第23話「次なる試練の兆し」
異空間を抜けてから数日が経った。俺たちは初めて訪れるこの世界の様子を探りながら、新しい情報を集めるために各地を歩き回っていた。
「結局、この世界が何なのかまだ分からないな。」
クロードが地図を広げながら呟く。彼の言葉には焦りと苛立ちが混ざっていた。
「どこへ行っても、はっきりとした答えが出てこないね……。」
セフィーナも静かに呟く。その表情はどこか沈んでいる。
「まぁまぁ、焦るなって。せっかく自由になったんだから、少しは楽しもうぜ!」
ハッサンが大声で笑いながら拳を振り上げるが、ミケがそれを見て呆れたように言った。
「楽しむって……呪いが解けてないのに、どうやって楽しめって言うのよ。」
「まぁまぁ、そう怒るなよ。俺だって冗談言って元気出してるだけだって。」
ハッサンが肩をすくめると、マーリンが小さく咳払いをして会話に割り込んだ。
「でも、呪いを解く方法がこの世界にあるとすれば、次の試練がヒントになるかもしれない。」
「次の試練って……もう試練は十分だろ。」
俺が少し嫌な顔をすると、彰人が端末を操作しながら口を挟む。
「でも隼人さん、試練が僕たちをここに導いたのは間違いないんだよね。次のステップがあるとしたら、それもまた試練を通じてだと思う。」
「……分かってる。でも、試練って聞くだけで気が重いんだよ。」
俺が頭をかきながら答えると、セフィーナが小さく笑った。
「隼人さんがそう言うの、ちょっと意外かも。これまでだって何度も私たちを引っ張ってくれたのに。」
「引っ張るのと試練を楽しむのは別だろ。」
俺がそう返すと、全員が少しだけ笑い始めた。その瞬間、俺たちの目の前に突如、眩い光が現れた。
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「なんだ!? また扉か!?」
クロードが剣を構えて警戒する。だが、光が収まると、そこには扉ではなく、空中に浮かぶ文字が現れた。
『次の試練へと導く光を追え』
「次の試練……来たか。」
マーリンが静かに杖を握り直す。
「光を追えって書いてあるけど、どの光を指してるの?」
セフィーナが周囲を見回していると、遠くの山の方向に不自然に輝く光が見えた。それは小さく瞬いており、明らかに自然のものではなかった。
「あれか……?」
彰人が端末を操作しながら、光の方向を指差す。
「うん、たぶんあれだと思う。だけど、あの山……見た感じ、結構険しそうだね。」
「険しいって言ったって、行くしかないんだろ?」
ハッサンが大声で笑いながら拳を握る。
「まぁ、確かに。俺たちの選択肢は限られてる。」
俺は大きく息を吐き、全員を見渡した。
「よし、全員であの山を目指すぞ。何が待ち受けているか分からないが、また全員で乗り越えるだけだ。」
「賛成!」
全員が頷き、俺たちは光が輝く山を目指して歩き始めた。
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山道は想像以上に険しかった。岩場を登るたびに足を滑らせそうになり、セフィーナが息を切らしながら呟く。
「はぁ……本当に、ここに答えがあるのかな……。」
「大丈夫か、セフィーナ? 少し休むか?」
俺が振り返ると、彼女は小さく首を振った。
「ううん、平気。みんなも頑張ってるから、私も……。」
「無理するなよ。お前が倒れたら、全員の士気が下がるんだからな。」
「隼人さん、優しいね。」
セフィーナが微笑むと、後ろからミケが冷やかすように声をかけた。
「ほらほら、仲良ししてないで進むわよ!」
「お前な……余計なことを言うな。」
俺が呆れている間に、クロードが前方から声を上げた。
「おい、あの光の近くまで来たぞ!」
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山の頂上付近に到着すると、光の中心には大きな台座があり、その上には古びた本が置かれていた。
「これは……なんだ?」
俺が本を手に取ろうとした瞬間、光が爆発するように広がり、周囲に無数の敵が現れた。
「くそっ、やっぱり罠か!」
「みんな、準備して!」
クロードが剣を抜き、ハッサンが拳を構える。ミケはすぐに周囲の地形を利用して隠れ、敵の背後を狙う準備を始めた。
「隼人さん、ドラゴンになって空から支援を!」
彰人が端末を操作しながら叫ぶ。
「分かった! お前ら、気を付けろ!」
俺はドラゴンの姿に戻り、空中から敵を薙ぎ払うブレスを放った。
「この数は……多いけど、負けるわけにはいかない!」
セフィーナが光の盾を作り出し、仲間たちを守る。
「よし、隙を作るよ!」
マーリンが魔法で敵を一掃する隙に、俺たちは全力で戦い続けた。
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激闘の末、すべての敵を倒すと、再び光が収まり、古びた本が静かに輝き始めた。
「これが……次の試練の鍵なのか?」
俺が本を開くと、そこにはまた新たな謎が記されていた。
『真実を求めよ。答えはすべての試練の先にある』
「真実……か。」
クロードが呟き、全員が顔を見合わせた。
「まだ先があるみたいだね。でも、ここまで来たんだ。必ずたどり着ける。」
セフィーナが力強く言葉を紡ぎ、俺たちは再び次の一歩を踏み出した――。




