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Act 12 『姉と弟とその妻と』

あまりにも呆気なく目的を達成することができたことに天魔族の彼女は拍子抜けしていた。


今週の始めに彼女の長年の親友の家に赴いた彼女はそこで、彼女の長年の目的を達成するためにある計画を実行を移すために力を貸してほしいと霊狐族の親友に頼みこんだのであったが、あっさりと断られ逆に馬鹿な真似はするな、諦めなさいと説得されそうになってしまう。


しかし、すでに覚悟を決めていた彼女の意思は固く、彼女は一人でも絶対成功して見せると捨て台詞を残して親友の家を跡にするのだった。


とはいえ、あてにしていた協力者が得られなかったことで全て自分一人で行わなくてはならなくなってしまったため、彼女は自宅に戻らずそのまま計画の下準備を開始する。


下準備は何日もかかり、結局準備が全て整ったのは計画実行の前日の土曜日。


とりあえず予定通りに計画を実行できそうなことを確信した彼女は、日付が変わると同時に計画を実行しようとその日の夜遅くに自宅へもどったわけだが、なんと、自宅の中はもぬけの殻。


いつもだったら必ず誰かいるはずの家の中に誰もいないことに驚いた彼女は、両親に携帯念話をかけてみるが、『この念話ルーン文字は、現在念波の届かないところにあるか、念源が入っていないため・・』というお決まりのメッセージが聞こえるばかり。


他の家族にかけてみても同じような反応しか返ってこない。


いったい何事が起こったのか!?


パニックに陥りそうになった彼女だったが、なんとか冷静さを取り戻し、もう一件心当たりがあるところにかけてみることに。


それは中央庁につとめる彼女の母親の長年の部下で、彼女自身とも面識のある人物で、その人物ならきっと事情を知っているかもしてないと一縷の望みをかけて携帯をかけてみると、念話に出てきたかの人物はあっさりとそれを認めたのだが、念話口では話せないので明日『サードテンプル』にある中央庁に来てくれと言う。


なんだかいろいろと聞きたいことはあったのだが、どうも結構込み入った話であるということを察し、仕方なくそれを了承してその日はそのまま眠りについた。


そして、翌日、中央庁の庁舎が開く九時に着けるように家を出た彼女は、予定通りに中央庁の庁舎の受付が始まる時間ぴったりに到着。


受付で目的の人物に会いたい旨を伝えると、すでにその話が通っていたのか、すぐにそのまま目的の人物がいる部屋まで案内されたわけだが、その部屋の中で待っていたのは、その目的の人物だけではなかった。


なんと、昨日連絡がつかなかった自分の両親も一緒にそこにいたのである。


いったいどういうことなのかと問いかけようとする彼女よりも早く口を開いた両親は、彼女に彼女が実行しようとしている計画をやめるように説得してきた。


なんでそのことを両親が知っているのかわからなかったが、ともかく両親は彼女がどれだけその計画を実行しても目的のものはもう手に入らないのだと言葉を尽くしてくる。


やってみなくてはわからないと反論する彼女であったが、何かしらの根拠があるのか両親は絶対の確信をもって絶対無理と言うのである。


しかも、彼女の目的としている人物は、この『嶺斬泊』にはいない、彼女に見つからない場所に隠したというではないか。


まさかそこまで用意周到に邪魔されるとは思ってなかった彼女は、そのことに絶望し両親の手を振り切って中央庁舎を飛び出して行ってしまう。


完璧と思われた計画は相手側に完全に対策が施されており、最早諦めるしか道はない、彼女はショックから立ち直ることができずに『サードテンプル』の街を彷徨い歩いた。


どれくらいふらふらと歩いていただろうか。


すでに時間は夕方近く、もうどうしようもない、親友の家にでも行こうかと思って駅に向かおうとしたとき、彼女の目に信じられない光景が目に映る。


なんと両親がその身柄を隠したという本人が、キマイラ族と思わしき少年と仲良く歩いているではないか。


いったいどういうことなのか?


あの両親がウソをつくとも思えなかったが、とりあえず絶好のチャンスであるのは間違いなかった。


彼女は後ろから二人の少年を尾けていき、一人になるのをじっと待った。


すると、二人は『サードテンプル中央街』の東側にある大型調味料専門店で別れ、ターゲットの少年は店の中に入っていったのですぐ様あとを追いかけて、一つ呼吸を整えたあと平静を装って少年を呼び掛ける。


当たり前だが、少年が自分に警戒心を抱くわけはない。


きょとんとした顔でしばらく自分の顔を見ていたが、裏口でちょっと話があるからというとなんの疑いもなくついてきた。


物凄い罪悪感に襲われたが、きっと最後にはわかってくれるはずと自分自身を無理矢理納得させて裏口に連れていった彼女は周囲に人がいないことを確認すると、鳩尾に一撃をくらわして少年を昏倒させる。


呆気なく意識を失った少年の顔をしばらくどうしようもない愛おしさと切なさせ見つめていた彼女だったが、いつまでもそこにいるわけにはいかないので、調味料店の裏口に放置してある大きな箱形の台車の中に少年をそっとおろして運びだすと、近くの立体駐車場まで持って行き、そこに隠してしまう。


そして、すぐにレンタカーを借りてきて少年を台車から乗せ直し、城砦都市『嶺斬泊』の『外区』西出入り口に向かってレンタカーを飛ばす。


そこには彼女がこの計画の為に用意しておいた『馬車』がある。


高速道路を使って出せるだけのスピードを出して西出入口までの道を走りぬけ陽が落ちる前にそこに辿り着くことができた彼女は、すぐさままだ意識を取り戻さない少年を車から下ろし、心の中で精一杯謝りながらもその身体をロープでぐるぐる巻きにし、用意しておいたフルフェイスのヘルメットをかぶせてしっかりと固定すると、『馬車』のトレーラーに運び込む。


彼女自身は『馬車』の運転席に乗り込むと、すぐさま牽引させる爆走野牛ブレイジングバッファロー達に命令を発して、『馬車』を出発させる。


流石の両親も計画そのものを頓挫させていると思っていたのか、あっさりと検問を抜けることができ『馬車』は『外区』へと飛び出す。


と、思っていたらどうも間一髪だったようで、後方で止まれという声が聞こえてくる。


しかし、ここまで来て止まるわけないでしょうがと一人呟くと、彼女は全速力で『馬車』を走らせるのだった。


彼女が用意した爆走野牛ブレイジングバッファローは全ての牽引用動物の中で二番目のスピードを誇る動物である。


慌てて追いかけてきてもそう簡単に捕まるわけがなかった。


彼女の考え通り、あっという間に『嶺斬泊』の出口付近で大騒ぎしていた警備員達の姿はサイドミラーから消え失せ、あとは無人の道が前と後ろに広がるのみ。


まさかこんなに巧くことが転がっていくとは思わなかったが、ここまで来たらあとは最終目的地である城砦都市『ゴールデンハーベスト』まで無事辿りつくだけ。


しかし、この交易路は封鎖されている城砦都市『アルカディア』へ続く交易路『ウォーターロード』とは違い、安全なことでは定評のある道。


余程のことがない限り辿りつけないということはあり得なかった。


もうゴールは目前、思えば長い道のりだったような気がする。


何度も何度も自分の中で、少年との関係を普通のどこにでもいる姉弟だ、そういう愛なのだと思いこもうとした。


だけど、気付いてしまった、自分の正直な気持ちに気づいてしまったのだ、自分は少年を弟として愛しているわけではない、一人の男性として愛しているのだと。


それがわかってしまった今、もう後戻りはできなかった。


自分の思いを成就させるために必要なあらゆることをやってきた。


そして、ついにそれが叶おうとしている。


血のつながった姉弟同士でも愛し合うことが許された約束の場所がもうすぐ目の前に迫っているのだ。


これから始まる夢のような幸せな生活を妄想し、思わず目頭が熱くなる彼女であったが、そのときふと何かが自分の視界に入る。


最初は目にたまった嬉し涙のせいかと思ったが、どうも違う、何かサイドミラーに妙なものが映っていると気がついた彼女はサイドミラーを片手で調整して後ろを見てみる。


右側には何も映っていない。


彼女は少し身体をずらして左側のサイドミラーに手を伸ばして後ろを見えるように調整すると、なんと、いつのまに近づいてきていたのか一騎の快速鳥(マッハドードー)がトレーラーに密着するように並走しており、あろうことかトレーラーのサイドハッチから外にでたグレーのコートにフードで顔を隠した人物の手によって、何か荷物のようなものがその快速鳥(マッハドードー)の騎手の後ろに手慣れた様子で乗せられようとしているのが見えた。


「ちょ、ちょっとまてええええええ!!」


その荷物がなんであるのか気がついた彼女は慌てて絶叫するが、その声に気がついた風もなく件の人物達は作業を進めてしまう。


これだけ揺れている中を危なげなくその大きな荷物を鳥の背中に移し終えた人物は、鳥の騎手に親指を立てて見せると、荷物を受け取ったことを確認した快速鳥(マッハドードー)の騎手は片手を胸に当てて敬礼してみせると、トレーラーから離脱して反転し、『嶺斬泊』に向かって逆走していった。


しばし呆然と事の成り行きを眺めているしかなかった彼女だったが、すぐに鬼のような形相になると自分の大切なものを奪っていった強奪者を追いかけるべく『馬車』を反転させようとする。


だが、ハンドルを切ろうとした瞬間、後部トレーラーで大爆発が起こり気がついた時には彼女が乗る運転席ごと、世界がくるくると回っていた。


「きゃあああああああああっ!!」


運転席の中で思う存分シェイクされてしまう彼女であったが、四方から飛び出してきたエアーバッグに身体を包まれて一つも怪我をすることだけはなかった。


やがて、回転しなくなった運転席からもぞもぞと外へと抜けだした彼女の目に、粉々に砕け散ったトレーラーと、そして、いままでそのトレーラーを牽引していた爆走野牛ブレイジングバッファロー達に近づいてなにやらしているグレーのコートの怪しい人物の姿が。


呆気に取られてその様子を見守っていると、その人物は牛たちの手綱を全部切り離してしまい、その後笛のようなものを取り出して甲高い音を響かせて笛を吹く。


すると、野牛達は一匹残らず一斉に『嶺斬泊』に向かって走りだしていってしまった。


強奪者を追いかけるために必要な足がたった今なくなってしまった。


今ここにいるのは自分と、あの謎のグレーのコートの人物だけ。


その事実を受け入れることができず、しばらく呆然としていた彼女・・ミネルヴァであったが、グレーのコートの人物が立ち去ろうとしているのを見てみるみる怒気をあらわにすると、立ち上がり怒声を上げて呼び止める。


「ちょっと待ちなさいよ、これだけのことをしておいてまさか無事帰れるなんて思っているんじゃないでしょうね?」


その言葉に振りかえったグレーのコートの人物は、フードに隠れて見えない表情をこちらに向けて何か考えこんでいたようだが、やがて、自ら闘志を噴き上がらせて腰を落として半身に構え、片手をこちらに向けると、おいでおいでと挑発する。


「なめてるわね・・あんた私のことなめてるわよね・・いいわよ、この『絶対佳人戦女神ひげきゆるさぬにくいやつ』は絶対悲劇で終わらないのよ。私にとってハッピーエンドで終わらせてやるんだから・・そのためにとりあえず、あんたは死ね。」


そう言うと、ミネルヴァは両腕を自分の体に密着させ両拳を口元にもっていくような独特の構えをしてグレーのコートの人物を睨みつけた。


決着の時が来ようとしていた。




Act 12 『姉と弟とその妻と』





左右を森に囲まれた街道のど真ん中、対峙する二つの影のうち、先に動いたのはミネルヴァであった。


凄まじい勢いでグレーのコートの人物との間合いを詰めた彼女は、目にも止まらぬスピードで拳を繰り出し、目の前の人物の胴体に叩きつける。


なんとか片腕で自分の攻撃をブロックして防いで見せる相手であったが、それだけでミネルヴァは相手が武術の心得のない素人であることを見抜いていた。


ブロックしてはいるものの、明らかに自分の攻撃はその人物の腕ごと貫通して相手にダメージを与えていることがわかる。


いつもならここで、楽勝だなと思うミネルヴァであったが、何かおかしいと思い警戒を強める。


フードの中から見える目の光がそこらの武術家などと比べようもないほど強く光っているのを確認したからだ。


この相手は何か隠している。


そう思ったミネルヴァは手を緩めることなく連打を重ねようとする。


しかし、二撃目を食らわせようとした瞬間、相手の手から何かが零れおちた。


なんだろうと、視線をそちらに向けたのが間違いだった。


何かの珠だと確認したときには、その珠は破裂して眩い光を解き放ち、それをまともにみることになったミネルヴァはたまらず目が眩んで態勢を崩す。


相手の攻撃が来ると予測してブロックを固めるが、自分の耳に相手が走り去る足音が聞こえる。


わざと目をつぶって足音に集中し、相手が走り去る方向をしっかりと聞きとると、視力が回復するのを待つ。


そして、視力が回復してきたのを確認、相手が走り去る足音がしたほうに視線を向けてみると、どうやら相手は森の中へ入っていったことがわかる。


確かここには『兵士』クラスの『害獣』が跋扈していたことを思い出したミネルヴァであったが、『兵士』クラスであれば自分の実力でどうとでもなる、それよりもこの怒りをぶつけなくてはどうにもおさまらぬと思い定め、グレーのコートの人物を追いかけることを決意する。


ここが街中であれば自分の額にある天光眼(ヘブンズサイト)で正確な位置を割り出し速効見つけ出すことができるのだが、流石にそんなものを使えば『害獣』を呼び寄せてしまうため、そういうわけにはいかない。


ここは『害獣』ハンターとしての経験を活かして相手を追いかける。


どれだけ痕跡を消そうとしても、森の茂みの中を渡り歩けば『人』が通った形跡が否が応でも残る。


普通ならばそれをゆっくりと調べながら追いかけるのだが・・


ミネルヴァは異界の力を使わなくても一瞬でその形跡を見分ける特技を持っているため、しばらくじっと森の中を見つめてその形跡を追いかけて記憶すると、猛烈な勢いでダッシュし森の中を追跡し始めた。


一度形跡の後を掴んだからにはあとはひたすら追いかけるだけ、ものの三分もかからないうちに、ミネルヴァは相手の背中をその視界の中にとらえていた。


「待てえええええええええええ!!」


凄まじい勢いで自分を追いかけてくるミネルヴァに気づき、グレーのコートの人物もその速度を上げる。


しかし、明らかに身体能力に圧倒的な差があると思われる相手に、今のミネルヴァから逃げ切れるわけはない。


あっという間に追いついた相手に、ミネルヴァは横合いから容赦ない一撃を叩き込む。


相手はそれを察知して再び片腕でブロックするが、さっきの一撃で相手の防御力と耐久性を把握していたミネルヴァはそれを越える威力を持って拳を捩りこむ。


メキメキッという異様な音がして、相手の片腕が折れるのを感じ、相手は横にぶれるように態勢を崩しかけるが、腕が折れるほどの一撃をくらっておきながらも完全には態勢を崩さず、そのまま走り続ける。


「やるじゃん・・でもどこまで耐えられるかしら・・悪いけど、八つ当たりの相手はあんたしかいないから、存分に私の的になってよね。」


と、悪魔のような残虐極まりない笑みを浮かべたミネルヴァは再び速度を上げると、今度は相手が止まらない程度のダメージに調整して次々とその身体に拳を打ちこんでいく。


その箇所は顔面、心臓や肝臓といった致命傷になりかねない箇所ばかりで、ここでダメージを耐えきったとしても後々後遺症が残ることは誰が見ても明らかなえげつない攻撃であった。


しかも、折れやすい肋骨などもわざと狙い、確実に折っていく。


どこまで逃げるのかわからないが、そこに辿りつけるまで耐えきれるのか見てやろうと思ったのだ。


ミネルヴァの執拗な攻撃は続く、しかし、グレーのコートの人物は走るのをやめない。


呆れ果てた根性だなとミネルヴァが思っているとやがて、目の前に木々が開けた場所が見えてきた。


どうやらあそこがゴールであるらしい。


いったいどんな仕掛けがあるのかわからないが、すでに満身創痍のその状態で一発逆転などできるはずもない、ミネルヴァはむしろ、このコートの人物が何がしたいのか見てみたくなって、攻撃をやめてその開けた場所まで行かせてやることにする。


ぼろぼろになった状態でその開けた場所までやってきたその人物は、その場所の中央に立つと性懲りもなく半身に構えてこちらを残った片腕でおいでおいでをして挑発してくる。


馬鹿じゃなかろうかと思ったミネルバであったが、敢えてその挑発に乗ってやることにする。


どうせ落とし穴か何かだろうと思ったミネルヴァは、時計回りに遠回りをしながらその人物に近づくと拳を繰り出す。


上半身に来るだろうと思っていたのか、相手の下半身はガラ空き、ミネルヴァはその太ももに容赦なく拳を打ちこんで叩き折ってやる。


これで走り回って逃げることもできなくなったとほくそ笑むミネルヴァであったが、その瞬間、倒れながらも相手は何かをミネルヴァに投げつけてきた。


圧倒的優位に立っていたため、完全に虚をつかれてしまい、至近距離から投げ付けられて避けることができないミネルヴァは、それをまともに頭からかぶることになった。


なんだか、妙に泥臭い臭いのするそれを慌てて身体から払っていたミネルヴァであったが、強烈な臭い以外では特になにもなく、しばらく待ってみても別に眼をつぶすわけでもなく、何か身体的に異常が出るようなこともなく、地面に倒れこんで自分のほうに表情の見えない顔を向けている人物をきょとんとして見つめ返す。


「なにこれ? あんたさあ、いったい何がしたいわけ? ただの愉快犯? いっとくけど、ただで返すつもりはないから、そのつもりで覚悟を・・」


と、そこまでミネルヴァが言ったとき、足元から地響きのようなものが聞こえてくる。


「え、なにこの音?」


不気味に響きわたるその音は、次第に近づいてきて、その音が近づいてくるにつれて地面が揺れ始めた。


「な、なんなの、なんなの!? なんなのよ、これえっ!?」


きょろきょろと周囲を見渡すミネルヴァだったが、周囲になにも感じられないことを不審に思いつつも、ここにいるのは得策ではないとこの広場から逃げ出そうとする。


しかし、一歩足を踏み出そうとした瞬間、何かがミネルヴァの足に絡みついた。


「ええええええっ!!」


自分の足元を恐る恐るみたミネルヴァの目に、うねうねと蠢く巨大なドス黒い縄のような生物が絡みついているのが見えた。


それはどうみても・・


「み、ミミズ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」


絶叫するミネルヴァの声に反応するように、次々と地中から飛び出してきた巨大ミミズ達がミネルヴァの身体に絡みついていき、最後には顔以外の個所をすっかり絡みつかれてミミズボールのようになってしまって動けなくなってしまった。


そうさっきミネルヴァにかけられた液体はこのミミズを地中から呼び寄せるためのものであった。


腐葉土を主食とするこのミミズ達に絡みつかれても怪我などをすることはないが、物凄い力で絡みつかれているため見動きは一切とれない。


「い、い、いやああああああ、なにこれ、気持ちわるい!!」


完全にミネルヴァが動けなくなったことを確認したグレーのコートの人物は、大きな溜息を吐きだしながらゆっくりと身体を起こすと、片足を引きづりながらミネルヴァのほうに近寄ってくる。


「ちょ、ちょっとあんた、なんなのよ、これ、なんとかしなさいよ!!・・むぐっ!!」


盛大に喚き散らすミネルヴァを、しばらくじっと見つめていたその人物は、ミネルヴァが大きく口を開けた瞬間を狙って何か紙のようなものを口の中に突っ込む。


そして、しばらくそれを突っ込んだあと、ミネルヴァの鼻をつまんで口をあけさせて取り出すと、何やら真剣な様子でそれを見つめていたが、やがてがっくりと肩を落とし、無事な片腕で顔を押させて何か非常に落ち込んでいる様子を見せる。


やがて、その人物はしばらく天を仰いで考えていたが、コートから何かの薬品の入った小瓶を取り出すと、その中身をミネルヴァを覆っているミミズ達にかけた。


すると、ミミズ達はしばらくウネウネとうねっていたが、やがてミネルヴァの身体から離れて地中へと潜っていってしまった。


ミネルヴァはまさか目の前の人物が自分を解放するとは思ってなかったので呆気に取られた表情で見つめていたが、すぐに怒気をあらわす。


「あんた、本当に私のことなめているのね。こんなことくらいで私が許すと思っているの?」


「許さなければどうするの?」


その人物はミネルヴァの言葉に初めて声を発した。


散々走った上にミネルヴァが殴り倒してきたためか、もう声はしわがれてしまい老人のようにすら聞こえる不快感極まりない耳障りな声だった。


ミネルヴァは、もう立っていられなくて座りこんでしまったその相手に近づいて乱暴にそのフードを掴みあげる。


「そもそも、何、このフード? どんな面してるのか、見せてみなさいよ!!」


と、一気にそのフードを後ろにずらし、相手の顔を確認したミネルヴァは完全に固まってしまった。


ついさっきまで噴出させていた怒気と闘志がみるみるしぼみ、むしろ顔は恐怖で真っ青に、そして、真っ白になっていく。


殴られすぎてパンパンに腫れ上がり、口からは盛大に血を垂れ流している状態になった顔をミネルヴァのほうに向けたグレーのコートの人物、宿難(すくな) 連夜(れんや)は、自分をこんな目にあわせた実の姉のほうに静かな視線を向けながらすっかりしわがれてしまった声で呟いた。


「こんな顔だよ、み〜ちゃん。これで満足かい?」


最愛の弟を見るも無惨な姿に変えてしまった自分の所業が信じられず、いやいやと首を横に振るミネルヴァ。


「なんで・・どうして・・れ、連夜は、あのとき確かにあの快速鳥(マッハドードー)に積み込まれていたはずなのに・・」


「ちがうよ、み〜ちゃん。あれは蒼樹。み〜ちゃんがさらってきたのは僕の影武者をしてくれている蒼樹っていう男の子だったのさ。み〜ちゃんが思う存分なぶってくれた相手が本当の僕。」


「そんな・・わ、私そんなつもりじゃ・・」


どうしても現実を受け入れることができずに、首を振り続けるミネルヴァに、連夜はあくまでも静かに言葉を続けていく。


「どうしたの、み〜ちゃん。ちょうどいいんじゃないの? 僕はもう片腕と片足が折れてしまって戦うことはおろか、逃げることもできない、さっきのミミズの策ももう使えないから安心して、目眩ましの珠ももうない、いまのみ〜ちゃんなら自由にできるよ。ほら、どうしたの? それを望んでいたんじゃないの?」


「ち、ちがう・・わたしは・・わたしは・・そんなんじゃない!! そんなのはちがう!!」


あくまでも否定しようとするミネルヴァに、連夜は小首をかしげて問い掛ける。


「どう違うの? 誘拐まがいに無理矢理連れ去って強引に結婚させるのと、相手の身体をめちゃくちゃに壊して言うこと聞かせるのとどう違うのか、僕にはわからないんだけど。」


「だ、だって、だってそれは・・それは・・」


がっくりと地面に両膝と両手をつき、項垂れてしまうミネルヴァの姿を見ていた連夜は、悲しげな表情を浮かべると自分の想いを口にする。


「み〜ちゃん、み〜ちゃんがどうしても僕の身体がほしいというのなら、いいよ。今なら自由にしていい、み〜ちゃんの好きにして。でも、僕の心はあげられないよ。僕は女性のみ〜ちゃんは愛していないもの。僕が愛しているのは、大好きなのはお姉ちゃんのみ〜ちゃんだもん。」


「れ、連夜・・わ、わたし・・」


「ごめんね、み〜ちゃん。み〜ちゃんの弟に生まれてきてごめんね。」


流石のミネルヴァも、はらはらと涙を流しながら、謝る必要もないのに心から詫びている目の前の弟がどれだけ今回の自分の所業で傷ついているかが身に染みてよ〜くわかってしまった。


後悔しても今さらではあるが、あまりにも自分が愚かなことをしてしまったことに気付き、ミネルヴァは地面に頭を擦りつけて号泣する。


「ごめん、連夜、本当にごめん!! 馬鹿なお姉ちゃんで本当にごめんなさい!! うあああああああああああああん・・」


本気で謝りながら号泣する姉の姿を見て、ようやく肩の力を抜いた連夜は、体中を襲う痛みに耐えかねてその身体を地面に横たえる。


そして、ポケットから『回復薬』の入った小瓶を取り出してごくごくと飲み干し、静かに身体が回復するのを待つ。


「れ、連夜、ごめんね、身体大丈夫?」


「あ〜、うん、今『回復薬』飲んだから。まあ、しばらく動けないだろうけど。」


「ごめん、連夜、本当にごめん、すぐに医者に連れていくから。」


と、四つん這いのまま横たわる連夜に近寄ろうとしたミネルヴァであったが、その連夜の身体を何者かがすいっと横抱きに持ち上げてミネルヴァの手の届く場所から遠ざける。


呆気に取られたミネルヴァが、弟の身体を持って行ってしまったその人物を見上げてみると、そこには自分がよく知る人物の姿が。


「私のものに触るんじゃないわよ。・・ったく、こんなにボロボロにしてくれちゃって。・・旦那様、大丈夫ですか? すぐに病院に行きましょうね。」


一瞬自分の真下にいるミネルヴァにとてつもない殺気をぶつけたが、その人物はすぐに腕の中にいる連夜に視線を移し痛ましげにみつめながら優しい口調で言葉をかける。


「ちょ、ま・・た、玉藻!? な、なんであんたここにいるの? それにその旦那様って、なに? なにかの暗号?」


突然現れた自分の親友の姿と、その言動とで大混乱しているミネルヴァに、玉藻は冷たい視線を向ける。


「うっさいわね、あんたには関係ないでしょうが。暗号もくそもないのよ。旦那様は、旦那様なのよ。・・それにしても旦那様、無茶しすぎです。こんなにボロボロになるまで頑張らなくても、言ってくださればこんなくそ女すぐにメッタメタにしてやったのに・・」


「あはは、それはダメですよ。玉藻さんもわかってくださってるでしょ? み〜ちゃんはやっぱり僕の大事なお姉ちゃんですから。・・でも、黙って最後まで見届けてくださってありがとう。」


「何度飛び出して行こうと思ったか。もうこれっきりにしてくださいね。次はもう黙ってみてるだけなんてしませんからね!!」


「はい、ごめんなさい。」


素直に謝る連夜を愛おしくてたまらないという表情で見つめていた玉藻だったが、ちらっとまだ混乱から抜けきれていないミネルヴァを確認すると、物凄く意地悪そうな笑みを浮かべてみせて、きょとんとしている連夜の唇を奪う。


「あっ!! ああああああああああっ!!」


悲痛極まりないミネルヴァの絶叫を存分に楽しみながら、連夜との甘い甘い過ぎる濃厚なキスを見せつけてやった玉藻は、優越感に浸りきった表情で眼下のミネルヴァにどうだ、うらやましいかといわんばかりの笑顔を見せるのだった。


「た、た、玉藻、あんた・・それはいったいどういうつもりっ!?」


涙目になりながら怒りの咆哮をあげる親友の視線を真っ向から受け止めて見せた玉藻は、同じく怒りに燃える視線をミネルヴァにぶつけ返す。


「どういうつもりもこういうつもりもないわよ。さっきから何度も言ってるのにわからないやつね。あんたの弟の宿難(すくな) 連夜(れんや)は、身も心も全て私のものだって言ってるのよ。足の指の先から頭のてっぺんまで丸ごと全て完璧に私のものなのよ。この人のこれからの人生も全て私のものなのよ。あんたにはこれっぽっちも権利はないってそう言っているってことをいい加減わかりやがれ、このバカチンが!!」


「にゃ、にゃ、にゃにおおおおおおおおお!?」


「いいから聞け、この馬鹿女!! いい、本当だったらあんたのことは、お義父様とお義母様とで内々に処理されるはずだったの。言っておくけど、もしあのまま『ゴールデンハーベスト』に行っていたとしてもあんたの願いは叶えられなかったの、あっちにはすでにお義父様達の手であんたのことの通達が行っていて、到着した瞬間お縄になるところだったのよ!! 

今回のことでは旦那様・・ううん、当事者である連夜くんにだけは知られないようにみんなしていたんだけど、結局、バレちゃってね、どうしても自分が説得するって聞かなくて、本当だったらこっちには出てきちゃいけないのに無理いってここに来たのよ!! いったいそれが誰のためかわかる!? あんたのためよ、あんたの!! わざわざあんたが使用するであろう『馬車』を特定して、そこで待ち伏せておいてあんたがやってきたら説得する手はずだったんだけど、まさか別の人間をさらってきて連れ去って逃げるとは・・まあ、それもありえることだって連夜くんは想定して布石をうっておいたからよかったんだけど・・ともかく!! 本当だったらもっと穏便にことを済ませるつもりでやってきた連夜くんが考えてきた一番最悪な状況までもっていってくれちゃって、ほんっと〜〜〜〜に、あんた反省しなさいよね!! みなさい、この連夜くんの姿を!! こんな姿になっても最後まであんたに髪の毛一筋ほども危害を加えようとしなかったのよ!! なのに、あんたときたら・・うう、旦那様、かわいそう・・何度出て行ってあんたのことぶっ殺してやろうと思ったか!! 本気の本気で今回のことは反省しなさいよ!! でないと今度こそこの手であんたを叩き潰す!!」


一気にまくしたてる玉藻の説明を聞いていたミネルヴァの表情が再びみるみる青ざめていく。


そして、またもや涙目になると、玉藻の腕の中にいる連夜に視線を向けて心底後悔していると思われる口調で話しかける。


「連夜・・ごめんね、いっぱいいっぱいひどいことしちゃって本当にごめん。」


「もっと謝れ!!」


「た、玉藻さんったら・・それに、み〜ちゃんももういいから。僕のことなら大丈夫、悲しいけどこういう事態には慣れ切っちゃってるからね。あと、僕のことを愛してくれてありがとう。僕はその愛に男としては応えられないけど、み〜ちゃんがそれだけ僕のことを大事に想っていてくれたことは嬉しかったよ。」


「連夜」


『回復薬』の効き目が表れだしたのか、先ほどまでよりも腫れが大分ひいてずいぶんマシになった顔にいつもと同じ優しく温かい笑みを浮かべてみせる最愛の弟の姿を見て、ミネルヴァはなんともいえない悲しげな、それでいて嬉しそうな表情を浮かべて弟を見つめ返す。


自分の中の感情をどう決着つけるべきかまだわからなかったが、それでもこの最愛の弟を無理矢理どうにかして傷つける真似だけはもう二度と絶対にしないと、ミネルヴァは固く心に誓う。


そんなミネルヴァの心の様子がわかっているのか、連夜は穏やかに微笑んで実の姉を見つめ、ミネルヴァもまた万感の思いを込めてそんな弟をじっと見つめ返す。


二人の間に緩やかで穏やかで、そして温かい空気が流れていたが、一人その様子がとてつもなく面白くなかった人物は、腕の中の大切な人をこれ以上見せるものかとばかりにミネルヴァにくるりと背を向けて隠すと、わざとらしく大声を出しながらずんずんと森の中へと向かっていく。


「さあさあ、旦那様。いつまでもこんなところにいるとお体に障りますからね、早く『嶺斬泊』の病院に行きましょうね。」


「ちょ、待て待て待て!! 玉藻、あんたちょっと待ちなさいよ!! さっきから聞きそびれたことがあったのを今思い出したわ!!」


折角最愛の弟といい雰囲気になっていたというのに、あっさりとそれをぶち壊しにされたミネルヴァは、スタコラと立ち去ろうとする親友を慌てて呼び止める。


玉藻はその声を聞いて、うんざりした表情を隠そうともせずに浮かび上がらせると、振り返ってめんどくさそ〜に問いかける。


「なによ? 聞きたいことがあるんだったら早く言いなさいよ。私、これから旦那様を病院に連れて行かなきゃいけないんですからね。」


「それよ!! さっきからあんた、連夜のことを旦那様だとか、自分のものだとか、わけわからないことほざいているけど、いったいどういうつもり!?」


「あんた、ほんとに頭悪いわね? 中学校でも高校でも生徒会長つとめていたんだからそれくらい察しなさいよ。妻が自分の夫を旦那様って呼ぶのがどこがわけわからないのよ。それに夫婦は一心同体なんだから、この人の全てが私のものであるのは当然のことでしょうが。」


「つ、つ、つ、つまああああああああああああっ!?」


玉藻の衝撃的な発言に、ミネルヴァは思わず絶叫し玉藻の腕の中の弟に視線を向けてどういうことかと訴える。


すると、それをバカにしたような視線で見ていた玉藻が、腕の中の連夜の顔にわざと顔を近づけてみせつけると、妖艶な笑顔を浮かび上がらせた表情で連夜にささやく。


「旦那様、そこの血のめぐりの悪い馬鹿女に言ってやってください。私が旦那様のなんなのかって。」


すると、連夜は困ったような苦笑を浮かべながら、ほっぺをポリポリとかいてトドメとなる一言をもらすのだった。


「あ〜、み〜ちゃん、玉藻さんの言う通り。玉藻さんは僕の最愛の奥さんなんだ。」


「ね、旦那様。」


その連夜の言葉に迎合するように、かわいらしく、しかし、その顔はあきらかにまざまざとざま〜みろと語っている表情でミネルヴァを見つめる玉藻。


ミネルヴァは自分の弟の言葉が信じられず、いやいやと首を横に振りながらあとずさっていく。


「うそ、うそよ、そんなの信じられない・・だって・・だって連夜は、ずっと私の・・」


「現実はいつも厳しいのよ、ミネルヴァ。でも、強く生きてね、きっとこれからいいことあるはずだから。じゃあね。・・あ、そうそう、旦那様・・いや、連夜くんにはしばらく近づかないでね。まあ、近づこうと思ってもどこにいるかわからないんじゃ、近づきようがないとは思うけど。」


そう言うと、玉藻は今度こそまだショックから立ち直れないでいるミネルヴァに背を向けてスタスタと立ち去っていく。


そんな玉藻の様子を玉藻の腕の中でじっとみていた連夜は、はあとなんだか意味深な溜息を吐きだしながら呟くのだった。


「なんか・・今日の玉藻さん、いつになくみ〜ちゃんに容赦ないなあ・・」


「え〜、そうですかあ? いつもこんな感じですよお〜。旦那様の気のせいですう〜。」


「そうですかあ?」


「そうですう。」


「まあ、いいですけど・・って、危ない、玉藻さん!!」


「むっ!!」


後方からやってくる強烈な殺気を感じて連夜が玉藻に声をかけると、玉藻は連夜を横抱きにしたままの状態で後ろからの一撃を華麗に回避してみせる。


玉藻はそのよく知っている殺気の持ち主のほうに身体ごと向けると冷たい視線でその相手を睨みつける。


「どういうつもりミネルヴァ。反省しなさいって言ったと思うんだけど。」


「あのね、連夜に対してやってしまったことに関しては猛烈に反省してるわよ。だけど、それとこれとは全く話が別でしょうが!! いくら連夜があたしのものにならないからって、なんであんたにくれてやらなきゃいけないのよ!? 連夜を返せ、この泥棒狐!!」


氷のように冷たい視線を向ける玉藻とは対照的に、燃え上がるような熱い闘志のこもった炎の視線をぶつけるミネルヴァ。


第二ラウンドがいま始まろうとしていた。


が、当然のように第三者が割って入る。


「待った待った待った!! み〜ちゃんも玉藻さんも戦闘はダメ!! 絶対にダメ!! 口喧嘩ならいくらでもいいけど、お互い手を出すのはなし!!」


「止めないで連夜。ここまできたらどちらかが倒れるまでやめられないのよ。」


「心配しないでくださいね、旦那様。こんな馬鹿女秒殺にしてやりますから。」


「何言ってるの、二人とも!? ともかく、戦うのはダメ!! 今はやめて!! 今もし何かあったらお互い絶対後悔することになるから!!」


必死に止めようとする連夜だったが、二人のボルテージはどんどん上がっていっており、このままいけば壮絶な殴り合いになることは必至であった。


その二人の姿を交互に見つめ、何かを言おうか言うまいか迷っていた連夜だったが、仕方ないと諦めてその言葉を口にする。


「二人ともお願いだから聞いて・・今、み〜ちゃんの身体に負担をかけるような真似は絶対しちゃいけないんだよ・・だって・・だって・・だってみ〜ちゃんのお腹には・・赤ちゃんがいるんだよ!!」


連夜の絶叫が森の中に木霊する。


その言葉をしばし、きょとんとして聞いていた二人であったが、その言葉の意味がゆっくりと頭の脳味噌に浸透してくると、みるみる顔を青ざめさせ、そして・・


「「う、う、うそおおおおおおおおおおおっ!?」」


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