第10話「未知のスキルと新たな力」
「隼人、今日はちょっと変わったスキルを試してみようよ!」
朝早くから、子供たちは元気いっぱいに俺を訓練場に呼び出した。もう日課になりつつある鍛錬だが、毎回のように新しい課題を押しつけてくる。
「変わったスキルって……また何をやらせる気だよ?」
俺が半分うんざりしながら尋ねると、一人の男の子がスキルボードを指差しながら言った。
「隼人のスキルボード、まだ全部のスキル試してないでしょ? 今日はそこにある『未知のスキル』を引き出してみようって話だよ!」
「未知のスキル……?」
俺はスキルボードを開き、確認してみる。確かにいくつかのスキルは「ロック中」と表示されていて、まだ使えない状態だ。
「これ、どうやったら使えるようになるんだ?」
「スキルのロック解除には条件があるんだよ! 例えば特定の動作をしたり、特定の状況に陥ったりすると解放されるの。」
「なんだそれ、ゲームみたいだな……。」
俺はスキル一覧を見つめながら、ため息をついた。
---
「じゃあまず、ここにある『空間制御』ってスキル。これが気になるよね!」
子供たちの一人が指差したのは、ロックされたスキルの中でもひときわ目立つ「空間制御」という名前だった。
「空間制御……名前だけじゃ何ができるのか全然わからないな。」
隼人が呟くと、別の子供が解説を始めた。
「多分、空間そのものを操作するスキルだと思う。裂け目を作るだけじゃなくて、空間をねじ曲げたり、閉じ込めたりする力なんじゃないかな。」
「そんな便利なスキルがあるのか……でもロック解除の条件は?」
「それはわからないよ! 試してみるしかない!」
子供たちは一斉に頷き、俺を囲むようにして準備を始める。
「じゃあ、隼人が空間をねじ曲げる感覚をつかめるように、僕たちが攻撃を仕掛けるね!」
「いやいや、結局お前らが俺を痛めつけたいだけじゃないのか?」
隼人が文句を言うも、子供たちは無視して魔法の準備を始めた。
---
訓練が始まると、次々と魔法の矢が俺に向かって飛んでくる。
「くっ、相変わらず容赦ないな!」
俺は身体強化スキルを発動し、人間の姿のままで魔法をかわし続ける。だが、次第に追い詰められ、逃げ場がなくなっていった。
「隼人、そろそろ空間を操作してみてよ!」
「簡単に言うな! どうやってやるんだよ!」
俺が叫ぶと、一人の子供が笑いながらアドバイスを送る。
「空間の裂け目を作る感覚を思い出して! でも、もっと広い範囲を意識してみて!」
「……広い範囲……よし、やってみる!」
俺は集中してスキルボードを操作し、「空間の裂け目」に意識を集中させた。そして、周囲の空間全体を手でつかむようなイメージで力を込める。
「どうだ……!」
すると目の前の空間がわずかに歪み、魔法の矢が奇妙な角度で逸れていった。
「おおっ! 今の見た!? 空間が歪んだよ!」
「すげぇ……でも、これが『空間制御』なのか?」
隼人が呟くと、一人の女の子が真剣な顔で頷いた。
「そうだと思う。でも、もっと大きな空間を動かせるようになったら、これが本当に使いこなせるスキルになるんだよ!」
「もっと大きな空間か……それってどうやって鍛えるんだ?」
「簡単だよ、隼人!」
男の子が笑顔で言い放つ。
「もっともっと攻撃を受けて、実践で慣れるしかない!」
「お前ら本当に俺をいじめるのが好きだよな!」
---
次に試すのはドラゴンの姿での訓練だ。
「ドラゴンになったら、空間制御のスケールも大きくなるかもしれないよ!」
隼人は再び擬人化を解除し、巨大なドラゴンの姿に戻る。そして、子供たちはまたしても一斉に攻撃を仕掛けてきた。
「隼人、もっと大きな空間を動かしてみて!」
「わかったよ……くそっ、やってやる!」
隼人は大きな翼を広げながら、再び空間に意識を集中させた。そして、周囲の風景全体をつかむような感覚で力を込める。
「どうだ……これで!」
空間が大きく歪み、子供たちの攻撃が次々と吸い込まれるように別の方向へ飛んでいった。
「すごいすごい! これが本当の空間制御だよ!」
「だが、まだ完全には使いこなせてない……もっと練習しないとだな。」
隼人は疲れた体を引きずりながらも、新しい力の手応えを感じていた。
---
訓練を終えた隼人は地面に座り込み、大きく息を吐いた。
「……こうしてみると、俺も少しは成長してるのかもな。」
「もちろん! 隼人、今のあんたは僕たちの頼れる仲間だよ!」
「頼れるかどうかはわからないが……お前らの呪いを解くために、もっと強くなるよ。」
隼人は拳を握りしめながら、次の鍛錬に向けて静かに決意を固めていた。




