第19話「打撃王ハッサンの試練」
「ようやく俺の出番か。長かったぜ!」
最後の挑戦者となったハッサンは、次元の扉の前で腕を大きく回しながら気合を入れていた。その巨大な体と屈強な筋肉は、まるで扉そのものを殴り壊してしまいそうな迫力だ。
「おいおい、ハッサン。本当にその拳だけで乗り越えられるのか?」
クロードが呆れたように聞くと、ハッサンは豪快に笑い飛ばした。
「当たり前だろ! 拳で解決できないことなんて、この世にほとんどないんだよ!」
「いやいや、さすがに試練の相手はそう簡単じゃないって……。」
彰人が苦笑いしながら言うが、ハッサンはまったく意に介さない。
「お前ら、何を心配してんだ? 今まで全員が戻ってきたんだろ? 俺が失敗するわけがねぇ!」
その言葉に、セフィーナが少し心配そうな顔をして口を開いた。
「でも、ハッサンさん……無理はしないでね。私たち、ハッサンさんが無事に戻ってくるのが一番大事だから。」
「おいおい、聖女様に心配されるなんてな。任せておけ、絶対に無事に戻ってくる。」
ハッサンは拳を握りしめ、次元の扉を見据えた。その目は燃えるような闘志に満ちている。
「じゃあ行ってくるぜ! 待ってろよ、俺が全力で突破してみせる!」
そう言い残し、彼は力強い足取りで扉の中へと消えていった――。
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ハッサンが次元の扉をくぐった先は、一面が岩と溶岩に覆われた灼熱の世界だった。空は赤く染まり、地面からは熱風が吹き上がっている。
「おいおい、今度は火の中かよ! なかなかやるじゃねぇか。」
彼は汗を拭きながら周囲を見渡す。そして、目の前に巨大な闘技場のような円形の場所が現れる。
「なるほど……ここが試練の場ってわけか。」
闘技場の中央には巨大な石碑が立っており、その表面にはいつものように古代文字が刻まれている。ハッサンがそれを読み取ると、冷たい声が空間に響き渡った。
『力の試練。己の拳で打ち破り、この場を征服せよ。』
「力の試練か……へへっ、いいじゃねぇか! 拳を試すには最高の舞台だな!」
ハッサンが笑みを浮かべた瞬間、地面が大きく揺れ、闘技場の中央に巨大な石像が現れた。その石像は全身が分厚い岩で覆われ、両腕には棍棒のような武器を持っている。
「こいつが相手か。よし、力比べといこうじゃねぇか!」
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石像はゆっくりと動き出し、ハッサンに向かって棍棒を振り下ろしてきた。その一撃は地面を割るほどの威力で、砂煙が大きく舞い上がる。
「おっと、なかなかのパワーじゃねぇか!」
ハッサンはその攻撃を軽々とかわし、石像の胴体に向かって拳を叩き込む。しかし――
「……硬ぇ!」
拳が直撃したにもかかわらず、石像は微動だにしない。
「これは厄介だな。力押しだけじゃ通用しそうにねぇ。」
彼は一瞬後退し、石像の動きを観察する。その動きは重いが、その分隙も大きい。
「なるほど……パワーで勝負してきやがるタイプか。だったら、その隙を狙ってやる!」
ハッサンは再び石像に接近し、今度は腕や足などの関節部分を狙い始めた。
「どうだ、そこは脆いんじゃねぇか!」
彼の拳が石像の足首に直撃すると、石の表面に亀裂が走る。
「よし、効いてるぞ!」
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石像は怒ったように咆哮を上げ、さらに激しい攻撃を仕掛けてきた。その棍棒が空を裂くたび、ハッサンはギリギリのところでかわし続ける。
「くそっ、やるじゃねぇか……でも、俺の拳が負けるわけねぇだろ!」
彼は石像の動きを完全に見切り、さらに的確に攻撃を加えていく。そして、ついに石像の片腕を破壊することに成功した。
「どうだ! これで少しは動きが鈍くなったか?」
石像はバランスを崩しながらも棍棒を振り回すが、ハッサンは冷静に攻撃を続けた。そして――
「これで終わりだ!」
彼は全力の拳を石像の胸部に叩き込み、その体を粉々に砕いた。
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石像が崩れ去った後、闘技場の中央に新たな扉が現れた。その扉は炎のような光を放ちながら、ハッサンを迎え入れるように開かれる。
「やったぜ……俺の拳が通じたな。」
彼は疲れた体を引きずりながら扉をくぐり、仲間たちの待つ場所へと戻った。
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「ただいま! 見ろよ、俺はちゃんと勝ってきたぜ!」
ハッサンが戻ってくると、子供たちは笑顔で彼を迎えた。
「おかえり、ハッサンさん! 本当にやり遂げたんだね!」
セフィーナが嬉しそうに声をかけると、クロードが呆れたように笑った。
「お前、本当に拳だけで乗り越えたのかよ。」
「当たり前だろ! 俺の拳が試練を壊してやったんだ!」
ハッサンが豪快に笑うと、隼人が深く息を吐きながら呟いた。
「これで全員が扉を通れたな……次は一体何が待っているんだ?」
全員が次の展開に備え、再び緊張感が漂い始めるのだった――。




