆う魔力の防御が少しずつ崩れ始める。
「よし、今だ! 全員で攻撃しろ!」
クロードが剣を振り下ろし、俺は空中からブレスを放つ。ハッサンの拳が体を砕き、マーリンの魔法が獣を動けなくする。そして――
「これで終わりだ!」
ミケが短剣を獣の胸部に突き刺し、その内部にあるコアを破壊した。
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獣が崩れ落ち、静寂が訪れる。その瞬間、石碑が再び光を放ち始めた。
「これで試練はクリアか……?」
クロードが呟くと、石碑に文字が浮かび上がった。
『さらなる試練が待つ。進むべき道を見極めよ』
「また試練……終わりが見えないね。」
セフィーナが少しうなだれながら呟いた。その言葉に、俺は力強く言葉を返す。
「でも、一歩ずつ進むしかない。これまで全員でやってきたんだ。次の試練も絶対に越える。」
「隼人さん……。」
彼女が顔を上げ、俺を見つめる。そして、全員が頷き合い、再び次の試練へと進む準備を始めた――。




